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5.

小さいころ、僕は戦隊もののアニメが好きだった。

だから、叶の相手で疲れている両親を連れ出してデパートにいき、グッツをねだった。

その頃一番欲しかったのは戦隊もののベルト。ベルトは無理でも、タオルとかハンカチとか…


でも、いくらねだっても両親は買ってくれなかった。

僕が拗ねると、

「悠くん買ってあげられなくてごめんね…」って…


その頃の僕は知らなかったけど、家計は苦しかったらしい。


叶が産まれたばかりだからお母さんは働けないし…そんな中、両親は僕に

「じゃあクリスマスプレゼントに買ってあげるね」そう言って指切りした。


なのに…その約束は守られなかった。


クリスマスがくる前に2人とも死んでしまったから…

それからも、大学とかで疲れている兄貴には到底ねだれなかった。

そうしている内に忘れていって…


***


だからかな…?

僕は子供っぽい戦隊もののタオルのクリスマスプレゼントなのに、涙が流れた。

嬉しくて。でも、辛くて…

「悠くん…?どうしたの?」

「お母さん…お父さん…」僕はそう言いながら泣いた。


プレゼントを抱きしめながら泣いた。


「悠くん、そんなに泣いたら苦しくなっちゃうよ?」って兄貴は小さい子供に話しかけるように僕に話しかけて、僕の涙を拭った。

「兄貴…ごめん」僕は落ち着くと途端に恥ずかしくなった。

この年で泣きじゃくったのが…

「悠くん、そのプレゼントで良かったの?」

「うん!ありがとう」僕がそう言って笑うと、サンタさんは嬉しそうに病室を出て行った。


「兄貴…ゲホゲホ」ちょっと体がだるくなってきた…

「ん?悠くんどうした?」

「きつい…」僕がそう呟くと、兄貴はすぐに僕のおでこに手を当てて、

「熱ありそうだな…今日発作おきたしね…」そう言って心配そうに見つめた。


その時、嫌な汗が背中を伝った。


「うぅ…はぁはぁ…っ…」

「にぃに!?どうしたの?」

「悠くん、すぐに楽にしてやるからな」兄貴はそう言って僕の頭をなでたあと、叶を病室の外に出した。

「…兄貴…っ薬」

「どこ?どこあるの?」

「はぁはぁ…右…ゲホゲホ」僕がそう言うと、兄貴は僕の右ポケットを探って薬を取り出した。

「薬飲める?」そう言われて、僕は兄貴の手から薬を奪い取るようにして取った。

それを口に放り込むと、苦しさを紛らわせるためにシーツの端をぎゅっと握りしめた。


「…っ兄貴!!…うぅ…はぁはぁ…」時々くる強い痛みにも苦しめられながら、僕は耐えた。

「悠くん…ごめんね」兄貴はそう言って僕の頭をなでた。


「はぁ…はぁ……兄貴、だいぶ楽…」

「悠くんきつかったよな…ごめんね」そう言って兄貴は僕を抱きしめた。

「何すんだよ」僕はそう言って兄貴の手を解き、毛布にくるまった。

「良いじゃん、このくらいさ…でも熱あるから、寝れるなら…」

「うん。おやすみ~」僕はそのまま夢の世界に入っていった。


<蓮side>

「うん。おやすみ」僕はそう言って悠くんの頭をなでたあと、そっと病室の外に出た。

(叶ちゃんは多分ナースステーションだろう…)

そう思いながら僕がナースステーションに向かっていると、看護師さんから、

「先生、どうしたんですか?」って声をかけられた。

「叶ちゃんそっちお邪魔してるでしょう?」

「えっ?叶音ちゃん?見かけてませんけど…」えっ?居ないの?

僕はありがとう。そう言ってその場を立ち去った。


ナースステーションも通り過ぎ、僕は叶ちゃんを探しながら走り続けた。そして

「叶ちゃ~ん」って叫んだ時、中庭に座っていた可愛い女の子が顔をあげた。


僕は中庭に向かって、その子…叶ちゃんの隣に座った。

「か~なちゃん。どうしたの?」僕がそう言って頭をなでると、叶ちゃんは大粒の涙を流しながら、

「蓮くん…叶のせいなんだ。叶のせいでにぃにが苦しい思いしちゃったんだ」って言った。

「何でそう思うの?悠くんはそんなこと思ってないけど…?」

「叶が転んだから…、にぃには心配で走っちゃったの…だってにぃに走ったら苦しくなっちゃうんでしょ?」叶ちゃんは大粒の涙をこぼし続けた。

「確かに走ったら苦しくなっちゃうけど、叶ちゃんのせいじゃないよ。絶対に…」僕はそう言って、叶ちゃんの涙を拭ってあげた。

「本当?叶のせいじゃないの?」

「うん。何なら後でにぃにに謝ってごらん?悠くん絶対『何で?』って聞くから」僕はそう言って笑った。

それから、

「蓮くん、一緒行こう」

叶ちゃんは僕の袖を持って立ち上がり、笑顔で悠くんの病室に向かった。



<悠斗side>

あれから、僕は受験勉強に勤しんだ。

「にぃに、はいお水~」そう言って叶は僕にコップを渡してくれた。

僕は一気に飲みほすと、

「叶、いっつもありがとな」そう言いながら叶の頭をなでてあげた。


「悠くん~、勉強頑張ってるな…解らない所ないか?」

「うん。大丈夫。兄貴…あのね、僕やりたい仕事あるんだ」

「なーに?」

「看護師!!兄貴みたいに頭よくないからお医者さんにはなれないかもだけどさ…兄貴と一緒に働きたい」

「じゃあ勉強頑張らないとな。無理だけはするなよ?受験会場に行けなくなったらいけないからさ…」

「うん!じゃあもう少し勉強したら休憩しま~す」僕はそう言って勉強を再開させた。


そして、受験日当日。

僕の体調は万全だった。


手応えはいい感じ…

早く合格発表を見たいな♪


楽しみに待っていたら、もう合格発表の日になった。

僕の番号は156。

この番号が合格の紙に書いてあれば合格だ…

「兄貴…あるかな?」

「あるに決まってるだろ?うーん…」兄貴は数字とのにらめっこに苦戦していた。

勿論僕もにらめっこに苦戦中だ。

叶は…兄貴の背中ですやすや眠っていた。


「悠くん、悠くん!番号何番だっけ?」

「156」

「あった!!ほら」兄貴が指差した所には、確かに156の文字があった。


合格


「兄貴…ありがとう」僕は嬉しくて、たまらなかった。兄貴に

「何泣いてるんだよ」そう言われて気づいた。

僕の目から涙が溢れていることを…

「悠くん、おめでとう。病院戻ったらお祝いしような」そう言って兄貴は僕の頭をクシャクシャとなでた。

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