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VRでジョブチェンジ!  作者: oga
第一章 鍛冶屋
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尾行の先で

「行き止まりか……」


 私はいつの間にか袋小路に迷い込んでいた。

どうやら男を見失ってしまったらしい。

豚の角煮など試食している場合ではなかった、と後悔しながら振り向くと、あのハンマーを持った男が道を塞ぐように立っていた。


「貴様、バウンティハンターか?」


 ……まさか、尾行に気づかれていたのか?

男は腰からハンマーを引き抜いて、こちらに詰め寄ってきた。

バウンティハンター、というワードから、男は私のことを賞金稼ぎか何かと勘違いしているようだ。


「わ、私は賞金稼ぎではありません! しかし、尾行をしていたことは謝ります。 実は…… お恥ずかしい話、工業地区がどちらにあるのか分からなくなってしまいまして……」


「下手な嘘だな。 俺の首にかかっている懸賞金が目当てなんだろう?」


「け、懸賞金?」


 この男、鍛冶屋ではないのか!?


「本当に知らないなら教えてやる。 俺はなぶり殺しのトムだ。 運が無かったな」


 ま、まずい…… 数歩後ずさると、壁が背に触れた。

なぶり殺しのトムは、ハンマーを担ぎ上げ、私の頭にそれを振り下ろした。


「うわああああああーーーーーっ」


 



 私は全身汗だくで、テレビの前に座っていた。

どうやら、私は殴られる瞬間にグラスを投げ捨てたらしい。


「あなたー、どうしたのー?」


 下から妻の声がした。

私の絶叫を聞かれていたのか?

私は慌てて階段から顔を出し、妻に大丈夫だと伝えた。


「爪を切っていたら、ちょっと深爪してしまってな。 問題はない」 


「それならいいけど……」


 そのまま妻はリビングに戻って行った。





 私はゲームを再開する前に、ネットでコンパスが無くても方角の分かる方法を検索した。


「時計を使って方角を知る方法があるのか」


 腕時計の長針を左側に向け、短針を太陽の方向に向ける。

長針と短針の間が南になるようだ。

方角が一つ決まってしまえば、残りの方角も分かってくる。

ゲーム内でさっき購入した腕時計を使い、露天商の位置から東を割り出せば、工業地区に着けるだろう。


「よし」


 私は再度、グラスをかけ、ゲームをスタートした。





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