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大江戸? 転生録 ~ファンタジー世界に生まれ変わったと思ったら、大名の子供!? え? 話が違わない? と思ったらやっぱりファンタジーだったで御座候~  作者: 鳳飛鳥
修行 裸の里で少年は何を見るのか? の巻

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六百八 志七郎、稽古を振り返り年の頃を見間違う事

 裸の里に着いてからそろそろ一月が経つ、全裸にお盆で過ごすのにも大分慣れて来た。


 日々の修行はと言えば、三、四日続けて美々殿に裸身氣昂法の指導を受け、多少なりとも成果と言える物が出たならば、その翌日は備市(そなえのいち)殿が出てきて凹々にされる……と言うのの繰り返しだ。


 とは言え、只凹られていると言う訳では無く、日々変動する氣の総量と出力の調整に四苦八苦しながらも着実にソレを物にしつつ、更には剣腕の方も二歩、三歩と確実に進歩していると言う実感が有った。


 その中で気が付いたのは、このお盆が決してネタや冗談で行われている事では無いと言う事だ。


 四方八方何処から見てもモノが見えない様に立ち振る舞う……と言うのは中々骨が居る物で、自分の一挙手一投足全てに気を払って居なければ、何処かしらで『こんにちは』してしまうのである。


 ソレは即ち隙を晒すと言う事であり、自身の身体を十全に管理(コントロール)して動かせて居ないと言う証左なのだ。


 事実、美々殿は俺以外の者が居る場合でも、絶対に誰かに背を向ける事をしない、誰かが後ろの方に来るとさり気なく立ち位置を変るのである。


 二本の閉じた扇子で上下三箇所の隠さねばならぬ場所を、器用に隠している彼女は後ろから見れば、其処にも見えてはならない場所が有るからだ。


 故に、彼女は常に自身の位置と周りの人間の立ち位置を敏感に察知し、常にソレ等を意識して立ち振舞に注意しているのである。


 時に手を使わねばならぬ時には、腕で上を隠してその手を使ったり、時には逆に下を腕で隠して器用に物を拾ったりする、そうした振る舞いに隙は無く、もしも俺が見ようと思っても見たい部分は決して見えないだろう。


 ……まぁ、前世(まえ)の大人な身体であれば、そんな格好の美少女が目の前に居ると言うだけでも熱り勃ったのだろうが、今生の幼い身体はピクリとも反応しない。


 何というか……肉体的若しくは精神的理由で勃つ物が勃たなく成った男が、様々な事に対して自信を失うと言う話を耳にした事が有るが、ソレに近い感覚だと言えば俺の心情が伝わるだろうか?


 そして何よりも一度大人に成った事の有る精神的には、そうした欲望を理解出来る分、欲求が無いのにそうした事に興味を持ちすぎるのが、枯れ果て尚も若い娘に悪戯しようとする助平爺にでも成った気がして来て、とても情けない気分に成るのだ。


 兎角、美々殿の身体を必要以上に見ようとはしないが、稽古場に出入りしている他所の未熟な修行者が隙を晒して、醜いモノをブラブラさせている姿は何度か目にした事が有る。


 そうした差を意識して見ると、俺の方も誰かに見られている瞬間と言うのが有るのに気が付いたのだ。


 何事も『慣れたと思った頃が一番危ない』とはよく言った物で、ソレに気が付いたのは本の数日前の事で、此処に来た当初は見えない様に意識して振る舞っていたのが、何時の間にやら慣れで行動する様に成っていたらしい。


 結果、俺の所作は雑に成り、真正面に居る者には見えずとも、横や後ろからは丸見えだったと言う恥ずかしい状態に成っていた訳だ。


 しかし其処に気が付いた今は、何処に誰が居るのか周囲に常に気を配り、モノを晒さぬ様自身の立ち振舞いにも気を付ける様に成った。


 そうした変化が美々殿にも伝わったらしく、俺は今までよりも一回り小さなお盆を使う様に指示を受けたのだ。


 隠す道具が小さく成ったなら、その分より立ち振舞いには注意を払わねば成らず、それはそのまま身体を自身の思った通りに動かす為の訓練に成ると言う訳である。


 なお、裸身氣昂法の習得……と言う意味では、身体の回りの空気にも氣の素と成る物が含まれており、ソレが濃い場所と薄い場所が有る事が肌感覚として、何となく解る様に成ってきたと言った所だ。


 美々殿曰く、ソレが解る様に成ったのであれば、後は皮膚呼吸を意識して氣の素を肌から取り込む事が出来る様に成れば、後は何処でも修行は出来るし、其処から先は自分で鍛錬を深めていくだけ……らしい。


 つまりはもう少しで取敢えずの卒業が見えてきたという事だ。


 で、今日の修行はと言うと……


「何で出来ないんですかねー、氣の素が感じられるなら後はソレをただ吸い込むだけじゃぁ無いですか? 美々(ねぇ)様がお優しくて美しいからと言って、手を抜いてその柔肌を何時までも眺めて居たいと言うのであれば、理解出来なくも無いですけどねぇ」


 美々殿が所用で里の外へと出る必要が有った為、代理の者が稽古を付けてくれると言う事だったので、また内家殿が来るのかと思ったら、やって来たのは睦姉上と同じくらいの、そろそろ胸が膨らみ始めるかどうかといった歳頃の少女だった。


 彼女は内家殿の妹で名を椎菜(しいな)と言うらしい、年相応の幼い愛らしい顔立ちと、尻の下まで届きそうな長く伸ばしたままの髪が特徴的である。


 裸身氣昂法は極めると成れば話は別だが、入り口付近の技術である集氣法や外氣功までならば、既にある程度氣の運用を学んだ者であれば、然程苦労する事無く覚える事が出来る物だそうで、彼女も奥義と呼ばれる技は使えないが爆氣功までは修めているのそうだ。


「ですから今日は(わたくし)が見本を見せて差し上げますから、目を逸らさずきっちりと此の私の此の身体を余す所無く見て、ちゃんと覚えて下さいましねぇ~」


 そう言いながら悪戯っぽく笑う彼女が、起伏の少ない身体の局部を隠すのは開いた二本の扇子で、その習得度は流石に美々殿と比べれば流石に下の様である。


「あら? なんですの? 鬼斬童子殿は歳の割におませさんだけども、初心(うぶ)だから女児(おなご)の身体を真っ直ぐに見る事が出来ない、と美々姉様がおっしゃってたのに……何故私からは目を逸らしませんの? 若しや私が余りにも好みで目を逸らす事が出来ないとか?」


 美々殿の様な出る所は出て引っ込んでいる所は引っ込んでいる、そんな妙齢の女性の裸を直視する事が出来ない理由は上記した通りだが……残念ながら俺は旧友の様に幼い身体付きの少女に性欲を抱く趣味は無い。


「いや、ソレは無い」


 彼女位の歳頃ならば俺に取っては『女性』では無く『女の子』で有り、性欲では無く保護欲の対象だ。


 とは言え、そんなにまじまじと見る様な事はしていないのだが……まぁ目の前に美々殿が居る時程勢いよく視線を逸らす様な事をしていないので、確かに差が有ると言えば有るのだが……。


「胸ですの!? 結局は胸ですの!! 胸の無い女児は生きてる価値は無いとか! 貴方もそんな感じなんですの!?」


 と、そんな急に逆切れされても困る……。


「胸って、貴方の歳頃ならまだ無くて当たり前、此れからどんどん大きく成るんじゃなぁ無いのか? ソレに太祖家安公が『乳に貴賤無し』って言葉を残してるんだから、そんなに自分を卑下する必要は無いと思うが……」


 取敢えず当たり障りの無い言葉を諭す様に口にしたが……


「真逆、貴方! 私を幼子かなにかだと思っていらっしゃるのかしら!? 私と姉様は一つしか違いませんわ!!」


 おおっと!? 藪を突付いて蛇が出た……女性に歳を聞くのは失礼に当るのは此方でも向こうでも同じ事、と美々殿の年齢も正確な所は聞いていないが、顔立ちと身体付きから察するに、礼子姉上(十八歳)から智香子姉上(十六歳)の間だと思っていたんだが……。


 美々殿が思った以上に若かったのか、其れ共睦姉上(十二歳)位と判断した椎菜殿がもう少し上の年齢だと言う事か?


 何方にせよ、今のは完全に地雷を踏み抜いた発言だったのは間違いなさそうだ。


「きょ、今日のお稽古は、私が外氣功のお手本を見せて、貴方がソレを身に付けるお手伝いをするつもりでしたが……気が変わりましたわ……」


 俯き肩を震わせつつそう言った彼女は、長い髪を揺らめかせて顔を上げると……


「裸身氣昂法が武芸、鞭髪(べんぱつ)術の技の冴えをお見せいたしますわ! 両手が塞がっていてもこうすれば、攻撃は出来るんですのよ!」


 咆哮を上げ、その長い髪に氣を纏わせると、その言葉の通り鞭の様に振り回しながら俺へと迫る。


 流石に全裸でソレを受けるのは痛いなんて(もん)じゃぁなさそうだ、そう判断した俺は直ちに遁走を決め込むのだった。

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[一言]  オッパイには男の夢が詰まっていると言う。  ならば胸囲の格差社会、乳サイズの違い、ソコにはナニが在るのか?  巨乳、男の夢・ロマンが詰まっている。  貧にぅ、可能性の塊?だっ。  微乳、…
[良い点] 鉄鞭と言う名の棍棒よりはマシ? 女性の髪の鞭ですと気の伝導効率よさそう
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