表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大江戸? 転生録 ~ファンタジー世界に生まれ変わったと思ったら、大名の子供!? え? 話が違わない? と思ったらやっぱりファンタジーだったで御座候~  作者: 鳳飛鳥
博打と迷宮探検競技 前編 の巻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1069/1256

千六十七 志七郎、葛藤に悶え欲望に負ける事

 落ち着け、落ち着け俺! ひっひっふー、ひっひっふー……いやコレは違う!? 確かコレは出産の時に女性がする呼吸法だ!


 そうだ! 落ち着きたければ素数を数えれば良いんだったか?


 二、四、六、八、十……ってコレも違う! 素数……素数って何だっけ!? ぽん酢醤油で美味しい鍋を突く事? いやソレは幸せだよ!


 一寸視線を動かし焚き火から視線を上げれば、自分の好みド真ん中な全裸の妙齢女性が居る状況で、自身の下着を翳している此の状況は前世まえ三十路童貞(魔法使い)で終えて仕舞った野郎に取っては幸せな拷問と言っても過言では無い状況だ。


 当然、そんな事に成れば前世に色々と寄って来たハニトラさんを追い払うよりも、ずっと自制心が必要に成る。


 恐らくは氣と言う超常の能力(ちから)が精神力や自制心と言った、身体能力ですら無い概念的な物をも強化する事が出来る物でなければ、俺は今程度の聴牌(テンパ)り具合では済まなかっただろう。


 合わせて言うならば、未だ身体が幼い事と息子さんに問題を抱えている事も幸いしたと言える。


 考えてみれば前世の経験を思い出すに、確か小学校低学年位でもソレがどういう事なのかは理解して居ないにせよ異性に対する好奇心も有ったし、少年向けの漫画雑誌に乗せる事が出来る程度の助平(エロ)描写でも息子さんが元気に成った覚えが有る。


 思春期を迎え盛りの付いた猿の如き性欲が沸き立つ様な頃に成ると、物理的に溜まったモノを排泄したいと言う欲求が強く出てくるし、そうなった男は普通ではやらかさない様な事をやってしまう位に馬鹿に成る生き物である事も良く知っていた。


 前世の職業柄、一時の気の迷いからそうした欲求に身を任せてしまい、犯罪者に堕ちて行った者達の姿も数限りなく見てきたが故に、割と多くの男と言う生き物には助平な事が絡むと何処までも愚かに成る性質が有る様にも思えるのだ。


 故にもしも今の時点で息子さんが元気ならば、視線を上げてストリケッティ氏……いやストリケッティ嬢と言う俺の好みド真ん中どストライクな女性が、艶やかな姿を晒しているのを見ない様にする事は氣を使って全力で自制心を強化しても不可能だっただろう。


「え、ええ、褌です。済みませんこんな見苦しい物を貴女の目に晒す様な真似をして。此の位乾けば後は身に付けて居ても体温で乾くと思うので一寸失礼します」


 前世の頃から俺は股間の風通しが宜しく無い為にブリーフやボクサーパンツを嫌い、柄パン(トランクス)を愛用して居た口なので、褌は正直な所余り好きでは無い。


 何よりも俺は白癬菌が怖いのだ! 警察官に成るには誰しもが一定期間警察学校で寮生活をしなければ成らないのだが、其処に誰か一人でも水虫持ちが居ると風呂場の足拭きマットなんかを介して感染が広がる場合が有る。


 同じ公務員で現場職である自衛隊でも水虫は職業病と言われる程に蔓延して居た感染症だが、非情に残念な事に警察官でも同じく水虫に悩む者は割と多かった。


 前世の俺も大学卒業まで綺麗な足をして居たのだが、警察学校での訓練中にソレを貰い、文字通り死ぬまでソレとの戦い続ける羽目に成ったのだ。


 そしてソレの原因で有る白癬菌が足の指の股では無く、股間に移行してしまった場合に発症するのが陰金田虫と呼ばれる病気である。


 足の指ですら時には皮が剥けて血が出る事も有るのだ、ソレが息子さんに転移してしまったらと思うと、陰嚢が縮み上がってヒュンとする感覚を覚えるのも無理は無いと思う。


 まぁ実際に柄パンだから陰金田虫に掛からないと言う訳では無いらしいが気分の問題だ。


 ソレに掛からない様にする為に心がけるべき事は一に清潔ニに清潔三四無くて五に清潔と言えるだろう。


 まぁソレが無くても股間が蒸れるのはソレだけで不快なのだが……。


 そんな訳で生乾きの褌を絞めるのは御免被りたいのだが、何時までも全裸美女の前で素っ裸で見苦しいモノをご開帳し続けるのも、別の何かに目覚めそうな気がするので出来る事ならば避けたいのだ。


 そんな訳でストリケッティ嬢に薄汚いモノを晒さぬ様に褌で股間を隠しながら立ち上がり、後ろを向いてから半乾きの褌を絞める。


 じっとりとした感触が正直不快だが……まぁコレは今日だけの我慢と割り切るしか無いだろう。


 と言うか三十路を回った中の人が居る俺が見た目通りの子供だと思って、その肌を晒す事を選択したストリケッティ嬢が万が一にも、此方がおっさんの精神を持っていると知った時に感じるだろう恥辱と心痛を思えば我慢の内にも入らない。


「……小さなお尻が可愛らしいな」


 ボソリと呟く様にけれども此方にもはっきりと聞こえる声でそう言うストリケッティ嬢。


 コレは先程俺が口を滑らせた事に対する意趣返しだろうか?


「俺も一応、男なので可愛いと言われても嬉しくは無いのですが」


 肉体の年齢的には未だ可愛いで通じる範囲だとは思うが、精神的には可愛いよりも格好良いと言われたいし、なんなら彼女の様な女性には素敵とか言われたい。


 っと!? 駄目だ駄目だ! 俺には許嫁が居るんだから他所の女性に対してそう言う気持ちを持つ事自体が、お連にもその女性に対しても失礼だろう!


 だが嫁さんや恋人と(エロ)本や成人向け映像媒体(アダルトビデオ)は別腹だとも、前職で仕事を教えてくれた諸先輩方は概ね一致した見解だった。


 何故そんな話を聞いた事が有るかって? そりゃ既婚者でも押収した無修正の法律違反なモノを確認する作業をしなければ成らない捜査官の所に、担当でも無い癖に見物に行く輩が署内に蔓延って居たからだ。


 とは言え俺が捜査四課(マル暴)に移動して然程も経たない内に、その手のモノは国際電子通信網(インターネット)経由で海外に有る物を手軽に見る事が出来る様に成っていたので、態々署内で噂に成る危険性(リスク)を背負ってまで見に行くのは年配の先輩方位だったがね。


 褌を締め終わり次は比較的薄くて乾き易いだろう肌襦袢を乾かす為にソレを手に取る。


 そしてソレを火に翳す為に振り返る訳だが……此処で多少見て仕舞っても事故と言う事に成らないだろうか?


 前世の三十五年間を通しても、テレビに映る女優さんや漫画雑誌の写真頁(グラビア)ですらお目に掛かった事の無い、ド真ん中ド直球どストライクな俺好みの女性が全裸で其処に居るんだぞ?


 息子さんの元気が無いとは言ったって、これから先彼を復活させる為に様々な努力をする予定なのだ。


 今の内に目に焼き付けて置けば、向こうの世界の友人達から貰った二次元のネタでシャリを握る必要は無く成るんだぞ?


 彼女の様な最高に好みに合致する女性と、次に出会う機会なんかそうそう有る物では無いだろうし、お連をストリケッティ嬢を見本(モデル)に飾り立てる様な光源氏計画の類は俺の矜持に反する。


 ソレにコレは飽く迄も別腹だ、前世の俺と言う助平な男が満足して成仏する為に、志七郎と言う未だ色を知らない無垢な少年の目を借りるだけの事なんだ。


 前世の俺は学生だった頃にはそう言う機会が無く、社会人に成ってからは機会は有っても其の裏に有る思惑が透けて見えた為に自制を強いられて居た事で、そう言う欲望から目をそらし続ける人生だった。


 此処で欲を取って一生後悔するか、それとも矜持を取って一生後悔するか……何方にせよ後悔するならば、子供の可愛げに免じて貰える内に一度位は欲望に流されて見ても良いんじゃ無いだろうか?


 漫画なんかで良く見る天使と悪魔の姿をした自分が語り掛けて来る様な葛藤、気の所為なのだろうが俺のソレは前者が今生の俺で後者が前世の俺であるかの様に思える。


 いや前世の職業を考えたらお前が悪事を促しちゃぁ駄目だろうが! と、声を大にして言いたいが、今の所未だ可愛いと言える子供の俺と厳つい見た目で一睨みで暴力団員ヤクザも黙る前世の俺と考えれば仕方ないのだろう。


 そして何時の間にやら無意識に行っていた氣に依る意識加速の中での二人の勝負は、大人の貫禄と言うか大人気(おとなげ)無く子供を蹴散らしたと言うか……兎に角悪魔が勝利していた。


 よし! 見よう! そして目と脳裏に焼き付けよう! 氣を使って記憶力を強化し脳と言う記憶媒体(ストレージ)にしっかりと刻み込もう!


 そんな駄目な覚悟を決めて振り返った俺の目に飛び込んで着たのは……自身が先程まで褌を乾かしていた様に、服を身体の前に持って火に翳す事で乾かそうとして居るストリケッティ嬢の姿で、残念ながらその上着が邪魔で美しい裸体を拝む事は出来なかったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ