表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRでジョブチェンジ!  作者: oga
第一章 鍛冶屋
13/63

事件 2

 私がエドワード工房に向かう途中、何やら人だかりが出来ていた。

そこは見覚えのある所で、ムサシ工房の前だった。

嫌な予感がした私は、人をかき分けて騒ぎの中心へと向かった。


「通して下さい! 知り合いがいるもので」


 どうにか最前列に到着すると、以前私が襲われた時に調査をしていた警察と、腕を組んで難しい顔をしたムサシ、頭に包帯を巻いたコジローがいた。


「ムサシさん、何があったんですか?」


「……ん? ああ、あんたか。 少しまずいことになった」


 ムサシの話では、自分が留守中に、あのなぶり殺しのトムに盗みに入られたらしい。

コジローは扉を開けた瞬間頭を殴られ、命に別条はないものの、大事な刀の素材を取られてしまったらしい。


「カマイタチの玉鋼を取られちまったんだ。 なぶり殺しのトムの本名を聞いてピンと来たぜ。 あいつは元鍛冶師だ」


 なぶり殺しのトム。

本名は冨田ゲンゾウと言うらしい。

鍛冶屋で20年ほど修業を積んでいたらしいが、結局芽が出なかったとのことだ。


「あいつは二流だが、あの玉鋼を使えば鉄をも斬れる刀に仕上がる。 それが悪人の手に渡ったらマズい」


 とにかく、刀が完成する前に捕まえる必要がある、と刑事は言った。


「刀を作るには工房がなきゃダメだろう。 だから、この辺一帯に注意を促す伝令を流す」


 刑事は、ふぅっ、と煙を吐き出した。


「……アオモリさんだったか。 ちょっとこっちに来てくれ」


 突然、ムサシに呼ばれ、私は工房の中で話をすることになった。





 「あんた、確か鍛冶を体験したいって言ってたよな? コジローがあんなんだから、少し協力して欲しいんだ。 もし、カマイタチの刀が完成しちまった場合、並の刀じゃかち合った時に負けちまう。 もう一本、奴の刀以上の刀を作っておきたい」


 ……これは願ってもない話だ。


「……私で良ければ、協力します」


 ムサシは工房の奧に行くと、鉄の塊を手にして戻ってきた。


「もう一つのカマイタチの玉鋼だ。 改めて、俺はムサシ。 妖刀打ちだ。 よろしくな」


 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ