戦闘
私は草むらに身を隠し、相手を伺った。
こんな時間にやってくるのは一体誰か?
この敷地内には取り囲むように壁があり、簡単にはよじ登れない。
仮に、かぎ爪のようなもので登ろうとしても、見張りの者に見つかってしまうだろう。
「……となると、屋敷内の人間か?」
しかし、私の思惑は外れた。
現れたのは、弓を片手に持ち、腰に剣を差した軽装のキツネだった。
オークションで会ったキツネの親子と関係があるのか?
突然、キツネは背中の筒から矢を抜き、弓につがえた。
「おい、そこに隠れている推定年齢48才、O型、水瓶座の男、出てこい」
……!?
性別以外デタラメなことを言っているが……
私がここに隠れていることがバレているようだ。
私は両手を上げて、草むらから出てきた。
「……」
「俺の鼻はお前の居場所だけでなく、それ以外の情報も引き出すことが可能だ。 悪いが、死んで貰う」
ググ、と弓を引き絞る。
まずい!
「ま、まてっ! 私はフォックス少年と友達だ! このドラゴンを育て、彼と一緒に空を飛ぶ約束をしたのだ!」
私は咄嗟に嘘をついた。
だが、もしフォックス少年を相手が知らなければ、ここまでだろう
「……坊ちゃんを知っているのか。 運の良い奴だ。 命は助けてやるが、約束は果たせないな」
目の前のキツネは、狙いを私からそらし、矢を放った。
「うっ」
私は、思わず目を背けてしまった。
そして、気づいた時には遅かった。
背後の殻に、矢が命中していた。
「もう一本!」
私はキツネに突進し、弓を奪おうと試みた。
「ちっ」
キツネの身のこなしは軽く、空中にジャンプしてかわされたかと思うと、次の瞬間、地面にねじ伏せられた。
頭を手で押さえつけられ、口に土が入る。
「坊ちゃんの唯一の友達を殺す訳にはいかないが、このドラゴンは危険だ。 今の内に始末する」
……ドラゴンが人間の手に渡ることを懸念しているのか?
だが、私には守るべき約束があるのだ。
これ以上、矢を打ち込まれる訳にはいかない。
私は、何か武器になるような物がないか必死に見渡した。
(……あれだ!)
私は精一杯手を伸ばし、ある植物を手に取った。
ウツボカズラだ。
「悪いが、手足を斬らせてもらう」
キツネが剣を抜いたと同時に、私はウツボカズラの中に入っている液体を目にかけた。
ウツボは食虫植物で、酸をため込んでいる。
「ぐあっ!?」
瞬間、キツネの手から落ちた剣を拾い、体に突き刺した。




