刀打ち開始!
私たちはトタンの建物の中に入り、いよいよ玉鋼を打つ準備に入った。
「先に手順を説明しておくぜ」
ムサシは刀打ちの手順を説明し始めた。
まず玉鋼を1000度近い高温で熱し、加工できる状態にする。
その後、ハンマーで打ち付けて薄く伸ばし、以前本で読んだ通り、割れやすい硬い鉄と、割れにくい柔らかい鉄とに分ける。
「炭素が多く含まれている硬い鉄が刃になる。 今回はこの玉鋼から刃の部分だけを取り出して、芯の部分には予め用意してある別な鉄を使う」
一通り説明し終わると、ムサシは窯焼きピザを焼くときに使うような、鉄のヘラに玉鋼をのせ、その上に木炭、藁を乗せ、マッチで火をつけた後、竃に入れた。
「後は足で踏むタイプのポンプで地道に温度を上げていく。 俺がタイミングを見て木炭を追加するから、あんたはひたすらポンプを踏み続けてくれ」
私は裏手に周り、空気を注入するための竃と一体型のポンプを踏み続けた。
一体どれくらい経過したのか。
竃の熱で全身は汗だく。
このポンプを踏み続けるという作業も、何時間もぶっ通しとなると、いい加減飽きてくる。
「後どれくらい続くんだ?」
しかし、念願の刀打ちにようやくこぎ着けたのだ。
ここでやめるわけにはいかない。
それに、刀匠ムサシの仕事など、ゲーム内でもそうそう見れないだろう。
私は根気強くポンプを踏み続けた。
更に数時間が経過すると、ようやくムサシから声がかかった。
「そろそろ玉鋼を取り出す! 金槌を準備してくれ」
私は今度は竃の脇に置いてある身長程の巨大な金槌を手にとった。
ムサシが鉄のヘラを台の上に持って行き、そこに赤く熱された玉鋼を移した。
「このまま俺がストップをかけるまで打ち続けてくれ。 始めていいぜ」
私は、かなりの重量のある金槌を渾身の力で振り下ろした。
ガアン! と玉鋼に命中し、火花が散る。
私がムサシを見やると、コク、と頷いた。
私は腹に力を入れ、金槌を振り下ろし続けた。
段々と打ちつけるスピードが鈍っていく。
玉鋼はやや丸みを帯びており、中心に振り下ろさなければ弾けて飛んでいってしまう。
狙いを定め、的確に力強く打つ。
「はぁっ、はぁっ……」
15回程度振り下ろして、いよいよ腕と肩、腰に影響が出始めた。
「うがあああーっ」
全身全霊を込め、玉鋼を打つ。
「アオモリさん、十分だ。 後は俺がやる」
どうやら、私の力ではここまでが限界のようだ。




