表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/19

4.

今日は、クリスマス。

病院内でクリスマスパーティーがあるらしい…

僕は行く気無かったんだけど、叶が

「にぃにと行く~」って可愛く言うもんだから今日は勉強を止めてクリスマスパーティーに行くことにした。


クリスマスパーティーはみんなの体調を考えてお昼にある。

僕らはお昼ご飯を食べてすぐに、急かす叶をなだめながら、手を繋いでロビーに向かった。

兄貴には、

「無理するなよ。楽しんでおいで~」って笑顔で送ってくれた。


「メリークリスマス。今日は楽しんでね」ってサンタさんが登場した。

叶は目をキラキラと輝かせて、

「にぃに、前行こう~前!!」って僕の袖を引っ張った。

だから僕は

「行っておいで」そう言って、前に駆けていく叶に笑顔で手を振った。


「今からサンタさんからプレゼントがあるよ~。良い子のみんなは前においで」ってサンタさんが手招きした。

「にぃに、にぃに」って叶は僕と一緒に行きたいみたいで、僕の元に戻ってきた。

「はいはい。行こうな」そう言って僕は叶と手を繋いで、小さい子ばっかり居るサンタさんの前に行った。

「メリークリスマス。はい、プレゼント」そう言ってサンタさんは叶にプレゼントを渡した。

僕にも渡そうとしたけど、恥ずかしくて断った…


病室に戻りながら、僕は

「叶、楽しかった?」って話しかけた。叶は

「うん!にぃにありがとっ」そう言って笑ったから、僕は凄く幸せな気持ちになれた。


叶はテンションが上がったみたいで、貰ったプレゼントをぶらぶらさせながら走ってエレベーターのボタンを押しにいった。

「か~な、走ったら危な…ほら大丈夫?」叶は僕が言ったそばから派手に転んだ。

叶が泣き出しそうになっていたから、心配で走って叶のそばに寄って行った。

「叶大丈夫?」僕は叶の目線に合わせて膝を曲げた。

叶は目をくりくりさせて、僕を見つめていた。

何で転んだのか分からないみたいで…

そんな叶が可愛くて、僕は笑いながら叶を抱きしめた…時だった。


いきなり胸の締めつけられるような痛みが僕を襲った。

息も苦しくなって、僕はそのまま床に倒れこんだ…


幸い軽い発作で、すぐに薬を口に放り込んだからだいぶ楽になったけど、叶をびっくりさせたみたいで、叶は

「にぃに、にぃに…」って泣いていた。

そのせいか軽い人だかりが出来ていて、その中にはサンタさんも居た。

僕は叶をそっと包み込むと、

「びっくりさせてごめんね。にぃにもう大丈夫だから」そう言って笑った。


「大丈夫ですか?先生とか呼んで来ましょうか?」サンタさんにそう言われて、僕は断った。

あんまり大事にはしたくなかったから…

でも歩くのはきつそうだったから、近くにあった車いすを持ってきてもらうことにした。

僕がその車いすに座ると、サンタさんは

「病室までお送りしますよ。どこです?」って言って、車いすを押し始めた。

僕はありがとうございます!!ってお礼を言ってから、病室の場所を伝え、まだ泣き止んでいない叶を膝の上に乗せた。


「叶ごめんな、びっくりさせちゃった?」僕がそう言うと、叶はこくんと頷いてそのまま僕を見上げた。

(可愛い~)なんて思ったのは置いといて、

「にぃにもう大丈夫だよ。ごめんね~」そう言って叶を抱きしめた。


「悠…くん、どうしたの!?えっサンタさん?」僕が病室に着くなり、兄貴は色々な事に驚いていて、僕は笑いそうになった。

「えっとね…サンタさんには、ここまで送って貰ったの」多分兄貴があんまり気にしていなさそうなことから教えてあげた。

だからかな?兄貴に、

「それはそうだろうけど…悠くん、何がおこったの?」って怒り気味に聞かれた。

(ちょっといじわるだったかな…?)

「さっき発作おきた」僕がそう言うと、兄貴はさっきの怒り顔から一変、心配する主治医の顔になった。

「もう大丈夫なのか?…って大丈夫じゃないね」そう言って兄貴は僕を車いすから下ろし、ベッドに寝かせた。

「大丈夫…薬飲んでもう苦しくないから」僕がそう言うと、兄貴は

「薬は一時的なものだって言ってるだろ?兄貴は悠くんを心配してるんだぞ!?ほら叶ちゃんも…」そう言われて叶の方を見ると、叶はサンタさんの白い髭を触って遊んでいた。

兄貴は叶の名前を出せば僕が分かってくれるって思ってるんだよ…

僕が叶にぞっこんだから…


「はいはい、分かりました~。大人しくしてればいいんでしょ?大人しく…」僕はそう言って、布団に丸まった。

そんな僕にサンタさんは

「メリークリスマス」そう言ってプレゼントを渡した。

「えっ僕に!?」

「そうだよ、開けてみて?君には少し子供っぽいかな?」そう言われたので、僕は貰ったプレゼントを開けた。

中には戦隊もののタオルが入っていて、僕は

(子供っぽいよ…)そう思いながらも、なぜか目からは涙が溢れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ