遺跡へ
遺跡は街の北にあるとのことだった。
私たちは馬車を北へと走らせ、遺跡へと向かった。
「ドコイクンダヨッ」
相変わらずエリオットがわめいている。
「遺跡だってさ。 あんたのご飯代稼ぎに行くんだから」
しばらく進むと、街を抜けて砂漠地帯に突入した。
道の傍らに、「遺跡、このまま1キロ先」という看板を発見した。
「……間違いなさそうだ。 色々な出店がこの辺りにはある。 遺跡探索を有利に進めるためのアイテムなどが売られているのだろう」
私は内心、ようやくゲームらしい一面が出て来たか、と思った。
馬車がこれ以上進めそうにないので、一旦降りて、歩いて遺跡を目指す。
「アオモリ、何の準備もしてないけどいいわけ?」
「準備も何も、我々には手持ちの資金がない。 ここは、最初の層で地道にアイテムを集めて、それを売って金を稼ぐしかあるまい」
そんな話をしながら砂漠を進んでいくと、何やら人の多い場所にやって来た。
ここが遺跡の入り口だろうか。
様々な冒険者がここに集っている。
「みんな、気合入れていくぜっ!」
そう叫んだのは、ビジュアル重視のかっこいい青年剣士だ。
このグループは男女4人の構成で、かわいらしい女子が2人もいる。
みな手を合わせ、えいえい、おー! という掛け声とともに遺跡へと走って行った。
他にも、作業着に身を包んだ物々しい雰囲気のグループもいる。
そのチームのリーダー風の男が、話を始めた。
「先月、落とし穴に落ちた先がモンスターハウスだった、という事故報告があった。 これに対して、どのような対策が考えられる?」
「はい、まず、広い通路に出た際は足元をライトで照らし、安全を確認してから一歩を踏み出せばいいと思います」
……モンスターハウス?
直訳するなら、魔物の家だ。
恐らく、家とは魔物の住処の比喩であり、魔物の拠点のことを指すのだろう。
そんなところにわざわざ落ちるとは、その冒険者はつくづくついてないな。
「ハヤクイクゾーッ!」
エリオットに急かされ、私たちは遺跡内部へと向かった。
遺跡は石造りの建造物で、ここから地下へと進んでいくのだろう。
中には照明がついており、階段はこちら、という案内の紙が壁に貼ってある。
「何か、人の手がかなり入ってるダンジョンよね」
「……そうだな。 魔物やアイテムなどが落ちてる気配はないな」
遺跡の一階は観光名所と化しており、半そでにジーンズ、といった格好の者までいる。
「アオモリ、あれ何かしら?」
何だと……
そこにあったのはエレベーターであった。
エレベーターガールがおり、10階までこれで降りることができます、と説明を受けた。
「ご使用になられるなら、1万マネーですが」
……やはり、タダではないか。
「みんな、歩いて行くとしよう。 いきなり10階の魔物と渡り合うことはできまい」




