竜の気持ち
私たちは、地上に向かうべく歩を進めた。
「オイッ、アレハイイノカッ!」
さっきからずっとエリオットがわめき立てている。
とうとうマリーさんが痺れを切らした。
「あーしつこい! あんた、少し黙ったら?」
「コレハ、オカシイゾ!」
……いつになく突っかかってくるな、と思い、私もエリオットの方を向いた。
すると、エリオットは目に大粒の涙を溜めていた。
「そんなに拳骨が痛かったわけ? もう、アオモリが余計なことするから」
……単純にそうなのだろうか?
エリオットはそこまで言葉が得意ではない。
こちらが気持を汲み取る必要がある。
「オレハ、上手ク喋レナイカラ…… デモ、オデハ、グッ…… コレハッ…… グッ……」
これは納得がいかない、そう思っているのか。
つまり、私がエリオットを叱り、マリーさんを叱らなかったことがおかしい、と。
「……マリーさん、さっきの件はやっぱり良くない」
「えっ、いきなり何なのよ……」
「エリオットは、マリーさんが人の荷物を取ったことに対して、何のお咎めもないことに納得していないんだ」
マリーさんは腕を組み、じゃあどうしたらいいのよ? と言った。
「……荷物を返してくるんだ」
「えーっ、せっかく手に入れたのに! 馬鹿みたいじゃない!」
このままエリオットの気持ちをないがしろにしてしまうわけにはいかない。
私は仮にも、この竜の子の親なのだ。
「それでいいか? エリオット」
「何デ、拳骨ヲシナイ」
「……マリーさんは女性だ。 それに、少し難しいかも知れないが、他人に対してそういうことはしてはいけない」
エリオットはまだ自分が殴られたことに納得していないらしく、なら何で自分を殴ったんだ! と喚いた。
私は膝をつき、エリオットと同じ目線でこう言った。
「お前には、立派な大人になってもらいたいんだ」
「……」
地上に上がるまで、エリオットはずっと俯いていた。
自分がやったことが間違っていたのか、ということを考えているようにも見えた。
「……」
そんなエリオットを見て、私自身はどうなんだ? という疑問が湧いてきた。
ふと、キツネの一族のことを思い出した。
私は、まだ私に対して咎を与えていなかった。
私は、全力で自分の顔に拳を打ち込んだ。
「うぐっ……」
鼻から血が滴った。
エリオットのサイズミスったー汗
最初はアオモリと同じ→いつの間にか子供サイズ
になってました




