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大江戸? 転生録 ~ファンタジー世界に生まれ変わったと思ったら、大名の子供!? え? 話が違わない? と思ったらやっぱりファンタジーだったで御座候~  作者: 鳳飛鳥
技巧そして名工達 の巻

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二百三十六 志七郎、魔法を学び属性を知る事

「注文するだけなら私が転移すれば良いけれども、あの岩モグラ連中じゃぁ剣や斧は作れても刀は難しいでしょうねぇ……」


 午後からは魔法の授業が有ったので、休憩中の雑談に新たな得物とそれを作る為の材料の件を話題に出してみた。


 そして錬玉術師組が言い出した『時』のインゴットに話題が及ぶと、彼女は苦虫を噛み潰す様な表情でそう吐き捨てる。


 森人エルフ山人(ドワーフ)此の二つの種族の不和は、前世で読んだ覚えの有るファンタジーでも良く有る設定だったが、それはこの世界でも当てはまる事は書庫の本で読んだ事が有った。


 森人達は誰が見ても美しいと言うだろう容貌と、千年を軽く超え傷病以外では死なぬのでは無いかと言われる程に長い寿命を持ち、その多くが優れた戦士か魔法使いで有ると言う、極めて恵まれた能力を持つ種族で有る。


 だがあまりにも恵まれすぎたが故に彼女達は多くの戦乱の原因と成り、その戦いの中で多くの命を散らしていった。


 絶滅に瀕した彼女達は世界樹の神々の従僕として生きる事を選択し、その大半が世界樹で生きている。


 俺が読んだ歴史書では、山人も森人同様に寿命を持たず強靭な肉体を持ち手先が器用で忍耐深い、と決して森人に劣る種族では無い。


 だが山人は成人男子でも五尺(約150cm)を超える事は殆ど無く、男女共に長く伸ばされた髪と髭(なんと女性でもだ!)で全身が覆われた『毛むくじゃら』と、美しいとは形容し難い種族で、その姿から大昔には『人類』では無く獣や魔物として扱われていた。


 森人の様に人間に積極的に狩られる理由のなかった彼らは、他者からの評価を気にせず己の道を邁進するという気質も手伝って、比較的近年に至るまで自らのテリトリーで有る山から出る事無く独自の文化を築くに至る。


 山人からすれば森人は自分達の生活を自分達で守る事も出来なかった軟弱者達の癖に、敬愛するべき神々の寵愛を受ける卑怯者と言う認識で、森人からすれば戦いもせず地底に逃げ込んだけもの風情と言う認識なのだそうだ。


 お花さんが生まれた頃には、既に世界樹の神々に依る統治システムは出来上がり、山人が森人同様に『妖精族』の一種族として広く知られて居る筈なのだが、森人の長老たちがその様な認識なのだから、ソレを改めるのは中々難しいのだろう。


 そんな事を思い出して居ると、


「確かに『時』を付与した武器は強力だけれども、貴方の歳で強い武器に頼る事を覚えるのは良くないわ。それに貴方は精霊魔法を学んでいるのだから、長じてからならば兎も角、今の時点でと言うので有れば私は反対させてもらうわ」


 彼女は己の持つ知識から、錬玉術師組の提案を否定した。


「強い武器を己の力と勘違いし研鑽を怠るから……と言うので有れば、それは理解できますが、精霊魔法と強い武器の関連性が解らないのですが……」


 その言葉の意図が今一つ解らず、そう問い返す。


「んー、それじゃぁ授業の続きを始めましょう。丁度良いから、属性のおさらいとソレを宿した武器に付いて説明しましょう、先ずは基本からね」


「はい」


 精霊魔法では基本となる火水風土の四属性とそれらを複合させる事で派生する十一の複合属性、合わせて十五種の属性が用いられる


 基本の四属性は前世まえによく読んだファンタジー小説の定番で、それぞれが何の曲解も無く解りやすい自然現象なのだが、複合属性はその名前とは関係無さそうに見える様々な概念が含まれていた。


 二種複合でも火+風=『雷』や水+風=『氷』と言うのはなんとなくイメージ通りかも知れないが、火+土=『熱』や土+風=『砂』と言うのは少々不可解だ。


 それに相反するとされる火+水や土+風も打ち消し合う事無くしっかりと別の属性に派生するというのも今一つ馴染みが無い……火+水=『雲』、水+土=『毒』とか最早トンチの世界じゃないだろうか?


 各属性に含まれる魔法も、砂属性に敵を眠らせる『眠りの砂(サンドマンズ・サンド)』と言う魔法が有ったり、雲属性に対象の防具や皮膚を破壊する『酸の雲(アシッドクラウド)』が有ったりする。


 俺にはどちらも毒属性の様に思えるが……属性と効果については『そういう物』と割り切って覚えるしか無いのだろう。


 ちなみに三種複合は火+水+土=『石』火+水+風=『消』火+風+土=『光』水+風+土=『闇』、四種全て複合させれば今までも何度か出てきた『時』の属性となるのだが、どういう法則でそうなるのか全く理解の外で有る。


 兎角、そこまでは今までの授業で習った事だ、それぞれの属性に含まれる概念云々も色々と有るのだが、今日の授業の肝はそこでは無い様なので、また機会が有れば記する事も有るだろう。


「うん、複合属性の組み合わせもちゃんと覚えているわね。じゃぁ此処からは新しい事柄になるわ」


 そう前置きして彼女は再び口を開く。


「鬼や妖怪、妖魔や魔獣その他諸々纏めて魔物モンスターだけで無く、人間や妖精、獣人と言った人類も含め、この世界に存在する全ての生き物には『抵抗属性』と『弱点属性』という物が存在するわ」


 種族毎の特徴としてそれを持つ者達も居れば、個体の特性としてそれを持つ者も居るのだと言う。


 抵抗は『半減』『無効』と『反射』『吸収』、弱点は『倍増』『貫通』『即死』と、幾つかのパターンが有るらしい。


 例えば先日戦った鬼亀は種族としては熱は『貫通』毒には『倍増』の弱点を持ち、個体の特性としてその甲羅に対応する四属性に対して『無効』を持つのだそうだ。


「大鬼がどの属性に対する抵抗力を持っていたかは解らないけれど、恐らくは種族由来の弱点は変わらないだろうから、それを貴方が理解していて複合属性の魔法を操る事が出来たなら刀を砕かれる事も無く楽に倒せたでしょうね」


 と言われても、四煌戌が急速に大きくなったのはここ最近で、彼らに無理をさせない為、実際に魔法を使う練習は然程長い時間を取っていないし、複合属性に至っては俺の身体への影響が有るかも知れないと、彼女自身に禁止されている。


「複合属性はまだ駄目だって、お花さんが言ったんじゃないですか……」


「うん。いくら過去世持ちとは言え……ううん、だからこそ、ね。単一属性でも身体と魂に強い負荷が掛かってるわ。今の段階で無理をするのは危ないわ、魔法の行使は魂を圧迫するからね。飽く迄も今後の事……よ」


 一つ頷いて俺の言葉を肯定し、それから


「そして此処からが今日の本題。武器に宿した属性の話ね」


 属性を宿した武器は対象がその属性に対して抵抗や弱点が有る場合、魔法同様の結果が発生するのだと言う。


『反射』だからといって切りつけた刀が跳ね返って来ると言う事では無く『切りつけた結果与えたダメージの対象が自分に移る』と言うのはやはり理解の範疇外だがその辺は魔法が実在する世界なのだから今更なのかも知れない。


 そう言う事が有るので、属性を宿した武器と言うのは時に諸刃の剣とも成り得るのだ。


 特に属性武器一本しか持ってなければ、目の前に現れた魔物がその属性に無効以上の抵抗力を持っている場合には、素手で対処しなければ成らない羽目になってしまう。


 ここまでの説明だけでは属性の無い武器の方が良い様に思えるが、属性を付与されていない武器は『物理』とでも言うべき属性を持っており、それに対して抵抗を持つ物が居るので有る。


 逆に物理が弱点の者は居ないと言うのだから、属性武器が持て囃されるのも解らなくは無い。


「けれども、その全てを解決してしまうのが『時』の武器なのよ。『時』の属性に抵抗力を持つ魔物は今の所世界中を見回して見てもたったの一匹たりとも確認されていないわ。『時』が弱点の魔物は何種類か居るけれどもね……」


 ……何そのチート武器。

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