繋がる固い絆
夜、瀬戸川 慎司はベッドで
仰向けになりながら、本日の
反省会をしていた。
高校に入ってから毎日、寝る前には
反省会をしている。今日の自分の
態度はどうだっただろう。
あの時、どうにかしなければと
思い、後先考えず明るく元気に
笑顔で大声で発言した。あれは
正しかっただろうか。
思いを汲んでくれたのか、春島は
俺に同調してくれた。釣られて
皆も笑った。結果的には良かった
のかもしれない。が、目の前に
ある現実は明るく笑って
いられるようなものではない。
大切な仲間が失踪し、
タイムスリップ出来る謎の物体
まで出現した。
もう、意味が分からない。
でも、何とかしなければ
いけない。以前のように、
仲間とまた笑い合いたい。
それを実現する為に、自分が
出来ることを全力でする。
現状は厳しいけど、
何か俺達なら何とかなる
気がする。明日もいつもの
自分でいこう。いや、いつも
以上に、バカみたいに明るく
いくんだ。よし!反省会終わり!
明日に備えて寝る!おやすみ!
家に帰ってからも沢山泣いた。
何がどうなっているのか、
頭がぐちゃぐちゃになっていて
分からない。でもそんな状況でも
皆は強かった。瀬戸川は無理に
でも笑って元気付けようとして
くれた。龍也も少しも弱音を
吐かずに、ずっと私の様子を
見て、気遣ってくれていた。
湯村はタイムスリップなんて
あり得ないことが起こった中
でも気丈な態度を崩さず、
ちーちゃんから事情を
聞き出そうとしていた。
自分だけが、何も出来なかった。
自分はあの3人の仲間で
良いのか。こんなに弱い自分が
あんなに強い皆の中にいて
良いのか。いや、そんな考え方
じゃあダメなんだ。強くなろう。
胸を張って皆の仲間だと言える
くらいに。頑張ろう。私
だって頑張ったら、本気を
出したら出来るんだ。それを
見せてやろう。英会話部の
皆がいれば何だって出来るんだ。
英会話部の皆の為なら何だって
出来るんだ。やるんだ!
あの時の自分は冷静さに
欠けていた。望月に止められて
いなかったら、俺は寺西に
暴力をふるっていたかも
しれない。最低だ、本当に。
たっつんは、俺が仲間を思って
いるからこそ、あんな行動を
したんだと言ってくれた。
そうだ。自分にとって英会話部の
仲間は何より大切だ。元々自分は
暗くて冷めた性格だ。その為
あまり友達は多くない。そんな
自分があんなに良い仲間と
出会えるなんて。あいつらの
為なら、何だって犠牲に出来る。
大切な仲間を失うなんて、
真っ平だ。絶対に寺西を俺達の
ところへ引き戻す。あいつが
どんな状況にあるのかは
分からないけど、どうにかして
絶対に助ける。俺なら、
いや、俺達ならそれが出来る。
絶対に出来る。
翌日、瀬戸川はいつもより
40分早く学校へ来た。
張り切り過ぎたな。まだ誰も
来てないし。あと30分くらい
1人か…うぉっ!?
「春島!?」
「おう、瀬戸川。朝早えーな」
「いや、お前もだろ…」
「…瀬戸川、俺昨日
考えたんだけどさ。」
「ん?」
「俺達なら…出来ると思うんだ。
その…色々と…この今の大変な
状況でも…俺達なら乗り越え
られると思うんだよ」
は?おいおいそれってーーー
「だから、やろうぜ?
何がなんでも。また5人揃って
バカみたいな話が出来るように。
意味分かんないことだらけだけどさ。
何とかなると思うんだ。
その…お前も含め、英会話部の
仲間がいれば。」
マジかよ。昨日俺が考えてたことと
まんま一緒じゃねーか!
「あー、何というか、
ちょっと引いてる感じか?」
「いや、そんなことねぇよ。
ただ、余りにも考えてることが
同じ過ぎて吃驚しただけだ。
当然俺もお前達となら出来ると
思うよ。やろうぜ。」
「あ、望月」
…おい、今のはお前がおぅ!
って言って俺達の友情を再確認する
場面だろ!そりゃ望月さんの方が
大事だけどさ!
「お…おっす!2人共早いね!」
「まあな」
「今の会話…聞いてたか?」
「うん、まぁ…聞いちゃってた
かな。その…私も皆の仲間で
良いんだよね?春島と瀬戸っちが
言う『仲間』に、私は入ってて
良いんだよね?」
「当たり前だろ。」
「そうだよ!当たり前すぎだよ!
どこ心配してんの望月さん!」
「良かった…。これからも
よろしくね!んで、絶対何とか
しようね!皆で頑張ろうね!」
「おー!」
「…」
「ん?どうしたの春島?」
「あ、いや、望月だったら
ここで泣くんじゃないかな、と
思ってたんだが…」
「…私も成長したんだよ」
イイねイイねこの結束していく
感じ~。後は湯村がいれば
完璧だけど…。昼休みにでも
C組行ってみるか!
午前の授業は全く聞いて
いなかった。ずっと居眠りして
いた。今この昼休みの時間も、
さっさと弁当を食べ終えて、
机に突っ伏して眠ろうと
している。昨日はあまり
眠れなかった。放課後に備えて
少しでも眠って、体力を回復
させないと…。
「ツンツン」
誰だよ。頭ツンツンすんな。
寝てんの分かるだろ。
「ツンツン」
やめろ。
「ツンツン」
やめろって。てか起きない
んだから諦めろよ。
「ツンツン」
しつけえぇ~~~~!!!!
仕方なく顔をあげる。
瀬戸川だった。よし、寝るか。
「ちょっ、何でまた寝ようと
すんの!?いくらなんでも
酷くね!?」
「うるさいな…何の用だよ。」
「俺は…英会話部の皆がいれば
何でも出来ると思うんだ!!!」
いきなり何を言ってる。やめろよ。
クラスの奴らが変な目で…
「この苦しい現状も、お前や春島や
望月さんがいれば、何とかなる、
何とかできると思ってる!!
寺西もまた俺達のところに戻って
来させられるはずだ!!」
だから何言ってんだよお前は。
「だから、やろうぜ!な?」
「お前は…マジでアホか?」
「えっ、何だよ!違うってのか?」
あーもーだから…くそっ…
言わなきゃ分からないのかよ…
「当たり前のこと言ってん
じゃねぇって意味だよ。アホが」
「…おー、湯村はツンデレキャラを
目指してるのか!?」
「目指してねぇっ!!」
良かった。
仲間の絆を再確認出来て。
一致団結すれば、
この仲間となら乗り越えられる。
龍也は確信していた。
この絆は、絶対だ。
6話です。読んでくださった方、
ありがとうございます。
今回はちょっと長めにしてみました。
他の方の小説見てたら、何か結構
1話辺りの文字数多いんですよね。
あと今回は色んなキャラの視点から
書いてますね。結構書いてて楽しかった
です。また言いますが、
レビューとか評価、お願いしますね!
参考にしていきたいので!
ではまた7話で!
これからもよろしくお願いします!






