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VRでジョブチェンジ!  作者: oga
第一章 鍛冶屋
18/63

決着

私は、腹の底に眠る力を引き出し、ゲンゾウの攻撃を耐え続けた。


「うがああああああーーーーーっ」


「な、何なんだ貴様ああああっ」


 ガチガチと刃と刃がせめぎ合う。

その時だった。

ピキリ、という音が刀身から聞こえた。


「……!?」


 ゲンゾウの持つ刀に、ヒビが入った。

そこから勝負は一瞬だった。

刃こぼれした刀の隙間に、私の刀が滑るように入り、ゲンゾウの体を斜めから斬り伏せた。


「何…… でだ……」


 ドサリ、とゲンゾウの体は地に伏した。

ムサシが歩み寄り、ゲンゾウの刀を手に取った。


「……お前、叩きすぎなんだよ。 刀はむやみやたらと叩けば強くなるってもんじゃねえ。 叩けば叩くほど、中に含まれる炭素の量が減っちまうんだ。 だから、逆に弱くなる」


「そんなこと、知るか……」


 最後にそう言うと、ゲンゾウは絶命した。


「……それにしても、アオモリさん。 あんた、見直したぜ」


「いや、私の方こそ、自分にこんな力があったなんて驚いてます」


 こうして、なぶり殺しのトムこと、ゲンゾウは死んだ。

街には平和が戻った。





 私は、以前手に入れたレイピアを加工すべく、エドワード工房に向かった。

工房に入ると、エドワードが全自動のハンマーを使って、刀を叩いている所だった。


「お久しぶりです、エドワードさん。 鉄を手に入れたので、機材を使わせてもらってもよろしいですか?」


「おお! あんた、見かけによらずすごいじゃないか! あのなぶり殺しのトムを倒したんだろ?」

 

 情報はあっという間に知れ渡っていた。


「あれは、ムサシさんの刀があったからですよ」


「とにかく、あんたは英雄だよ。 好きに機材を使ってくれ!」


 私は、ムサシ工房で見た刀打ちの手順を思い出し、刀の制作に入った。

数時間後、出来上がった刀は、我ながら良い出来だったと思う。

これを売って、髭剃りを買わねばな。





 ゲームから帰還し、時計を見やる。

時刻はまだ11時だ。


「今日は早く寝れそうだな」


 体を起こし、寝る前に何か飲もうと、一階に降りると、妻がテレビを見ていた。


「あ、あなた! その首……」


「首?」


 私が首に手をやると、一瞬ヒヤリとした。

ぬるり、とした感触があり、手にべっとりと血が付いていたからだ。


「……そんな馬鹿な」


 確かにゲーム内で首を少し斬られた。

しかし、ここはゲーム内ではない。


「こ、これは…… カミソリで少しやってしまったんだ。 何も心配はいらない」


 それでも、動揺していたのは私の方だった。

部屋に戻ってからも、心臓が高鳴っていた。


「これは、一体どういうことだ?」



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