表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大江戸? 転生録 ~ファンタジー世界に生まれ変わったと思ったら、大名の子供!? え? 話が違わない? と思ったらやっぱりファンタジーだったで御座候~  作者: 鳳飛鳥
志七郎、南へ の巻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1243/1252

千二百四十一 圧倒的な腕力に屈し経済格差を思う事

「お前様ー!!」


 俺が精霊魔法学会の門を潜り本校舎への道を少し進んだ所で、そんな可愛らしい叫び声と共に、一寸可愛らしいとは言い難い全身を氣でキッチリ強化しなければ全身粉砕骨折を起こしても不思議では無い衝撃が襲う。


 多分、前世の俺だとこの衝撃を食らったならば確実にそのまま来世へ向かう転生への道を辿る事に成ったのではなかろうか?


 俺の許嫁であるお連のブチかましは、下手をしなくても大型運搬車(トラック)とタメを張れる程の威力に到達しているのだ。


 しかも此れ氣で強化してやらかすと更に酷い事に成ると言う実戦での証明付きである。


 生まれ持っての素質なのか、其れ共猪山藩と言う人外魔境で育ったが故なのか、彼女は極々普通の幼女にしか見えない体型ながら常人離れした筋力を誇り、その所為も有ってか無駄な肉が付いている訳では無いのだが……重いのだ。


 前世の世界の様に体重計が何処にでもある様な世界では無いので、飽く迄も俺が彼女を抱き上げた時の体感でしか無いが、身の丈四尺六寸(約140cm)に対して体重は十六貫(約60kg)くらいはある様に思う。


 恐らくは体質的に筋肉の密度が常人離れしている……とか、そう言う感じの特異体質なのだと思うが、鬼や妖怪の血が混ざりあいどんな子供が生まれても不思議は無い土地柄である猪山藩では、ソレが奇異の目で見られる様な事は無かったらしい。


 ……ただ彼女は生粋の猪山人では無く、富田藩骨川家の血筋で猪山藩(ウチ)の人間程に血筋のびっくり箱状態では無い筈だが、女鬼を討伐しソレを娶るのが武人の誉とされている火元国だ。


 何処の家だってどっかで鬼や妖怪の血が混ざって居ても何ら不思議は無いし、ソレが先祖返りを起こして隔世遺伝的に体質が現れる……なんて可能性は零とは言い切れない。


 ソレに超常が一般社会に対して隠された世界だった前世の世界でも、何等かの遺伝子異常で常人よりも筋肉の密度が異様に高い子供が生まれると言う案件(ケース)は有ると言う様な話は聞いた覚えが有る。


 ぶっちゃけお連の異様とも言える腕力は、彼女の骨格に積める人間の限界にも近い異常発達した筋密度の為せるモノで有り、氣を纏わずして此れ程の力を発揮するのは義二郎兄上でも無理な話だと言う。


 今は未だ成長の途中だが、身体が出来上がった暁には純粋な腕力だけならば義二郎兄上をも上回る可能性が極めて高い……と言えばその異様さがご理解頂ける筈だ。


 まぁその分、常人よりも多くの食事を摂らなければ、割と簡単に栄養失調を起こしてしまう等の不利益(デメリット)が全く無い訳では無いが、ソコは強けりゃ食い扶持が稼げるこの世界では然程の問題には成らない。


 ちなみに此方の世界の女性は全般的に向こうの世界の女性程、体重を気にする事は無い。


 ふくよかな体型が好まれるか細身の体型が好まれるかは国や地域に依って差は有るモノの、概ね少し太め位の方が健康的で良い子供が生まれるだろう……と言う地域の方が圧倒的に多いらしいのだ。


 火元国の場合には太祖家安公の影響も有ってか『乳に貴賤は無い大きいには大きいの、小さいには小さいの、それぞれに魅力が有る、乳は乳だと言うだけで尊いのだ。ソレはさておき大きい乳は良いよね』と言う男が割合としては比較的多いそうだ。


 俺? 俺は一応『乳に貴賤は無い』派だと断言しておく……が、児童に対して劣情を抱くのだけは駄目だと思う。


 百歩譲って高校生が相手ならば、手足は伸び切っているだろうし、そう言う目で見るのも仕方ないとは思うが、ソレでもこっちが大人ならば手を出すのは最低でも十八歳を越えてからにするべきでは無かろうか?


 俺がくたばった時点では女性は十六歳の誕生日を過ぎれば結婚出来ると民法では定められて居たが、ソレだって人生五十年時代に制定された法律で現代の価値観にはそぐわなく成っていたと思う。


 とは言っても、女性の妊娠出産の適齢期は二十歳~三十代前半まで……と人生の中でも極々限られた期間である事を考えれば、ある程度若い子に目が行くのは仕方の無い事なんだろうな。


 未成年同士の恋愛からそう言う関係に進むのも、若すぎる妊娠にさえ気を付けて避妊さえキッチリしていればソレを否定する気は無い。


 いやお巡りさんとしての感覚では不純異性交友はアカンと思うが、純愛の結果そう言う行為に至ると言うのでアレばソレを否定するのも違うだろう。


 ただ欲望に任せて避妊もせずに『ガンガン行こうぜ』した結果、不利益を被るのは女性の側である事が多いのも事実なので、愛して居るならばキッチリ避妊しろ! と声を大にして言いたい!


 そ~言う意味では、今生の俺とお連は一応『真っ当な恋愛』の範疇に有る年の差では有るが……前世の俺と言う記憶が残ってる身からするとやはり幼子に手を出すクズ野郎と言うに感覚になっちまうんだよなぁ。


 息子さんも元気に成った事だし色々エロエロヤりたいと言う欲求が無いと言えば嘘になるが、流石にソレをお連にぶつけるのは気が引ける……を通り越して気が咎めるのだ。


 だからと言って銭をぶん投げて吉原辺りで浮名を流す様な真似をするのも、お連に悪い気がして中々に踏み出せて居ないと言うのが現状である。


 にも拘らずお連は会う度にゴロゴロと喉を鳴らす猫がじゃれ付く様に、自分の臭いを俺の着物に染み込ませようとでも言うのか、此方の胸元に額やら頬やらを擦り付けて来るのだ。


 ……確かに中身は今のお連に手を出す様な真似はしてはいけない! と、ガッチリ心に決めているし実際そんな真似をしようとした事も無い。


 けれども健全な息子さんを取り戻した今現在の俺に対して、彼女の行為はあまりにも無防備が過ぎる。


 彼女の身体から感じられる、なんとも心地よい甘酸っぱい香りを嗅いだだけでも、褌の前が持ち上がりそうになるのだ。


 普段は向こうの世界から持ち込んだ柄パン(トランクス)を愛用している俺では有るが、ワイズマンシティに来る時には彼女とのこうした触れ合いに備えて、逸物を強く抑え込める様に褌をキツめに締める様にしていたりする。


「お連……こっちの大陸ではこうした愛情表現は普通の事かもしれないが、火元国では端ないと咎められる事にも成りかねないからな、こっちでやる分には良いけれど、向こうに帰ったら注意しないといけないよ」


 無理矢理力尽くで引き離す様な真似はしない……と言うか圧倒的な腕力の差で、氣を纏わずにソレをするのは不可能だし、向こうも氣を纏う事が出来る以上は本気で抵抗されたなら、爆氣功状態にならずにソレをするのは不可能だ。


 故に軽く頭を撫でて彼女が気の済むまで好きな様にさせる訳だが、ぶっちゃけ周囲のからの視線が痛い。


 いや生粋のワイズマンシティっ子や留学生でも西方大陸(フラウベア)の他の都市から来ている者達は、微笑ましい物を見る目で流してくれるので良いのだが、問題は火元国から来ている独り身の連中だ。


 留学団第一陣の者達や第二陣でも比較的家格の高い家の者達は、お手付き前提の女中さんを連れて来ていたり、娼館へと遊びに行ったりしているので、俺達に対しても然程気にした素振りは見せない。


 だが……問題は第二陣の中に多数居る比較的家格が低い家の、次男坊や三男坊と言った留学から帰って独立した家を建ててから縁談を探さなければ成らない者達だ。


 彼等の留学に掛かる経費なんかは幕府が出してくれるので、勉学に励む間の生活に心配は無いが、ソレ以外の外食に掛かる費用なんかは自腹だし、当然娼館なんぞに遊びに行く費用を経費で落とす様な真似は出来やしない。


 それ故彼等は学業以外の余暇を使って冒険者組合(ギルド)経由で依頼を受けて魔物(モンスター)の討伐なんかで銭を稼ぎ小遣いを得ている訳だが、火元国へと帰還した後に新たな家を起こす為にはそれ相応の費用が掛かる。


 ただ家を起こすだけならば雀の涙程度の銭でも問題ないと言えば無いが、そんな尻に火が付いた様な家計状況で嫁を貰うのは流石に不誠実が過ぎる……と、彼等は今の時点で遊びに大枚を叩く様な真似をせずコツコツと貯蓄に励んでいる訳だ。


 そんな彼等が見ている前で堂々といちゃつく様な真似をしているのだから、幾らお連が未だ年端もいかない子供とは言え『爆発しろ』とか『もげ爆ぜろ』なんて言う嫉妬の籠もった視線が飛んでくるのは仕方の無い事だろう。


 精霊魔法使いが相手だと、ガチで物理的に爆発させられる恐れが有るので、ソコは少々怖いが武に依って立つ者としてビビってる姿を見せる訳にも行かず、俺はお連が満足するまで暫しその場で彼女の好きにさせるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ