回収開始
しかし、今は看板も何もない。
待っているだけでは、無駄に時間が過ぎて行くだけだ。
ここは自分から通行人に声をかけて、不要な武器が無いかを聞く必要がある。
「ゲームの中だ。 何も恥じることはない」
しかし、誰彼構わず声をかけるのは危険だろう。
武骨で荒々しいタイプでは、前みたく手配犯の可能性もあるし、何よりことを穏便に運びたい。
私が通行人を品定めしていると、ある人物が目に止まった。
「……彼が良さそうだ」
肩まである金髪をなびかせ、颯爽と歩く貴族のような男がおり、腰には細身の剣を携えている。
「工業地区の方へ向かっているということは、武器を新調するか、修理しに行くのだろうか?」
私はその男に声をかけるべく、背後から近づいた。
「すいません!」
すると、男は立ち止まり、私に何かようか? と言った。
「忙しい所、申し訳ありません。 突然ですが、不要な武器などお持ちでないでしょうか?」
「不要な武器? このレイピアを丁度買い換えようと思っていた所だ」
男が鞘から剣を引き抜くと、刀身が折れていた。
「こうなってしまっては買い換えるほかあるまい。 だが、鉄は鉄だ。 溶かしてアクセサリーにすることもできる」
……だから捨てずに持ち歩いていたのか。
だが、それはそれで余計な手間ではないか?
「わざわざ加工するよりも、買ってしまった方が早いのでは?」
「……その通りだ。 だから、処分しても構わないとは思っていた」
これはチャンスだ。
もう少し押せば、貰うことが出来るかも知れない。
「それならば、私に譲っていただけないでしょうか?」
男は顎に手をやり、しばらく考えていたが、それならばとこう答えた。
「私に声をかけた理由を教えて欲しい」
……理由。
正直な所、荒っぽくないというのが理由だが、それは模範解答では無さそうだ。
男は見た所、かなりのナルシストだ。
白いシャツを着て、胸に赤のバラを飾るなど、それ以外考えられない。
よって、答えはこうなった。
「まるで、貴公子を絵に描いたようなお姿に、男ながら声をかけてしまいました」
すると、やはりそうか、と男は何度も頷いた。
「恋人に何度もキモいと罵られたが、どうやら間違っていたのは彼女らしい。 よし、これを持って行け!」
こうして、私はレイピアを手に入れた。




