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VRでジョブチェンジ!  作者: oga
第二章 メッセンジャー
31/63

誕生

 私は夜、卵を転がして馬車の前までやって来た。

しかし、一人で馬車に担ぎ上げることはできない。

召使いの誰かを金で買収し、手伝ってもらおうか? などと考えていると、馬車の中からガサガサと音がした。


「……ま、マリーさん、何を」


「わっ、あなたこそ何でここに!?」


 かなり慌てている。

このまま屋敷を抜け出すつもりだったのか?


「……屋敷に戻られた方がいいですよ」


「あなたこそ、宿舎に戻りなさいよ」


 戻れ、と命じられたら従うしかない。

それに、馬車を使う権限は私にはないだろう。

それならば……


「マリーさん、私は卵を街に住むセナという青年に預けに行くつもりです。 私には、ドラゴンの飼育は重荷でした」


 責任転換と言われるかも知れない。

だが、この屋敷でドラゴンを飼うことは出来ない。

今後のことを考えると、やはり、私ではなくセナに預けるのがベストだと思う。

私には、住む場所はおろか、餌を賄う金すらないのだ。


「……ドラゴンの卵を持つだけでも罪に問われるんでしょ? そんなの、受け取るわけないわよ」


 ……確かにそうだ。

だが、他にいい案があるか?


「あなたが決闘に勝てば問題はない。 しかし、それが出来ないから、逃げ出すつもりだったんでしょう? もし、私を宿舎に戻せば、あなたが逃げたことを報告します」


「……なんですって」


 マリーさんは、どうすべきか悩んでいるようだったが、結局、私と街に同行する道を選んだ。

卵を2人で担ぎ上げ、馬車を走らせる。




 

 マリーさんが馬車を走らせている途中、卵の中の雛が動く気配がした。


「ここで生まれるのか!?」


 ピキッ、と音がし、殻の割れ目からくちばしが現れた。

そして……


「ギエエエエエエエーーーッ」


 とうとう、竜の雛が生まれた。

そして、生まれたばかりの雛は、私のことを見るとこう言った。


「エサーッ! エサクレーッ!」


 生まれて早々餌か!

確かセナの話では、昆虫か野菜を食べるとのことだが、私と同じくらい大きな雛だ。

そこら辺の昆虫一匹では満足できまい。


「えっ、アオモリ、雛生まれちゃったの!?」


「ええ、かわいいですよ」


「見たいんだけどーっ」


 ……いや、それより、早く街で野菜を買わねば。

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