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大江戸? 転生録 ~ファンタジー世界に生まれ変わったと思ったら、大名の子供!? え? 話が違わない? と思ったらやっぱりファンタジーだったで御座候~  作者: 鳳飛鳥
突入! 鬼の砦 の巻

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六百十九 『優駿』

「抜けるような晴天のもと、今年もやってまりました大江戸優駿、この競争にて二百五十余藩の頂点、最強四歳馬が決定いたします。それでは一枠から馬と騎手を紹介していきましょう。


 一枠一番シシノムテキ、鞍上はご存知猪河 仁一郎、猪山藩所属、優駿は三度目の騎乗、三度目の正直を得て、無事嫁取りに王手を掛ける事が出来るのか?


 一枠二番ダテマサムネ、騎手は片倉 小十郎、千田院藩所属、優駿初挑戦の若武者は一体如何なる戦いを見せるのでしょうか?


 二枠三番ヤマノスゝメ、福沢兄弟の弟、諭雪(さとゆき)は優駿常連ながら未だ勝ちを取った事は有りません、中月藩所属、今年こそは高山に遅咲きの桜を咲かす事が出来るのか?


 二枠四番カザマツリシンスケ、本阿弥(ほんあみ) 鞘刀(さやと)、幕臣。幕府所有の馬が優駿を制したのは、彼の家安公が所有したキタノアジヘイただ一頭。本阿弥は二度目の偉業を為せるでしょうか?


 三枠五番ガキダイショウ、鞍上の八政(やまつり) 蒲夫(かばお)は昨年優駿覇者、風間藩所属。連覇に掛ける意気込みは他者を退ける事が出来るでしょうか? 前走も二着に六馬身差を付ける圧倒的な強さを見せました。


 三枠六番モウカリマッカ、川中嶋藩所属、鞍上は主戦騎手の村山が先週の競争で落馬した為、急遽田淵 耕一がテン乗りでの出走です。


 四枠七番ヤミノケイヤク、(ちゅう) 二郎、黒津藩の誇る黒毛の馬体が今日も輝いて見えます。


 四枠八番カケルリョウマ、騎手の才谷 梅太郎は撲震無刀流千葉道場の塾頭を務める豪腕の持ち主、その豪腕をこの優駿の舞台でも遺憾なく発揮する事が出来るでしょうか? 所属は土砂(とさ)藩です。


 五枠九番ガクモンノスゝメ、騎手は福沢兄弟の兄の方、福沢 太吉(たきち)、弟と同じく中月藩の所属でやはり優駿常連で一度の勝ち星を上げて居ます。果たして二匹目の泥鰌を掬う事が出来るのか?


 五枠十番ハリコノヒアイ、作部(つくりべ) 好太郎、朝臣。京の都から来た公家からの刺客。馬乗りは武士だけの専売特許では無い、公家にも優れた乗り手は居るのだと、気炎を上げて居ます。


 六枠十一番スープーシャン、騎手の姜 尚(キョウコウ)は龍鳳大陸から来た元冒険者、その優れた武腕を見込んで龍尾藩島原家が召し抱えたとの事。大陸での競争では幾つもの大勝負を制してきたが、果たして火元国でもその腕は通用するのでしょうか?


 六枠十二番ウミノウネリ、古豪隈元(くまもと) 蛸之進(たこのしん)は過去優駿を三度制して居ます、しかも所属する芋野藩は他にも三度の制覇を果たした育成上手の藩、ウミノウネリと隈元は芋野藩に七度目の栄冠を齎すでしょうか?


 七枠十三番オマツリサンバ、綾部 清麿、朝臣、競争開始当初から圧倒的な力を見せ、西国最強の名を(ほしいまま)とした無敗の帝王、この優駿も制し火元最強の名を手にする事と成るのでしょうか?


 七枠十四番メイトウムラサメ、鞍上は主戦の岳雪之丞では無く同僚の犬塚村雨丸、名前繋がりでのテン乗りですが、所属する里見藩は決して勝負を投げた訳では無いとの事でした。


 七枠十五番ムラサマブレイド、皐月賞を制し優駿へと歩を進めた丸外の馬、鞍上の八重(やえ)重松(しげまつ)は幕臣です。今年から外国からの輸入馬が優駿参戦を認められる様に成ったその第一号。火元国より広い大地で育った彼は果たして勝利を掴めるか?


 八枠十六番オニノフグリ、皐月賞ではムラサマブレイドに鼻差で惜敗、優駿の大舞台でその雪辱を誓う鞍上は小林紋太、鹿山藩の所属です


 八枠十七番トラオウマル、北の大地竜頭島で雪にも負けず育った、北国最強の呼び声名高い名馬、その艶やかな輝く様な栗毛は黄金の様にすら見えます、騎手の渡会武は優駿制覇経験こそ有りませんが十大競争の内九つを取った名騎手です、所属は当然龍前藩。


 八枠十八番モウショウサトミ、岳雪之丞、里見藩。最早語る必要も無い最強馬と最強騎手の名相棒。岳雪之丞通算八度目の優駿制覇を成し遂げるか? 勿論人生八度の優駿制覇を成し遂げた者は他には居りません。


 さぁ、喇叭の音が天高く鳴り響き、各馬出走枠へと入って行きます。


 此処で馬券の集計が出た様です、一番人気はやはりモウショウサトミと岳雪之丞、1.8倍の高人気、二番手はオマツリサンバ公家の馬が人気に付けるのは珍しい事態です、やはり此れまでの勝ち方が凄すぎたのか?


 逆に最大倍率が付いたのはハリコノヒアイ、単勝百八十倍は優駿史上でも稀に見る高倍率です。


 さて、どうやら順調に枠入りが進み、大外枠十八番モウショウサトミが無事入りまして……競争開始です!


 各馬綺麗に揃った出走、おおっと!? 一番シシノムテキが一気に鼻を取りに行く。ぐんぐんと前へと伸びていく。


 後ろに続くのは十三番オマツリサンバ、三番ヤマノスゝメも良い位置まで上げてきた。


 頭から順に見ていきましょう、一番シシノムテキが大きく逃げて、その六馬身程後ろに十三番オマツリサンバ、更にその外側に三番ヤマノスゝメ、四馬身程後方に二番ダテマサムネ、その内側に居るのは八番カケルリョウマか? 並んで十一番スープーシャン。


 じわじわと馬群が解れて少しずつ縦に伸びていきます、その後ろに十四番メイトウムラマサ、十五番ムラサマブレイドも遅れず付いていく。


 おおっと此処で四番カザマツリシンスケが急に速度を落としたぞ? 足元を気にしている様だが大丈夫でしょうか?


 カザマツリシンスケを躱して十六番オニノフグリ、十番ハリコノヒアイ、十二番ウミノウネリ、九番ガクモンノスゝメと続いていく。


 其処から更に一馬身程離れて七番ヤミノケイヤク、五番ガキダイショウ、六番モウカリマッカ、十七番トラオウマル。


 最後方に十八番モウショウサトミは随分と遅れて居るが、此れは足を貯めているのか?


 さあ競争は既に第一曲線を曲がりまして順番変わらず第二曲線へと差し掛かる所、此処でモウショウサトミ動いた! サトミ早いモウショウ速い! 大外から前方馬群を一気にゴボウ抜き!


 おおっと!? 第三曲線に入った所でハリコノヒアイ転倒!? 大きく横へと転がった! ソレにオニノフグリにウミノウネリ、ガクモンノスゝメが巻き込まれた此れは大丈夫でしょうか!?


 その後ろ、ヤミノケイヤクにガキダイショウ、モウカリマッカ、トラオウマルは無事躱した様ですが、此処から差し込むには一寸不利が大きく為りすぎました。


 先頭は変わらずシシノムテキ、オマツリサンバとヤマノスゝメも続くが追いつかない。


 此れはシシノムテキの逃げ切り勝ちか? 否、彼が居る大外から飛んできたモウショウサトミ、あっという間にオマツリサンバとヤマノスゝメを躱して一気にシシノムテキに競りかける。


 第四曲線を回って、後は直線叩き合い、シシノムテキが早いか? モウショウサトミが差し切るか?


 否、此処でオマツリサンバも伸びて来た! 此れは届くのか間に合うのか? 二頭の勝負に対して俺も忘れるなと言わんばかりに競りかけていく。


 シシノムテキ、モウショウサトミ、オマツリサンバ、馬体はほぼ並んで走っていく。


 嗚呼ー! 此処でシシノムテキがもう一伸び! モウショウサトミとオマツリサンバを突き放す。


 しかしそうはさせじとモウショウサトミとオマツリサンバにも鞭が入る、再び並んで今決着!


 実況席からは差は見られませんが……果たして勝者はシシノムテキの猪河か? モウショウサトミの岳か? それともオマツリサンバの綾部か?


 確定までお手持ちの勝馬投票券は捨てない様にお願い致します。


 三着確定出ました! 三着はオマツリサンバ! オマツリサンバ三着です!


 果たして勝者は猪河か岳か……。


 出ました! 一着シシノムテキ! シシノムテキが一着、モウショウサトミは二着鼻差で二着! 僅かに届きませんでした!


 猪河仁一郎! 父に続いて親子二代、藩主嫡男の優駿制覇の偉業を達成!


 此れで江戸でも一二を争う美貌の許嫁と祝言が挙げられる! 爆発しろこの野郎!


 四着以下は掲示板をご覧下さい。今年の優駿勝ち馬はシシノムテキと相成りました」

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― 新着の感想 ―
[一言] 1枠1番立ったのでコレは来るかと思ったら来た。
[良い点] 11の名前wwwUMA?
[一言] 仁兄上ついに、解禁(なにが?) うまなみ、なのね(以下自粛)
感想一覧
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