初めてのVR
私の名前は青森健
年は40で、郵便局に勤めている。
自慢ではないが、高校を卒業してから一度も遅刻をしたことがない。
そんな私が、今夢中になっているものがある。
私は妻に内緒で、P〇4と、それに付随するグラスを購入し、自室でそれを開封した。
値段は合わせて8万もしたが、どうしてもやりたいソフトがあったのだ。
それは、「working online」と呼ばれるゲームである。
今までほとんどゲームをしてこなかった私であったが、テレビCMに思わす目を奪われた。
「ヴァーチャルリアリティで、様々な職業を体験しよう!」
これが謳い文句で、グラスをかけた俳優が、畑を耕したり、船の上で猟をしたりする様が写されていた。
「あれ欲しいな~」
「VRは高いわよ、あなたはポケ〇ンで十分。 ねぇ?」
「……」
私は妻の言葉が耳に入らないほど、そのCMに気を取られていた。
ゲームと言えば、怪物との戦いであったり、暴力的なものが多く、敬遠していた。
しかし、職業の体験なんて、とても面白そうではないか。
今まで郵便局で事務仕事ばかりしてきた私にとって、他の仕事をすることは良い経験になるのではないか? そう思った。
説明書を読み、P〇4を接続する。
インターネットのLANケーブルを繋ぎ込んで、P〇ネットワークと呼ばれるストアにアクセスした。
早速、会員登録を済ませ、「working online」をカード払いで購入し、ダウンロードを開始した。
中々パーセンテージが溜まらず、これは時間がかかるな、と踏んだ私は、文庫本で時間を潰すことにした。
気が付くと、ダウンロードは終わっており、次にインストールを開始する。
インストール中に、ゲームの中で体験できる職業の紹介が流れた。
「鍛冶屋」
鍛冶屋で武器を作る職業です。
仕事の主な内容は、鉄を叩いて剣を作ったりなどで、物作りが得意な人が向いていると思われます。
「メッセンジャー」
手紙を人から人へと配達する職業です。
移動にドラゴンを使ったり、色々な世界を見て回ることができます。
「遺跡ハンター」
失われた機械文明から、未知のテクノロジーを手に入れるのが仕事内容です。
「盗賊」
他のプレイヤーから金品を略奪します。
アンダーグラウンドな世界が見たければ、おすすめです。
「鍛冶屋か。 物作りも面白いかもしれないな」
インストールも完了し、グラスをかけ、ゲームを起動した。