オークション会場へ
「あっづ!」
私は部屋の中で叫び、反射的にグラスも外していた。
出来るだけ声は抑えたかったが、今のはやむを得ない。
下から妻の声が聞こえてこないのを確認し、ゲーム内に戻る。
ゲームに入ると、私は全身がひりつくような痛みを覚えた。
更に、なぜか右腕が痛い。
これは、誰かに噛まれている……
「やめろっ!」
「おわっ!?」
腕を噛んでいたのはキツネの少年ではないか。
「おっちゃんが美味しそうに焼けるから、つい」
「……私は生きている。 それより、あの竜を手なずけるのはかなり難しいようだな」
竜は、はっきりと私に背を預けるつもりはないと言った。
しかし、少年の話では、国で唯一竜を手なずけている者がいるとのことだ。
「セナ…… だったか。 彼はどうやって竜を手なずけたんだ?」
「そんなの自分で調べればいいじゃん! 子供にばっか教わって、恥ずかしくないの?」
……そうだった。
このゲームでは、情報を引き出すのもタダではない。
この少年も、しっかりその例から外れないらしい。
「そうだな。 すまない、自分で調べるとしよう」
「セナはね~、ドラゴンを赤ちゃんの時から育ててたらしいよ。 だから、竜はセナのことを自分の親だと思ってんだ」
……結局、知識を披露したい欲求に負けてしまったか。
まぁ、子供っぽい一面がみれて良かったが。
「なるほど。 しかし、そうなると更に難儀だな。 竜の赤ちゃんなど、竜の巣にでも潜り込まねばなるまい」
「それがさぁ、実は、ある冒険者グループが竜の卵を持って帰還してきたんだよね。 それが明日、街のオークションに出品されるらしくて、うちのパパとそれを落札しに行くんだ」
……渡りに船とはこのことだ。
だが、落札するほどの資金など持ち合わせていない。
少年の父親はかなり裕福なのだろうか。
「……なるほど、情報を提供してくれて、ありがとう」
「竜の卵はオイラのだからね! おっちゃんは落札したらダメだよ!」
私はとりあえずオークションに参加してみることにした。
その日は眠りに着き、翌日再度街のオークション会場へとやって来た。




