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大江戸? 転生録 ~ファンタジー世界に生まれ変わったと思ったら、大名の子供!? え? 話が違わない? と思ったらやっぱりファンタジーだったで御座候~  作者: 鳳飛鳥
志七郎、南へ の巻

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千二百二十九 新たな日々と新たなチカラ

 火元国へと帰ってからこっち兎にも角にもやる事が多い!


 何処でも好きな所に飛べる様に成った訳では無く、既に登録済みの遠駆要石(ポータルスートーン)への転移しか出来ない現状では、先ずは火元国有る遠駆要石を片っ端から登録して来いと、言われて毎日少しずつでは有るが移動しては登録……を繰り返している。


 既に登録した遠駆要石への転移は既に安定しているので、他の用事が無ければ取り敢えず前日登録した遠駆要石へ転移し、次の遠駆要石を目指して移動して程よい時間に成ったら江戸の鬼斬奉行所にある遠駆要石経由で屋敷に帰ると言う感じだ。


 本来ならば嫡男で無くとも大名家の子弟が江戸を離れる際には、幕府に届け出をして通行許可なんかを取る必要が有るのだが、俺には大分前に頂いた『出入御免状』が有るので、基本的に火元国の中ならば何処へ出かける事も出来る特権が有る。


 その御蔭で正しい手続きを踏むなら毎日幕府に届け出をして、一度は白虎の関所を朝一で通ってから転移しなければ成らないのが、朝飯を食ってから前日行った遠駆要石まで直接転移しても問題に成らないのは本当に有り難い。


 そんな訳でお祖父様では無いが火元国の津々浦々に、何時でも何処へでも転移で移動出来る準備を整える日々を送っていると言う訳だ。


 とは言え俺の行動範囲は火元国中だけで完結している訳では無い、週に2回程度の割合では有るがワイズマンシティに転移で移動して、西海岸流侍道(ウエスタン・サムライ)を学ぶ時間も取っている。


 ついでに精霊魔法学会(スペルアカデミー)に留学している者の中で、転移魔法まで身に着けた訳では無いが、何等かの理由で留学を切り上げたり、一時帰国を望む者を有料で一緒に転移したりするアルバイトで銭を稼ぐなんて真似もしていた。


 一応、精霊魔法にも依頼を受けて魔法を使う場合に支払う謝礼の相場と言うモノは有り、転移で火元国へと帰ると成ると十両(約100万円)は下らない額面を支払う事に成るのだが、俺はついでだと言う事と身内価格と言う事で破格の1両で請け負って居るのだ。


 余り相場を乱す様な真似を大々的にヤると学会から問題視される事も有るが、世界的に見れば辺境も辺境のド辺境である火元国まで転移出来る者が殆ど居らず、ソコを目的地にする者も殆どいない事から『飽く迄も身内に限り』と黙認されて居る状況である。


表演(ひょうえん)爆火斬(ばっかざん)! 裏演(りえん)三下半(みくだりはん)!」


 そんな日々の中、今日は西海岸流侍道の稽古でワイズマンシティに有る道場を訪れていた。


 ソコで俺が今放ったのは、属性が足りず師範も秘伝書で存在は知っているが、自身では使えないとされた西海岸流侍道の肝とも言える技と魔法の一つだ。


 そしてコレを実際に試して見て、西海岸流侍道が火元国で伝承されていない理由も理解出来てしまった。


 西海岸流は武技も魔法も兎に角一手で多数を薙ぎ払う事を主眼に置いて居る様で、単独で多数を相手にする為の流派なのだと、爆火斬を試して分かったのである。


 裏演三下半は現在地点から見て後方に大きく転移する魔法で、表演に区分される魔法の効果範囲から脱出する為に用いられる物なのだ。


『表演の後には必ず裏演有り』と指南書に書かれていたのは、転移で早急に脱出しないと表演で放った魔法に自分自身が巻き込まれて自爆する事に成る……と言う事だった訳である。


 流派の始祖であり黒の色位を持つ大魔法使いでもあった禿河家安と言う人物は、この世界へと来た時点では素手の喧嘩(ステゴロ)はそれ相応の実力を持っていたが、武器の扱いは点でダメで魔蔵(まくら)山の難喪仙(なんもせん)に弟子入りし武器の扱いを習ったと言う。


 その後、彼をこの世界へと導いた超時空太猴と言う霊獣の力を十全に使える様にする為に、ここワイズマンシティの精霊魔法学会の門戸を叩き黒の魔法……時と重力を司る属性を極めて再び火元国へと帰って行ったらしい。


 学会時代の彼に付いては呪文図書室(スペルライブラリ)に伝記の様な物が有ったので、ソレを読んだ事で知ったのだがどうも単独で大規模な魔物の群れに吶喊し、囲まれた状況で西海岸流を使って食い破る……と言う戦い方を好んでいたそうだ。


 しかし火元国へと戻ってからは、彼の先見の明に目を付けた大名や商家の後援を多数受ける様になり、その結果ソレまでの様にたった一人で誰の援護も受ける事無く多数の敵に突撃を仕掛ける……と言う機会は無く成ったのだろう。


 その結果、家安公が編み出した一騎当千と言うか、向こうの世界で友人が遊んでいた三国志をモチーフにした電子遊戯(ゲーム)の様な多数を吹っ飛ばす為の流派は、火元国には継承されなかった……と言う事の様である。


 けれども来年頭にあるであろう国盗りは兎も角として、その先に控えた『死神さんの名前探し』の際には、完全に一人旅に成るかどうかは分からないが、この流派を学ぶ価値は十分にあるんじゃないかと思われた。


「おお!? 一撃であの範囲を切り裂き焼き払うとは……対人で使うには少々火力過多に思えるが、取り巻きを連れた大鬼やら大妖やらを相手にするならば、間違い無く有用な技だな! 余も転移をモノにした暁にはあの技を使える様に成らねばな!」


 太祖家安公が開祖の流派と言う事も有り、西海岸流に関しては武光にもその存在を教えた事もあり、俺が居ない間も足繁く道場へは通っていた様で、基礎と成る武技の方は大凡を修めたと言って良い状態では有る。


 けれどもまだ精霊魔法の扱いに関しては、元々契約している水風土の三色霊獣の闇翅妖精(ダーク・フェアリー)である黒江(くろえ)と、追加で契約した火の精霊の力を合わせて四属性の複合である時属性の扱いには梃子摺っているのが現状だ。


 元々四属性全てをその身に宿す四煌戌と違って、三色霊獣が精霊と力を合わせて時属性を編むと言うのは、単体でソレをソレをするのに比べるとかなり難易度が高い行為らしい。


 ましてや四煌戌は三つの首それぞれに自意識を持ちながら、それぞれが自分自身でもあると言うかなり特殊な霊獣で、他の四色霊獣と比べても時属性を扱う難易度はかなり低いだろう……と言うのがお花さんの見立てである。


 まぁそれでも三色霊獣一体と下位精霊の複合で時属性を扱うのは、下位精霊四体を同時に召喚してソレを成すのに比べればヌルいと言える範疇らしいので、武光の奴も研鑽を積んで行けば絶対に無理と言う事は無いだろう。


 年明けの国盗りまでに間に合うかどうかは分からないが、お祖父様には武光に関しては自力で帰って来たならば参戦させても良いが、俺が連れ帰る事はまかり成らんしその予定がある事も伝えるなと言われているので、多分参戦自体させたく無いんだろうな。


 もしも参戦した上で本当に武光が言っている通りに、アイツが次期将軍の座を射止めた時には、色々な影響が後に出過ぎる可能性は多いにあるだろうし……。


「つか、コレ単身で大軍を相手にする前提の戦闘術だから、同士討ちの可能性がある様な状況じゃぁ使えないぞ」


 何よりもこの流派を本気で極めると言うのであれば、時属性の魔法は必須だしソレを身に着けるにはあと2ヶ月ちょっとしか無い今年の内と言うのは厳しいだろう。


「成る程ー、ミーは精霊としか契約出来て無いので、表演や裏演は指南書の範囲でしか知ら何だけれども……ココまでバカ火力な魔法だったでーすかぁ。まぁ単属性の氷花(ライム)爆発(エクスプロージョン)も大概ディスからねぇ」


 腕を組んだ状態で仁王立ちしたままでウンウンと頷きながら、そんな言葉を口にする百手(ヘカントケイル)のトム……いやトム師範。


 彼は四属性の精霊を四体同時召喚した上で、それぞれの単属性魔法を斬撃や銃弾と組み合わせて繰り出す事で、お花さんの所の師範代以上の手数で高い威力の魔法を打ち出す使い手だ。


 しかも彼が契約している精霊はごく普通の単属性の下位精霊と言う訳では無く、代を重ねて契約を引き継いで来た事で自意識を獲得した最低でも中位以上の格を持つ精霊……らしい。


 だからこそ単属性でも相応以上の火力が出る訳だ……ちなみに四煌戌も最近は他の首が司る属性をある程度共有して操る事が出来る様に成長して来た様で、火と火を重ねて炎にすると言った魔法の運用も出来る様に成ってきている。


 実際、今行った表演爆火斬も火の下位精霊では扱う事は出来ず、四煌戌と焔羽姫の権能(ちから)を合わせ、火を三つに重ねる事で初めて対団を超えた対軍規模の大魔法として放つ事が出来たのだ。


 資料に依ると太祖家安公は超時空太猴だけでなく四属性それぞれの中位精霊とも契約していたらしいので、少なく見積もっても各属性の三重起動は確実で、もしかしたら四つ重ねる程の大魔法としてこの技を運用していた可能性も捨てきれない。


 時属性を扱う時点で術者に四つの属性を重ねる技量があるのは間違い無く、後は契約している精霊や霊獣の権能(ちから)が何処まで有るか……と言う問題に成ってくる。


 今の段階で四煌戌は同属性を二重起動するのが精一杯で、同属性の三重起動には未だ至っては居ない。


 彼等の成長の限界が何処まであるかは未知数では有るが、将来的には四煌戌だけで三重や四重起動なんて真似が出来る様に成る可能性は十分に有る。


 まぁ今の段階でブチかませる表演だけでも、俺がこちらの世界に生まれ変わってから相対した大概の魔物(モンスター)は一気に殲滅出来るだけのバ火力の大技何だけどな!


 それでも倒せない敵が居る事も同時に理解している為、俺は将来を見越して西海岸流侍闘法を研鑽し続けるのだった。

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― 新着の感想 ―
おかえりなさい 「裏演三下半」技名が悲しいですねw 切ないw
おかえりなさい、待ってました! これからまた大江戸? 転生録を読めるのが嬉しいです
あの将軍の技ですか懐かしい。5本の指先それぞれに火炎魔法出してぶつけるあの技もあるのかな?
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