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大江戸? 転生録 ~ファンタジー世界に生まれ変わったと思ったら、大名の子供!? え? 話が違わない? と思ったらやっぱりファンタジーだったで御座候~  作者: 鳳飛鳥
志七郎、南へ の巻

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千百二十二 志七郎、驚く程の欲を見せ更なる欲に身を任せる事

「ガツガツもぐもぐムシャムシャはぐはぐ……ゴっゴっゴッ……ごっくん!」


 目を覚ましてから更に二日が経ち、俺は身体が求める物を埋める彼の様に、只管に食って寝て食って寝てを繰り返して居た。


 常人の三倍食うのが当たり前と言われる猪山人足る此の身体に生まれ変わってから、前世(まえ)の自分が見たらドン引く位の食事量に成ったが、今の俺は其れに輪を掛けて暴食の権化と化して居る。


 前世の俺だって体育会系の真っ只中で成長し、職場もゴリゴリの体育会系である警察官、食事の量は決して少ない方では無く、ドカ盛り全部食べたら無料(タダ)系の挑戦献立(チャレンジメニュー)も幾つか制覇して居た程だ。


 そんな俺がドン引く食事量と言うのは未だ成長期には一寸早い時期にも拘わらず、TVで偶に観ていた様な大食い大会の映像に出てくるフードファイターと呼ばれる者達に近しい量の食事を毎食食う様な生活である。


 身体を効率良く肥大化させる為に毎日大量のちゃんこを食って居る相撲取りですら食い切れない程の飯を、毎日の食事毎に食っても無駄に肥える事が無いのは、其れに見合うだけの運動をして基礎代謝も高いからこそだろう。


 普段からそう言う食生活をして居る俺が、何時も以上の飯を食ってろくに稽古もせずに妖怪食っちゃ寝の如き生活をすれば、あっという間に肥えるか、若しくは糖尿病でも患う筈なのだが……今の所そうした兆候は無い。


 いや、その表現は間違いだな。


 肥えては居るんだ……ただし無駄な脂肪、所謂贅肉では無く筋肉が。


 ついでに骨格も一気に成長して居るのか、膝や肘辺りの関節が痛い。


 前世にも経験した事の有る此の痛みは、俺の勘違いで無ければ恐らくは成長痛と言う奴だろう。


 多分、今まで全うに機能して居なかった金玉から、男性内分泌物(ホルモン)が脳味噌に向かってドバドバ分泌されて一気に大人の身体になろうとして居るのでは無いだろうか?


 年齢的に第二次性徴を迎えるには少々早い気もするが、まぁ個人差の範囲と言えると思う。


「お連、此の肉に味噌掛けた奴がめっちゃ美味い、未だ有ったらお代わりくれるか?」


 眼の前に置かれた皿の中身を一通り食い尽くし、其れでも少々物足りなかったので、配膳をしてくれていた許嫁にそんな言葉を投げかける。


「はい、お代わりですね。ご飯もですよね? 此れ(つらね)がワン先生に習って作ったんですよ。河馬鬼(トロル)の干し肉を水で戻して甜麺醤で炒めたんです」


 俺が目を覚まして食っちゃ寝生活に突入した時点で、ワン大人(ターレン)は言っていた通りにお連に対して、瀟湘料理と呼ばれる東方《龍鳳》大陸の料理を基礎から教えてくれており、毎食一品は彼女の手に依るおかずが並ぶ様に成っていた。


 其れがどれかを聞くような事はせず、恐らくは其れだろうと思われる物を狙ってお代わりを頼むのだが、今回は無事に正解を引き当てた様だ。


 女性の笑顔を『花が咲いた様な』と形容する事が有るが、お連が今俺に見せたのは当に其れである。


 ……俺には(ポン)吉と違って年端も行かない幼女に欲情する様な趣味は無い筈なのだが、お連が今見せた様な表情(かお)を向けられると顔が熱くなるのを感じる様に成っていた。


 とは言えそう言う欲求を感じて息子さんが元気に成っていると言う訳では無い。


 どうやら今回飲んだ薬湯の効果で、俺の御宝は年相応の状態にまで回復したらしいが、だからと言って元気に子孫繁栄の為の活動が出来る程では無いらしい。


 まぁ年齢的に考えて未だ早いといえば早いのだが、前世の記憶を辿ると思春期に入る前から、そうした欲求と別として不意に息子さんが元気に自分を主張する様な事は有った。


 其れすら無いと言う事にすら気付かなかったのだから、俺は本気(マジ)で息子さんの事を小便用の(ホース)としか思って無かったんだなぁ。


「はい、お前様、お待たせしました!」


 と、そんな事を考えて気が其れて居る間に、てんこ盛りを通り越して昔話盛りとでも言う感じの麦飯が乗った木の茶碗と、河馬鬼肉の甜麺醤炒めを両手に持ったお連が戻って来た。


「甜麺醤って美味しいですよね! 瀟湘料理は甜麺醤を使う料理が多いんだそうですよ。ワイズマンシティに戻ったら此処では手に入らない食材を使った御料理を沢山教えてくれるってワン先生が約束してくれたんです!」


 曰く、ワン大人の出身地である瀟湘と言う場所は、風光明媚な水郷地帯で東方大陸北部を鳳来(ほうらい)帝国が支配して居た時代には、帝都も有った文化の中心地とでも言うべき場所だったらしい。


 しかし内乱で皇帝と帝室が打倒され鳳凰武侠連合王国が樹立された後は、何方かと言えば田舎に区分される様な地域になり、その風景の美しさも有って観光地としての側面が強くなった土地だと言う。


 其の為、瀟湘料理は『古来瀟湘料理』と『現代瀟湘料理』の二つの流派とでも言うべき物が産まれ、古来の方は酸辣(サンラー)と呼ばれる辛さと酸味の組合せが多く、現代の方は甜麺醤を多く使う比較的甘めの料理が多いらしい。


 お連は塩が贅沢品だと言う価値観の強い猪山藩で、比較的裕福な家で養育された為に、甘い物を食べる機会が俺と会うまで極端に少なかったらしく、初めて食べた餡粉の甘さにハマった所為も有り、甘い≒美味しいと言う味覚に成りつつ有るっぽい。


 まぁ普通の子供は甘い物が好きだし、女性は男性に比べて甘い物を好む嗜好の人が多いのも事実、度が過ぎなければあんまり気にし過ぎるのも違うよな。


 ちなみに俺の前世は下戸(甘い物)上戸()もイケる口で、場合に依っては甘い物をツマミ代わりに酒を飲む事だって出来た程だ、とは言え流石に餡粉を肴に日本酒を飲む様な真似はして居なかったがね、餡粉物と合わせるなら辛口の焼酎が合うんだよ。


 日本酒に甘い物は一度試した事は有るが、流石に口に中が甘ったるく成りすぎる気がして、二度とやらなかったのだ。


 俺の酒の好みは何方かと言えば焼酎や火酒(ウイスキー)の様な辛口の蒸留酒に寄って居り、日本酒や葡萄酒(ワイン)麦酒(ビール)の様な醸造酒は余り好んでは飲まなかった。


 甘いものと酒と言うと前世の日本では割と変な顔をされる事が多かったが、火酒と猪口齢糖(チョコレート)の組合せなんかは『ウイスキーボンボン』なんて菓子にも成っていたし割と普通だったと思うんだがなぁ。


 つか甘めの味噌っぽい甜麺醤で炒めた肉をおかずに飯を食うのは、甘めの味噌ダレの料理をツマミに日本酒を飲むのと味覚的には然程代わり無いと思うんだ。


 前世に俺に酒の飲み方を教えてくれた同じ派出所の先輩が『日本酒は米から出来て居る、だから米の飯に合う物は基本的に日本酒にも合う』と言って居たし、その辺の感覚は自分で飲み食いしても割と実感して居たのでその通りだとは思う。


 でもその論理で言うなら米から出来た餅で餡粉を包んだ大福や、逆に餡粉で餅米を包んだ御萩(春は牡丹餅、夏は夜船、冬は北窓)が普通に有るのだから、日本酒と餡粉の組合せも有りだと思うんだが……実際に食うと甘すぎるんだよなぁ。


「美味い、美味い、うん俺、甜麺醤の味割と好きだわ」


 ウポポ族も肉だけしか食べないと言う訳では無く、果実の類なんかもしっかり食べるが、野菜の類は殆ど口にしない。


 其の為、此処での生活は肉食に偏るのは仕方が無い、主食となる米と麦はある程度持って来ては居るが、此の調子で食って居ると後二日も持たない筈だ。


「四煌戌を召喚して手紙を持たせて猪山屋敷から米と麦を送って貰うか」


 霊獣を召喚したり送還したりする際には、極少量の装身具程度の物以外は持たせる事は出来ず、ある程度以上の物が乗った状態で其れをしようとすると余計な物はその場に落ちる事になる。


 その辺の境界線(ボーダーライン)遠駆要石(ポータルストーン)転移(ワープ)する時と大体同じ位なので、米や麦を一升程度送って貰う事は可能な筈だ。


 精霊魔法使いが一人居るだけで、補給線を伸ばさずとも現地に荷物を送る事が出来る事を考えれば、精霊魔法学会(スペルアカデミー)が自分達を権力や軍事力から切り離す様に努力する理由も解ると言う物である。


「あ! だったら御野菜も少しで良いから欲しいです、玉菜(キャベツ)青椒(ピーマン)が有れば回肉鍋(ホイコーロー)って言う料理が出来るんだそうです!」


 青椒か……青椒肉絲も良いよなぁ、多分ワン大人なら作れるよな、うん、頼んで見よう。


 俺はその後腹がはち切れそうになるまでお代わりを繰り返し、再び寝入るのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 親が子供を気にかけなければ、グレて不良息子(意味深)にもなりますわな。
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