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罵倒

今回は完全にブービー視点は無しです。

ブービーさんがキレた。

今、目の前の光景です。

あっ、どうも、紹介が遅れました。ハミルです。

現在、マリナ様とアロンゾ様のご帰宅を歓迎する祭(ブービーさん命名)の筈なのですがブービーさんがマリナ様に対してキレました。

はっきり言って恐ろしいです。これまで経験した戦場の中よりも心臓が冷え、いつ死んでもおかしくない感覚まであります。

普段、ブービーさんはおちゃらけで、本気を出さずにいるのは知っていました。本気を出したらこれぐらいだろう、まぁ自分は善戦できたらいいほうかな??と思っていました。

ですが、今、目の前の光景を見て、それは自分の思い上がりだと思いました。

善戦??即死の間違いです。





フランチェスカです。今日はお兄様とお姉様がお帰りになる日、ブービーさんが何かをやらかす日です。

まずは家族総出で玄関で待ちます。ちゃんとブービーさんもいます。それも久々に見た男の格好で。いや、男なのですけど普段はメイド服ばっかなので....

後はメイド長とハミルがいます。ブービーさんはニヤニヤして待っています。

「マリナ様とアロンゾ様がご到着しました!!」

騎士の人が扉を開けます。そこには久々に会う二人の姿がいました。

お姉様はニッコリと笑い、お兄様も笑ってくれました。

「お帰りなさいませ!!」

「お父様、お母様、それにフラン。ただいま」

「ただいま帰りました」

「お帰り」

お父様もお母様もニッコリと笑い、お父様は二人を抱擁します。

「それにしてもフラン!!大丈夫だったか??怪我は無かったか??」

「君が、例の人か??」

お姉様は私に近寄り聞いてきます。お兄様はブービーさんに話しかけますが凄い不安です。

「えぇ、特に怪我も無く無事でしたわ」

胸に手をあてそう言うとギュッと抱きしめられます。力が入っており、少し痛いです。

「やぁ、アロンゾ君。どうだったかね??王都の感想は。人々の様子は??」

ブービーさんが手を挙げて早速馴れ馴れしく話しかけています。その姿を見て一瞬ムッとお兄様はなりましたが、すぐにハッと気がついたような顔をして、

「全てが良好、良好すぎて捗りすぎたよ」

「そうか、それなら問題無い。その信仰に??」

「救いあれ」

二人は不思議な事を言い合い、がっしりと握手をします。フッと少しニヒルな笑い方をするお兄様はかっこいいです。

「それにしてもハミル!!どういう事だ!!

お父様達の護衛にたった3人、しかも弱い奴だけを選ぶなんて!!

騎士団長として恥ずかしく無いのか!!」

私を離し、早速ハミルにお姉様は詰め寄ります。

「マリナ!!やめなさい!!」

お父様がお姉様を叱りつけますが、逆にお姉様はお父様にも詰め寄り、

「その上お父様もお父様です!!

見ず知らずの、身元も不明な怪しい男を雇うだなんて!!

それに1ヶ月に金貨100枚だなんて正気ですか??」

金貨100枚、はっきり言って地方の貴族レベルの給料です。ブービーさんは初め聞いた時、

「100枚って1000万かよ!!!いやそんなに受け取れんって!!せめて10分の1以下にしてくれ!!」

と抗議をしてました。ですが最終的にお父様に纏められてましたが...

「まぁまぁ、落ち着きんしゃいよ。そう怒鳴ってはいけませんぞ」

ブービーさんがおちゃらけた感じに言いながら近寄ります。ニヤニヤは止めて。

「煩い‼︎」

そう短く言います。お母様はオロオロしており、お姉様の勢いが止まりません。

「しかも何ですか!!さっきの話し方!!

ただの雇われのクセにふざけた話し方!!

親の顔が見てみたいわ!!まぁ大した親で無い事は分かっているのだがな」


その時、世界が凍りつきました。


「おい、雌ブタ??誰の親が対した事無いって??」

「貴様のだ!!」

キッとブービーさんを睨みつけます。お姉様は興奮し、気付きません。私やお父様、お母様、お兄様に騎士団長であるハミルまで汗を流し、恐れている事に。メイド長はもはや顔が真っ青です。

「それに、あの騎士3人のどこが弱い奴だって??」

「盗賊程度に殺られる騎士など無能でしか無い!!」

ブービーさんの表情が完全に消えます。

「戦場も、死も碌に知らんメスブタめ...

テメェの存在意義は体ぐらいか??」

「どういう意味だ貴様!!」

「あッ!!」

ハミルが気付く前に決着が付きました。

お姉様が腰に差した剣を抜こうとする瞬間に、ナイフをお姉様の首筋にあてるブービーさん。

一切見えませんでした。体に霞がかかったと思ったらこの状況に。

「無礼者め!!」

お姉様が激昂します。後ろに飛び、剣を抜きます。

「はい死んだ〜、お前死んだ〜。

どう??ロクでも無い奴に殺される感覚は??

あっ、でもそのお飾りな頭では理解でき無いのか〜。残念ですわよ〜」

お姉様の顔が真っ赤になり、

「貴様ァッ!!さっきの意味がどういう意味か分かっているのか!!」

「うんうん、またそれもアイカツだね!!

場所変えましょ、変えましょ。今すぐ変えましょ。

死なれたら困るし」

ブービーさんはニチャァと普段では想像できない笑い方をします。

悪魔の表情、そうとしか言えません。

「来い!!その腐った性根叩きのめしてやる!!」

お姉様は玄関から外に出て行きます。

「あっ、メイド長!!って無理か、あの感じじゃ。

すまんがフランチェスカ??これ、食堂前にいるメイドに渡してくれない??」

そう言ってブービーさんは何かを渡してきます。

それはクラッカーと言うもの。ブービーさんが前に製作し、どういう時に使うものかと聞くと、

「パンっと大きな音とともに紙吹雪を出し、対象を祝う始まりの合図を贈るモノだ」

と言っていました。

ブービーさんはそのまま玄関から外に出ます。やっとさっきまでの凍りついた感覚が消えます。

皆、ゼーゼーと大きく呼吸をしていました。当然、私もです。

心臓を握られるというのはこういった感覚を言うのでしょうか。

とても恐ろしかったです。




訓練場では何人かの騎士がいた。

マリナ様が顔を真っ赤にして入ってきた時は、『あぁ、ブービーさんやらかしたか〜』ぐらいだったが、その張本人のブービーが入ってきた時、全員が胸を押さえていた。それほどまでのプレッシャーをブービーは振りまいている。




「貴様、分かっているだろうな??私が勝てばさっきまでの言葉を謝り、金を全額返金し、ここから出て行け。

万が一私に勝ったのであればそうだな、なんか一つぐらい言うことを聞いてやろう」

「ルールは??」

「負けを認めるか転送されるかだ。正々堂々と勝負、と言いたいが貴様には無理だろうな」

腰から剣を抜き、右手だけでブービーに向かって剣を構える。ブービーは1m弱の騎士団正式装備の両刃剣と2m近くある斬馬刀を背中に背負っている。

走って追いついた頃にはもうこんな状況になっていた。

初対面だが、彼の事は気に入った。

出会って最初のセリフは『その目は誰の為に』という小説の一節である。この小説はマイナーで好き嫌いが分かれる物語である。彼はどこかで俺がこの小説が好きだと知ったのだろう。

ちなみにこれまで小説の内容を知っている人は彼を除いていない。

「じゃァとっとと始めようぜェ!!」

「このコインが地面に落ちたら開始だ」

姉が左手でコインを指で弾く。

空を回りながら飛ぶコイン、姉は剣を構え直し、ブービーは腰から右手で剣を抜き、ぶらーんと力を抜いている。


コインが回る。徐々に上昇速度が落ちていく。


姉は剣に魔力を纏わせる。ブービーはまっすぐ姉を睨みつけている。


コインは上昇をやめ徐々に下降していく。


姉は全身に魔力を纏わせる。ブービーは何もしない。


コインが落ちていく。


姉は深呼吸をし、集中する。ブービーは空いている左手の小指で耳をほじり始める。あいつやべーぞ。


コインが地面に落ち、跳ねる。

「来い!!炎魔人!!」

姉はすぐに魔剣の能力で2mぐらいある魔人を召喚する。

「せやァッ!!」

魔人に向かってブービーは剣を投げる。剣は縦にすごいスピードで回転しながら飛んでいく。

「無駄だ!!」

魔人の頭に刺さるがすぐに融ける。

「バンバン!!バババババババン!!!」

いつの間にか二丁の銃を握り、ふざけた声を出しながら銃弾を放つ。

「無駄だと言っただろ」

魔人が両手から炎を出し、まるで壁のようになる。ジュッと音を立て、銃弾は融ける。その炎の壁にブービーは銀色に筒を投げつける。

バンッと大きな爆発音を立てて白い煙を出す。多分あれは水蒸気、つまり投げつけたのは水筒だろう。

水蒸気のせいで視界が悪くなるが少し離れた場所にいる為気付く。ブービーが大きく助走をとって走り、ジャンプする姿を。

ダンっと大きな音を立てて飛び上がる。3m以上も。彼はとんでもない筋肉量だろう。

斬馬刀の刃を下にし、落ちていく。途中からは煙で姿が見えない。

ザンッと地面に刺さる音がなる、だがすぐにガァン!!という金属音がなり、煙の中からブービーが吹っ飛んでくる。

かなりの勢いで飛んでおり、折れた剣を地面に突き刺して速度を殺している。

「なんだ??さっきのは??

貴様私に勝つ気あるのか??銃なんて武器を使いやがって、腰抜け野郎め」

煙の中から魔人と姉がゆっくりと出てくる。

「グッバイ〜」

血まみれの手に握った何かを押す。

閃光とともに爆発する。自分は思わず目をつむり、耳を押さえる。

流石に姉もきついだろうと思い、数十秒待ってから手を離し、目を開くとゴウッと音と共に火の柱が立つ。

「それで、お終いか??」

姉が柱の中心にて、立っている。ブービーはその中心に向かって地面を蹴り、並行に飛ぶ。

「何度言ったらいいんだ??

無駄だと」

体を少し横にずらし、ブービーを避ける。ブービーはそのままの勢いで吹っ飛んでいく。体に火をつけたまま。

「あっ!!」

俺は思わず声を漏らしてしまった。姉は完全に油断している中、ブービーの狙いを理解したからだ。

ブービーは飛びながら器用に頭と足の位置を入れ替えて地面に刺さった斬馬刀に飛び掛る。

姉は火の柱と魔人を解除する。多分、これ以上やっても無駄と勘違いしているからだろう。

足から斬馬刀に着地し、足を曲げて衝撃を吸収する。

しなる斬馬刀。元に戻る力を利用し、まるで弾丸のように射出される。

姉に背中に向かって。

バキーンッと粉々に砕ける斬馬刀、姉は反応したが既に遅い。

ブービーは姉の背中を殴りつけた。


今回書いててかなり難しいと感じたイリンです。

戦闘描写の理解のしづらさ、ブービーの感情の理解のしづらさ、作者の頭の悪さへの理解のしやすさ。

ほぼ実験に近かったですがどうでしょうか??見事にバッドで溢れかえると思います。

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