第五話【世界の終わりに想う】
『怖い』
――陽斗?
『やだやだ!! なんでボクが死ななきゃいけないんだ!! 怖いよおお』
『生きたいって言っても、生きれないじゃん、結局。……本当、情けないことこの上ないよ。情けないなあ』
――裕也。
『想、杜希を残したくない……!! 死にたくない! 誰か、誰か助けて!!』
――俊。
『やり残したことだって……たくさんあるのになあ』
――杜希。
皆死ぬのが嫌だった。怖かった。辛かった。苦しかった。
死にたくないって、そう叫んで死んだの?
『でも』
皆の声が重なる。
目の前はいつの間にか明るくなり、皆が僕に手を伸ばしていた。
『ありがとうございます、ずっと笑ってくれて! 嬉しかったです』
『僕は皆が死ぬなって言ってくれた。それだけで僕の存在は意味があったって、そう思える』
『想、杜希の死は笑って看取れたか? 俺の時にも、笑ってくれてありがとうな。やっぱお前はどう足掻いても立派な、立派すぎる“兄”だよ』
『幸せでした』
『ほらね、想』
杜希が目の前に来て笑う。
「世界の終わりは、温かい」
「皆……!!」
僕は手を掴んだ。
「想にーちゃん!! お帰りなさい!!」
「お前だけに色々抱えさせちゃって悪かったな」
「ううん、皆がしあわせで本当に良かった……!」
「想はやっぱり優しいね」
「……ありがとう、想」
皆が隣に並んでいる、それがどんなに嬉しいことか。
温かい。胸の内側から優しいものが込み上げてくる。
そうか、幸せだ。
幸せが溢れて、身体一つじゃ足りない。
「もしさ、生まれ変わっても」
「うん」
「僕達また会おうね!!」
「当たり前だろ!」
俊が僕の頭をクシャクシャに撫で回す。
皆が一斉に笑った。
「次は女子になりたいなあー。むさ苦しいのはもういいよ」
「杜希むさ苦しいとか思ってたの?」
「確かに、全員男で華がなかったよね」
「でも、すっごく楽しかったですけどね!!」
光に向かって僕らは歩き出した。
誰一人欠けることのない、いつも通りの僕らで。
来世でも、絶対会えるよ。だって、僕らだもん。
どんな形かは知らない。わからない。
でも、きっと幸せだ。
そうなっているに違いない。
「皆……」
僕は皆の顔をしっかりと見て、最高の笑顔で言った。
「本当に大好きだ!!」
『世界の終わりは幸せに溢れていました』




