旅館
私は自室に戻り、眠りに着いた。
翌朝は久しぶりに熟睡できたというのもあり、調子は良かった。
首の傷は浅く、大事には至らなかったが……
「ゲーム中に無意識に首を引っ掻いたのか?」
電車に揺られながら、私はその事ばかり考えてしまった。
仕事が終わり、自宅に戻る。
外が寒かった為、私は先に風呂に入ることにした。
ざぶん、と湯船につかる。
「ふぅ~……」
さて、今日はゲームをするべきか。
確認しておきたいのは、ゲーム内で攻撃を受けた際、現実にどのような影響が出るか? ということだ。
私は、あの首の傷はやはり自分でつけた、という推測をしている。
なぜなら、ゲーム中は自分がどういう状況か分からず、余程のことがなければ妻も息子も自室には入ってこない。
よって、自分でつけた以外考えられないのである。
「部屋に凶器になるものは置かない方がいいな……」
私は、机の上に置いてあるペンなど、凶器になりそうなものを全て引き出しにしまった。
自分を傷つけられないよう、爪も切った。
これで尚且つ、同じことが起こったら、メーカーに問い合わせてみよう。
私はグラスをかけた。
ゲームに戻ると、まず道端で刀を売り、5000マネーを手に入れた。
それから、万屋で髭剃りを購入後、宿屋に泊まることにした。
このまま放置すれば、体から異臭を放ち始めるに違いないからだ。
宿泊施設の建ち並ぶ一角にやって来ると、一泊500マネーの旅館を見つけた。
「温泉が売りの旅館か、中々良さそうだ」
受付で料金を払い、梅の間に通された。
早速浴衣に着替え、ひとっ風呂浴び、髭剃りで髭を剃る。
岩盤浴も備えつけられていたが、別料金を取られてしまうため、ここは大人しく自室に戻る。
テーブルの上に栗モナカとお茶が準備されており、私はそれを頂くことにした。
その時だった。
ドサリ、と背後に何かが落ちてきた。
「……っ!?」
私は思わずむせ込んだ
「失礼、私は運営の者です」
振り向くと、忍者のような格好をした男がいた。




