ハッカー
「や、やめろぉーっ! こんな密室で……」
エリオットの吐いた息、あれは毒ガスか!?
「カードヲ出セッ!」
エリオットが再び息を吸い込む。
「マリーさん! 息を止めるんだ!」
私たちは口を塞いだ。
その時、集めたメンバーの中の一人が白旗を振った。
「もういい。 スパイは私だ…… 制御盤についている仲間に連絡を取る」
名乗り出た男は、ピンマイクに向かって喋り始めた。
「入り口を解錠してくれ」
……あれは無線のマイクか。
恐らく、無線の届く範囲というものは限られている。
この近くに仲間がいるのだろうか?
扉が解錠されると、残りのメンバーはすぐに入り口へと向かって行った。
「一つお聞きしたい。 何故我々を閉じ込めたのですか?」
「……簡単な理由だ。 ある程度人が集まったら、ここから出してやる代わりに金を出せと脅すつもりだった」
……では、始めからカードは無かったのか?
「ここのシステムはあなたが?」
「こんな大がかりな工事は個人じゃできない。 このダンジョンを整備したのは大手の建設会社だ。 入り口でも見ただろ? 連中はエレベーターやカードリーダーを設置して、金を取ってるんだ」
そして、このシステムを逆手に取って金を稼げると思ったらしい。
方法としては、仲間のハッカーが制御盤に潜り込み、管理室を経由しないで、直接自分のパソコンから施錠をかける、というものだった。
「もちろん、持ってるカードじゃ読み込まないように細工もしてな」
こうして、私たちは一旦地上へと戻った。
「エリオット、少し話がある」
「何ダヨ」
ゴン、と私はエリオットに拳骨を落とした。
「痛ッテーナ! 何スンダ!」
「むやみやたらと人を殺してはならん!」
エリオットには、恐らくそういうことが分からない。
確かに人とは違う分、常識も違うかも知れない。
しかし、それではダメだ。
「まあまあ、アオモリ。 エリオットのお陰で助かったんだからさ」
マリーさんが割って入る。
しかし、人を殺しているのだ。
厳しくせねばなるまい。
「……マリーさん、何を持っているんですか?」
よく見ると、リュックサックを手に持っている。
「あ、怒らないでよ? さっきエリオットの毒で死んじゃった人の持ち物なんだけどさ。 使えそうな物が結構入ってるんだよね」
「オイッ、アレハイイノカヨッ」




