表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方藍蓮花  作者: 空椿
98/114

藍色、月を染める

「んー、数が多いのう」


 前線を走るマミゾウが、玉兎の戦列を見ながら呟く。今現在の総数も多い。何よりまだ兵の供給が続いているのに驚きだ。


「このままでは物量に押し破られるじゃろうな」


「じゃあどうするのよ?」


 そのマミゾウの右側を並走する紅魔館の主、レミリアが話しかける。後ろには咲夜の姿も確認出来たが、パチュリーは居ない。


「儂らよりも多い、更なる援軍をもって立派な戦線を作れば良いじゃろうて」


 取り出したるはスペルカード。左手でそれを持ち、右手で何処かから出した緑の葉をばら蒔く。


「ホレ、化けの皮を剥がしてみろや兎共! こやつらの後に続けよ、皆の衆!」


 掛け声と共に、今の今まで木の葉に化けていた狸が本性を現す。そして、続けざまの変化を宣言する!


「変化「百鬼を呼ぶ宴」!」


 狸達が鬼火や河童、様々な妖怪に変化して突進! 玉兎隊と正面衝突して大暴れする!

 ……狐が一匹も居ないのは、仕方がない事だろうか。


「な、なななな!?」


「ギャアアア!? ひゃ、百鬼夜行だあぁぁ!」


「落ち着くんだ! 月の兎は狼狽えない!」


 突然の大軍の登場に、見事に意表を突かれた玉兎隊はパニックに陥る。しかし隊列が崩壊していない所を見ると、統率は取れている模様。

 だが、続いて突撃してきた幻想郷の皆によって紙吹雪のように吹き飛ばされて行く。哀れなり。


「これで充分じゃろう。さて、傷だらけの友人の救出は任せたぞよ」


「任されましたよ!」


 狸の隊列を飛び越え、疾走、飛行! 走り出したのは地底の面々と、天狗の二人だ。椛はいつか乗りこなしていたバイクで突っ走っている。


「ハハハハハッ! 退かないとブッ飛ばすよ!?」


「ほらほら、地獄の火車のお通りだよ! 轢かれたくなかったら道を開けな!」


 鬼と火車が物凄いスピードで玉兎達の軍勢を切り裂きながら、豊姫の所に一直線!


「あらあら」


 それに対して豊姫は扇子を構える。何かする気なら、やる前に此方から仕掛けてやろう。


「お空!」


「うん!」


 燐の猫車に乗っていた空が、車を足場に跳躍。翼を広げて高速移動して突撃をかます!


「鴉符「八咫烏ダイブ」!」

「護符「近代的守護結界」」

「ふぎゃっ」


 ガラスのような膜が発生し、空と衝突。しかしヒビすら入らずに空の渾身の突撃を止めてしまう。

 だが予想済み。豊姫の動きが止まった隙に文と椛が、紫を初めとした皆を救出。椛は更に空を掴んで座席に座らせ、皆は即座に撤退を始める。


「少し待って頂戴な。壁符「圧倒的天貫古塔」」


 声と共に発動したそれにより、巨大な壁が地面から突き出る。

 まるで塔に囚われたかのように、円形の壁が皆と豊姫を囲う。


「うおっとォ!?」

「やばっ!?」


「袋の鼠、と」


 壁を壊して逃がす暇すら与えてくれない。反撃する暇すら与えはしない。凶器の扇子を振りかぶり、紫もろとも皆を消し飛ばさんと睨み付ける。

 万事休す……!


「さよなら、妖怪の賢者とその仲間達」


 しかし。


「ねーねーお姉さん」


 ゴリ、と音がする。

 豊姫の眉間に当たる銃口。密着状態とも言える至近距離。

 豊姫の『目の前』に居るこいしが、拳銃のイケナイ所を月の姫に向けていた。


「死ぬって、怖い?」


「……え?」


 初めて見せた驚愕の色。それを目敏く見付けたのは、さとり。


「勇儀さん、今です!」


「おぉよ! 四天王が奥義ィ!」


 ハッと我に返った豊姫は身を守る為、咄嗟にこいしを撥ね飛ばした。

 僅かに開いた距離はこいしの小さな腕に光る銃身を大きくそらし、直後の発砲をかする程度に抑えた。


 しかし、既に『三歩』歩ませる時間は稼がれてしまった。


「「三歩必殺」ッ!」


 さしもの塔の壁も、鬼の全力の拳を止める事は無かった。ハリボテかのように壁を粉砕した拳がそれを証明している。


「こいし、急げ!」


「は~い!」


 椛の声に即座に反応し、豊姫の目の前からこいしは忽然と消えた。

 大穴から去ってしまった面々を見詰めながら、豊姫は先程の感覚を思い出していた。

 今だ額に残る冷たさが、それを現実と認識させるのは充分であろう。


「予測、出来なかった」







「はい到着ゥ!」


 ロケット前で急ブレーキをかけ、皆は停止した。二人で倒れていたほぼ全員を担いできた文と椛は誉められて然るべきであろう。


「ワオ、怪我人の山ね。てゐ、鈴仙!」


「準備出来てます!」

「たまにはやるかぁ~」


「永琳、私は何かやる?」


「力仕事になりますけど、怪我人を運んで下さい」


「はいはーい」


 医療メンバーのエンジンもフルスロットルだ。手際良く治療を始めたのを確認し、さとりは口を開く。


「ちょっと良いかしら?」


「先程の事か。丁度良い、説明してくれ」


 去り際の豊姫の呟きが聞こえていた椛がさとりを促す。それに対して小さく頷き、言葉を紡ぎ始める。


「今身を持って感じたわ。来る前に聞いた通り、『全てを予測しかねない知恵』は本物のようね」


「そうだねぇ。最初から来ると分かってなければ、お空のアレは防げないだろうし」


「しゅーん……」


 落ち込んだらしい、背中の羽が弱々しく垂れている。


「……少し褒めたんだよ?」


 喜んだらしい、背中の羽が力強く開いている。


「それでも『根本的に予測出来ない』動きに対応出来ないみたいね。数瞬とはいえ、思考が真っ白になったから間違いは無いと思うわ」


「それって、こいしの事か?」


「その通り」


 人差し指を立て、続きを言う。


「そもそも私達の行動全てを先読みする思考の中に、こいしの選択肢が無かった。紫達の救出に参加してくると予測していたにも関わらずね」


「ほめてほめて!」


「よしよし」


「えへへ」


 話を続けるさとりに代わり、椛が撫でた。


「……まぁつまり、相手に干渉する能力がある程度は通じる事が分かりました。私はこれを他の皆さんに報告して、戦闘を有利に進めようと思います」


 と言うわけで、幻想郷の知恵者達に報告すべく、さとりが移動を開始。他の皆もそれに着いていったり、狸達の戦線に参加したりで居なくなってしまった。

 残ったのは椛とこいしだけである。


「……さて、と」


 椛が手当ての済んだ怪我人の所に移動する。行き先はというと。


「……あら、椛じゃないの。Hello」


「何だ、案外元気そうじゃないか」


「元気だけどウンザリよ、全くもう」


 軽微な傷で済んだ為、軽い応急処置で済んだらしいルーミアの所。

 少し前に飲んだ薬は効力を失ってしまったのか、普段の姿に戻っている。

 ルーミアはこの程度で何とかなっているが他の皆、特に紫が酷い。

 扇子の風にモロに曝され続け、皆の命懸けの支援によって何とか命を繋いだのだが、それでも全てを防げずに大きな傷を複数受ける事になった。

 今は永淋の付きっきりの治療と複数人の護衛で、何とか持たせている状態にある。


「藍色はどうしたの?」


「さて? 既に行方知れずだよ」


「あぁもう。マイペースね」


 溜め息を吐きつつも、その表情は幾分か穏やかな物になった。安心したと見える。


「で、月の姫君はどうだった?」


「どうもこうも、隙が無いわ。まるで竹槍を持って堅牢な要塞を相手にしてるみたいでね」


 でも、と付け加えてから。


「抜け穴は貴女達が確認したじゃない」


「……そう、だな」


「さて、色々やる事も出来たし行動しましょうか。じゃあね~」


「え? おい、少しは休んだら」


 言い切る前に黒い鳥が通り過ぎ、ルーミアは消える。向こうの空を見上げてみれば、高速で飛び去る鳥とそれに乗るルーミア。忙しない事この上無い。


「……全く、あいつは」

「忙しなさは妹譲り、かしら?」

「わおんっ!?」


 突如として現れた文に肩を跳ねさせる。


「な、ななな……」


「椛、仕事よ。戦線に突入して玉兎を蹴散らしなさい」


「お、おう? どうしていきなり?」


「先程から兵の集まりが早くてね、狸達が押しきられそうなの。出来る限りの人数を集めて持ちこたえる必要が出てきた訳」


 持ちこたえている間に、豊姫を倒す作戦を組み立てるのだそうだ。

 作戦会議にはパチュリーやナズーリン等、幻想郷の知識人が集まっている模様。期待は出来るだろう。


「ほら、急いで急いで」


「分かった分かった、行ってきます」


 駆け足で去る椛を見送り、文は直ぐ様飛翔する。

 他の人物にも椛のように上記を伝え、戦力をかき集めなければならないのだ。


「急がないと」


 玉兎は再現無く供給されている。いずれは数で押し潰されてしまうだろう。

 押し返すとまでは行かずとも、せめて持ちこたえなければ。作戦会議の場で、逆転の策が閃くそれまで。


「……あら? そういえば、こいしは?」







「どうしてかしら」


 誰に言うとでもなく、呟いた。


「どうしてこうも否定されるのかしら」


 月の兵が薙ぎ倒される。一騎当千の実力を持つ幻想郷の妖怪達に、玉兎達が吹き飛ばされて行く。


「藍色、愛しい妹」


 しかし、意識は常に一つの方向を見詰める。


「あの子は、そんなに私の所に居たくないの?」


「姉様、それは違」

「言わなくて結構よ」


 背後から近付いてきた依姫を言葉で制し、幻想郷の妖怪達を指差す。


「貴女はあっち。でしょう?」


 振り返りもせず、閉じた扇子で幻想郷の皆を差す。

 自らの妹を、自らから切り離したのだ。


「姉様!」

「それ以上近付かない事ね」


 扇子の先を依姫に向け、それでも尚、見やる事無く言い放つ。


「次は無いから」


 有無をも言わさぬとばかりに。

 これ以上の会話は無意味だと暗に伝える。


「……分かりました」


 頑なな姉に一礼し、幻想郷側とも月側とも取れぬ方向に一人歩いていった。

 それでも顔を動かさない姉を何度も何度も振り返り、遂に一瞥すらされなかった事に悲しい顔をする。


 結局の所、豊姫は最後まで依姫を見なかった。


「……ああ、言ってしまった」


 やりきってから、冷静な心が後悔の二文字を浮かべる。

 頭を振って、それをとりあえず消す。もう後戻りする道が無いと。


「……さて、と」


 豊姫が懐から取り出したのは白紙のスペルカード。何かをぶつぶつと呟けば、それらに色が現れる。


「嵩張るわねぇ。カードホルダーにでも入れようかしら?」


 そんな事を呟きながら、スペルカードは完成した。それら全てを懐に戻し、溜め息。


「そろそろ行きましょうか」


 一歩踏み出す、その瞬間。世界の速度が加速する。景色が後ろに流れ、色も光も全てが置き去りにされんばかり。

 次の瞬間には。


「は!?」


 目の前にはナズーリン。周りを見れば閻魔や魔女、覚妖怪。幻想郷の知恵を誇る者達が集っているだろう。

 話の途中だったのか、さとりの口が開いたまま制止する。


「こんにちは、さようなら」


 一切の躊躇い無く、振りかざす扇子。突然の出来事に、身体すら動かす暇は無い!


「メイド秘技「殺人ドール」!」


 しかし、扇子が動く前に咲夜が割り込む。凍る時の中でばら蒔かれいたナイフの雨霰を繰り出す!


「好きにさせるな、と命令されておりましてね!」

「あらあら、ごめんあそばせ」


 そんな銀の刃による猛攻を余裕と言わんばかりに受け流し、後ろに下がりながら全てを捌いてみせる。


「くっ……」


「来る方向が分かりやすいのよ。一昨日おいでなさいな」


 扇子をあおいで余裕の笑顔。既に退散を完了させた首脳陣を追うことはせず、周辺に集まってきた強者を相手取る。


「わざわざそちらから現れるとはな。これも運命か」


「出向く手間が省けましたね。覚悟して下さいませ」


 紅魔館、命蓮寺の荒事担当……いや、死合い担当が一斉に牙を剥く。

 レミリアは豊姫が現れる運命を見たのか、態々前線から戻ってきたようだ。


「熱烈歓迎は大変結構。折角だからお遊戯でもしましょうか」


「……は? 遊戯ですって?」


「ええ。ルールは簡単」


 スペルカードを取り出し、表を皆に見せる。余裕の表れのようにしか見えない。


「私に触れたら貴女達の勝ちよ」


「良いでしょう。触れるだけなら容易です」


「触れると言わず、風穴を空けてやるよ。行くわよ、咲夜」


 力強く踏み込んだ聖。それに合わせるようにレミリアが並走し、左右から拳と槍を繰り出す!


「穴符「画期的転移横穴」」


 空間に小さく真っ黒な穴が開き、今更行き先を曲げられない槍と腕は、吸い込まれるようにその中へ。


「クロスカウンター、かしら?」


「ぐあッ!?」


 次に起こった現象は、背中を拳で殴られるレミリアと……


「聖!?」


「前へ! 踏み込みなさい!」


 横腹を赤い槍に貫かれる聖。しかし、怯まずに前に進めと激を飛ばして槍を抜く。

 声に従い、舟幽霊が一番槍を仕掛ける!


「転覆「轟沈アンカー」!」


 普段のそれより巨大なアンカーの登場だ!

 それを軽々と掴み、豊姫に向けて縦に降り下ろす!


「会心の一撃ィ!」


 豊姫はそれを、扇子で軽々と受け止める。

 衝撃を持ち主に伝えない科学の力が、巨大な錨を易々と止めて見せた。


「ダメージはゼロよ」


「まだよ! 一瞬千撃の拳を受けなさい! 行くわよ雲山!」


 雲入道の巨大な拳と一輪の拳が、がら空きの背中を狙って連打、連打、連打!


「堅符「徹底的千手観音」」


 四の拳による速射砲は正に千撃とも言える打撃の応酬だったが、豊姫の手前に現れた掌が全てを防ぎ、傷を与えられない。


「Miss! って所かしら?」


 錨を受け止める扇子、フリーの扇子を両方開き、二人を吹き飛ばすように大きく扇ぐ!


「ご無事でしょうか?」


 滅されるかと思われた直前に、時を止めた咲夜に二人は救出される豊姫に攻撃を仕掛けなかった理由は、反撃を恐れた為である。

 時を止めると言う大きなアドバンテージに対して、何の対策もしていない訳がない。


「あら、惜しい」


 そう言った後、扇子を自身の右側で広げる。

 それとほぼ同時に、レミリアの右手の突きが扇子に激突! 完全にその運動を止めてしまった。


「残念賞よ、吸血鬼さん」


「いいや、まだだ!」


 直ぐ様扇子を掴み、引っ張りながら左手で突く!


「まあ怖い」


 しかし、扇子はもう一個ある為、これも止められる。

 それでも良いとばかりに、その扇子すら握り潰してやろうと手を回す!

 更に、隙の見える豊姫に咲夜、そして復帰した聖が二方向から向かう!


「嵐符「突発的風雨降臨」」


 突破させてなるものか。豊姫の周辺のみに雨風が吹き荒れ、視界を遮る。いやしかし、それよりも。


「あがっ……ああああ!?」


 流水と言う弱点を持つ吸血鬼に、雨粒の応酬は矢の雨の如し。

 堪らず手を離して距離を取るが、焼けた肌と夥しい血が、決して軽傷ではない事を示す。


「お嬢様!?」


「前を見なさい!」


 聖、二度目の渇。我を取り戻して前を見詰めれば、扇子を振りかぶる豊姫の姿!


「うふふ」


 音は無く、ただ地面が抉れて消える。聖が咲夜を掴んで助けた事で、体や命こそ消えはしなかった。

 追撃の構えを見せる豊姫だが、雨の中で煌めく白刃に、防御ではなく回避を行った!


「くそっ!」


「こわぁい」


 炎のように揺らぐ光の刃。クラウソラスを持つ星の攻撃であったが、その攻撃は防御出来ないと既に予測されていた。

 土砂降りで視界も悪く、それ以降の追撃を不可能と判断。星はすぐにその場を離れ、レミリアの隣に降り立つ。


「必死ね~」


「余裕ね……」


 豊姫は涼しい顔をしているのに対し、こちらは二人重傷。一対多の戦闘でこの状況は、かなりまずい。

 加えて、まだまだ数に限りの見えないスペルカードが攻め手を鈍らせる。皆、迂闊に動けない。


「あら、もう終わり?」


「くっ……」


 飽きた、とばかりに豊姫は歩き始める。


「お遊戯は止めにしましょう。貴女達では楽しめないから」


「そう易々と行かせてなるものか!」


 村紗がアンカーを振りかぶり、豊姫の背中を襲う。

 しかし、それがかする直前に豊姫は霞のように消え、むなしく空を切った。


「くそっ!」


 悪態をつく暇も今は無い。聖とレミリアは即座に指示を出す。


「星! 八雲紫の所に行って彼女の防衛を! 一輪と村紗はナズーリン達を守りなさい!」


「咲夜、貴女には伝言を頼むわ」


「伝言? 誰にでしょう」


「閻魔にね。伝えたら思うように行動なさい」


 バタバタと動き出した皆を見ながら、レミリアは咲夜の耳に口を当てる。


「頼んだわよ?」


「はい。全てはお嬢様と、そのご友人の為に」


 走り出した部下に全てを任せ、二人は腰を下ろす。


「……私の槍は、痛かったかしら」


「それはもう、意識が零れ落ちるかと。貴女はご無事ですか?」


「死にはしないけど、動けない。かしら」


 背を合わせ座る二人を中心に、赤が混ざって広がる。今無理をして動くのは、体力と生命力を磨り減らすだけだろう。

 ここは皆に任せ、二人は一旦戦線を退く事にした。それでも出来る事は、きっとあるから。







「現在の戦線はこう」


 大きめの紙に筆が走る。


「戦力差を考えると、徐々に此方が下がり、此方は前に進むだろう」


 筆を取るのは小さな賢将、ナズーリン。その筆の行く先を、更に数人が見詰める。


「ここをこれ以上下がらせると、治療に当たる永遠亭の動きに支障が出る可能性がある」


「戦力を供給する術は?」


「私の小悪魔達は月まで来れない。マミゾウの狸は全員出払っているでしょう」


「かといって、そこの鼠の部下は戦闘向きでは無いじゃろう」


 戦力不足。この四文字が重く戦況にのし掛かっている。


「仕方無いでしょう。此方に数人送らねばなりませんが、手が空いている人員は?」


「天子とその連れの動きが少し悪い。此方に送りたいのだが?」


「待って。豊姫の方に向かった命蓮寺の面子と、家のレミィと咲夜は?」


「戦闘中だよ。報告はまだだから、何とも言えない」


「望み薄じゃがのう。このザマでは、折角のさとりの情報も使えんな……」


 即席で用意した駒の位置をコンコンと変え、案を出すも良き策は中々出ない。

 それもそうだ。大層な策を立てようとも、全てを根っこから予測されている可能性が高いのだ。確かにそうでは無い可能性がゼロとは言えないが、それに賭ける余裕は流石に無い。


「……そう言えば、厄介事のど真ん中である藍色はどうし」

「行方不明」


「……はぁ?」


 パチュリーの即答に、思わず声が上がる。


「一行の皆も知らないらしいし、多分誰も分からないと思うけど」


「こんな時に一体何をしとるんじゃ?」


「この際仕方無いでしょう。彼女はきっと誰にも捕まらない」


 探す余裕も無い。諦めて目の前の紙に目を移すその前に。


「失礼します」


「咲夜か。あっちはどうなったの?」


「豊姫の圧勝に終わりました。お嬢様と、聖住職が負傷。戦闘行動が不能です」


「……不味い。ここであの二人を失うと、いよいよもって戦力が……」


 英姫が嘆く。だがしかし、


「ご安心を。それに勝りうる蜘蛛の糸を、お嬢様は見付けましたから」


「……それは一体?」


 あまり長くは無い発言。すらすらとした口調で語り、咲夜が全てを言い切るや否や。


「ハハハ、成る程。何故気付かなかったのか」


「ああ、そう言えばそうじゃのう。あの姫様の化けの皮は、すぐに気付けた物じゃったな」


「……解決の糸口が見えた。同時に、これ以上の猶予も期待出来はしないわね」


 見えた、勝利の糸口。


「決定しました」


 閻魔が立ち上がり、静かに告げる。


「これより、打倒綿月豊姫の為の作戦を立てます。咲夜さん、これから名を上げる人物を至急集めてください」


 開戦の檄を。


「時間はありません。三分で行動開始までの全てを決定します!」







「……一体、私はどうすれば……」


 途方に暮れて。

 吸血鬼と悪魔によって崩れた月 の都から、遠巻きに戦を見詰める。


「……姉様……」


 突き放されて。

 幻想の民にも、月の民にも入れなくなった『一人の女性』が、誰へとも無く呟く。


「どうして、こうなったのでしょう……」


 空を見上げて。

 月の夜になった空を見上げ、蒼い星を見詰めながら、崩れた壁から足を下ろして座る。


「ねぇ」


 そんな時に、背中から聞こえた声。


「……貴女ですか」


 誰なのかはとてもとても、良く分かっていた。


「行かないの?」


「何処へ行くと言うのです」


 半ば諦めたような、少し気だるい声で質問に答える。


「私は、貴女のように上手く行動出来ないのです」


「何故?」


「この発言に対して『何故』とは……」


 少しだけ笑ってから、やっと振り返る。


「やはり貴女らしいで……す?」


 と、誰も居ない。


「そう」


 今度は、自身の膝の上から聞こえた声。顔を前に戻せば、藍の長髪の頭が視界に見える。

 いつの間にか、自分の膝に座る藍色。


「……もう」


 呆れたような、安心したような溜め息。黙って頭を撫で、藍色は目を細めてされるがままになる。


「……ねぇ」


「何でしょう?」


「こうやって、いつも撫でていたの?」


「おや、何故ですか?」


「……嫌じゃない。落ち着く」


 依姫の優しい手が、不思議と安心する。それは何故?


「そうですね」


 依姫は、案外あっさりと答えを出す。


「貴女は、よく私の膝に座りました。私は、そんな貴女の頭を撫でていましたよ」


「ふぅん」


「……それよりも」


 撫でる手がふいと止まる。


「行かなくて良いのですか?」


「む?」


「貴女のご家族がお待ちかと思いますが」


 この『家族』とは、ルーミアや小傘の事を指す。そこに自身は含まれるはずが無い。


「暴走する姉様に勝利し、八雲を連れて無事に帰るのが貴女の目的でしょう?」


「そう」


「では」

「だけど」


 言葉を言葉で重ね、自身の考えを押し通す。


「私を家族と言い張る二人を、放っては置けなくなった」


 ただそれだけ。


「だから、今日は少し皆と離れる」


 止まった依姫の手を、自分の手で動かす。


「貴女達と一緒に居る」


 平然と言い放つ藍色。黙って聞く依姫。

 だが、これっきり何も言わなくなった藍色。依姫も撫でる手を動かし、以降の言葉は何も無かった。


 ……静寂。そんな所に、来客が現れた。


「隣貰うわよー」


 気だるい声と共に、依姫の隣を陣取る人物。自分の膝を手で叩き、藍色を促す。


「ほら藍色、こっちこっち」

「やだ」


 拒否。


「ほら」

「やだ」


 拒否。


「ほらほら」

「やだ」


 拒否。


「ほらほらほら」

「やだ」


 拒否。


「……何をやっているんですか?」


「しょぼーん……」


 比那名居天子。彼女がそこに居た。


「良いじゃないの、私の勝手でしょ?」


「八雲紫を『友達』として守ると啖呵を切って置いてですか……?」


 どうやら、何処かから聞いていたらしい。


「私以外の皆がガッチリ固めてるのよ。そんな所に入っても邪魔にしかならないわ」


 人が多すぎて動き難いのはいけないだろう。と言う理由で、自分から外れたらしい。


「それよりアンタは何してるのよ。と言うかどっちよ」


「どっち、とは?」


 頓珍漢な質問をする天子に質問返し。


「敵か味方か」 


「両方違います」


 それ以外にどう答えれば良いか分からない。依姫の目はそう語る。


「私は姉様に見放されてしまったのです」


「じゃあ味方じゃない」


「この私を味方と言いますか?」


 立場だけなら完全に敵対しているのだが。


「じゃあ友達にならないかしら」


「……は?」


 何の脈絡も無く……


「友達なら味方じゃないの」


「……天子」


「お? 何かしら」


 ここで藍色が口を開く。


「……他の友達も、こんな感じで?」


「そーよ。楽で良いじゃない?」


 見せ付けるような笑顔に対し、藍色は珍しく溜め息を返した。


「友達作り、じゅってん」


「がびーん!?」


 文句無しの赤点。


「……中々面白い人ですね」


「そ、そうでしょうそうでしょう!」


「ある意味では少々残念な人と言うべきでしょうか」


「ざんねん!?」


 この場合の残念とは、頭の事……だろう。


「嫌いでは無いですけど……」


「アンタ、結構ズケズケ言うわね……」


「性分ですから」


 それでも、お互いの顔は笑っている。


「友達……良いですよ」


「良いの?」


「藍色の友人ですから、録でもない人では無いでしょうし」


「随分信頼してるのね」


「姉貴分でしたから」


 そう言って、また藍色を撫でる。

 姉貴と言うよりは、母親の様にも見える。


「じゃあ、アンタは今日から友達よ。私に何でも相談しなさい!」


「頼もしいですが、貴女一人ではどうしようも……」


「じゃあ藍色も」


「ん?」


 無理矢理巻き込まれた。


「ほら、三人寄ればなんとやら」


「それは力ではなく知恵では……」


「この際どうでもいいわよ。で、これなら出来そう?」


 一つ溜め息、次に苦笑い。


「正直、やろうか不安な事があったのですが……」


「あるのね? ほらほら、何をどうしたいのか説明なさい」


「貴女から見える根拠の無い自信が、今はむしろ頼り甲斐がありますね」


「むう」


 そうして、井戸端会議が始まるのであった。


「その前に、名前を聞いて無いのですが」


「……忘れてたわ」


「ごてん」


「減点!?」


 赤点脱出への道は遠い。







 壁の壊れた建物の部屋から眼下の戦争を見詰める豊姫は、足をぶらぶらとさせながら呟く。


「……もう、あの子は本当に無茶苦茶ね」


 軍隊一つを持ってきたに等しい事をした妹の事を、呆れながらに考えていた。

 一頻り暴れて、蹴散らして、たった今やっと本当に気分が落ち着いた豊姫は、それでも臨戦態勢を解く事はしない。


 そして彼女の頭は、最早引っ込みがつかないと言う結論をやっと出した。いや、出していたのを押し込めていた。藍色の事を思うあまりに八雲紫を殺害しかけ、その結果幻想郷全体を敵に回してしまった。

 自分はと言えば、それにムキになって対抗して、玉兎に戦争をさせてしまった。その結果が、現在の惨状である。


 何故、この結果を予測出来なかったのか。

 結局豊姫は、バッドエンドへの片道切符を自分で作り、自身と本気で渡り合える存在の居ない事の欲求不満を大きくした。

 そして、大事な妹二人を突き放し、嫌われるような事をした。それだけである。


「……もう、駄目かしら」


 虚空を見据える眼差しが見たのは、勝利への一本道。その最短距離。

 だがそれは『和解』ではなく『殲滅』。自分で撒いた種が、誰も傷付かない道を一つ残らず駆逐してしまった事を、今更になって後悔する。

 他の道も遅かれ早かれ、最後は血を流す。自分であれ、相手であれ。


 では、何が最善か?


「こんな時、依姫が居ればなぁ……」


 今更。


「こんな時、藍色が居ればなぁ……!」


 今更。


「こんな時、二人が傍に居れば、どんなに良かったかな!」


「今更」




「え」


 思考より先に本能が警鐘を鳴らし、身体は理解を越えて動き出す。

 先程まで居た場所は。


「あれ? 外れちゃった」


 銃弾が通り過ぎていた。


「……古明地、こいし?」


「こんにちは! 死んで!」


「何処の悪役だこのバカ!」


「あいたっ」


 建物の下から攻撃してきたこいしの頭を、拳骨で叩いたのは正体不明の代名詞、封獣ぬえ。


「……成程。根本的に予測が出来ない存在を含めれば、私を倒せると考えたのね」


「勿論さ。でも、流石に私達だけじゃないよ?」


「分かってるわよ、だからこそ」


 豊姫の背後、部屋の扉が開く。中からは玉兎達が現れ、豊姫を庇うように前に立ち、二人に銃の先を向ける。


「物量には物量、基本でしょう?」


「……そうだね」


 案外余裕そうなぬえの反応に、小さな不信感を抱く豊姫。

 それは次のぬえの発言によって、それが真実である事を告げられる。


「豊姫、アンタ味方は信用してるんだ」


 突然、玉兎達の姿が揺らぐ。ポンと言う音と共に出た煙が、視界を全て塞いだ。


「え!?」


 次の瞬間、煙から突き出すこいしの小さな手と拳銃。自身の扇子で撃ち出される球を防ぐが、しかし!


「狸!?」


 玉兎に『化けていた』大量の狸が、ここぞとばかりに豊姫にしっかりと貼り付いた。

 そしてその狸は、更なる変化を遂げる!


「咲きなさい」


 違う方向から聞こえたその一言で、今まで狸に『化かされていた』花の種が急激に成長。その茎や葉や根でもって、豊姫を拘束する鎖となる!


「これは!?」


「ええ、私よ」


 優雅に歩を進めてきたのは風見幽香。日傘をくるくる回しながら、こいしとぬえの近くに立つ。


「お花畑には、ちょっと乱暴かしら」


 その幽香の背後、玉兎達が戦う戦場でも変化がある。

 戦っていた相手の狸が突然全て、色とりどりの花となって玉兎達を捕らえ、成長を続けているのだ。


「……成程。最初から騙されていたのね」


 ここに来て、豊姫は事態を把握した。


「まさか、最初に現れた狸から、既に化かされていたとはね」


「ふふん」


 つまりはこう言う事。

 最初にマミゾウがばら蒔いた木の葉に化けた狸。あれは正確には『狸に化かされた木の葉』である。

 更にその木の葉すら正体不明の種が植え付けられており、木の葉には見えたのは狸の妖怪が木の葉とよく関わっていると言う、イメージからみた幻覚。

 その真の正体は正体不明の種を植え付けた『花の種』。さしもの豊姫も、正体不明と言う不確定要素の予測は出来なかったようだ。


「宇宙船に正体不明の種を植え付けたのも、これを隠す為……」


「そうなの?」


「そうよ。貴女相手に何処まで通用するかは分からなかったけど、張り巡らせた策は無駄にならなかったようね」


 混乱した玉兎達の戦線は瓦解し、幻想郷の軍勢がその隙を突いて蹴散らす。もう数分もすれば豊姫の元へ辿り着くだろう。


「……抵抗する? 私はそれほど貴女には固執してな」

「お姉ちゃん攻撃したからやり返すよ!」

「アンタの恐怖に怯える顔が私は見たい!」


「……ああ、もう」


 ……幽香以外はやる気満々に見えるのだが。


「……ええ、抵抗するわよ?」


 植物の鎖の中で、小さな光が漏れ出す。


「良いわよ、少し認める」


 閃光、衝撃、爆煙!


「「0001」」


 砕かれた蔓、手に持つ満月の絵柄のスペルカード。

 腰に下げられたカードホルダー、そこに入る大量の『白紙のスペルカード』。


「貴女達全員が、私の全身全霊を受けるに値する相手だと」


 目付きが変わる。呆れたような、それでいて獲物を狩る獣のような目付きが。

 好敵手を、同じ場所に立つ者を狩る戦士のように。


「全員で、全身全霊で、命を賭けて! 来なさ」


 その、目が変わるその前に!


「おぉぉぉぉぉおおおおおおおッ!」

「え!?」


 豊姫の口上を遮り、あまりに大きな咆哮と共に、それは背後の壁を突き破って来た!


「三日月符「ミッドナイトシャムシール」!」


 椛が透視し、文が全力神速からの投擲と言うコンビネーションから産み出されたスピードを得て、磔の十文字を縦に降り下ろすルーミアが現れた! その両脇には、黒い曲刀が二本追従するように浮いている!


「「0002」!」


 対して豊姫は、何処からともなく激流を召喚! 勢いを乗せたルーミアを押し返し、十字架の勢いを止める!


「GO!」


 強烈な衝撃に怯む事は無く、曲刀が独りでに、回転しながら豊姫を狙う!


「甘いのよ!」


 扇子を開き、曲刀を消すように風を送る! 見事に曲刀を滅した、次の瞬間!


「月光符「ムーンライトモーメント」」


 分解の風が通り過ぎたその場所を、『自身の身体を削りながら』割り込む!

 自己犠牲とも取れるような悪手を、顔色一つ変えずにルーミアは実行したのだ!


「そんな!?」


 『予測不能』。こいしのそれか、それともぬえか。正気の沙汰を逸脱した行動に、その頭は追い付かない!


「歯ァ……」


 右の拳。扇子を振り切った身体は、口は、動けない!


「食いしばりなさい!」


 入った一撃。その身体はあまりにも呆気なく吹き飛び、地面を数回バウンド。

 しかし、途中で空間が裂けて豊姫が消え、別な場所に降り立った。


「ッし! スッキリしたわ!」


 背中側から重傷どころではない傷を負いながら、頗る晴れやかな笑みでガッツポーズ。

 そんなルーミアに、豊姫が。


「貴女、死ぬ気?」


「Noよ。私がスッキリしたかっただけ」


 みるみる血色を失う肌。しかし、その顔は笑う!


「今頃私の妹は、皆纏めてハッピーエンドを考えてるでしょう」


 だから。と言ってスペルカードをありったけ取り出し、それに合わせて周りの皆もスペルカードを構える。


「私達は貴女をハッピーにしてやる事にしたわ!」


「ハッピーエンド!? この惨状を、今をどうやって『皆纏めてハッピー』な終わりに向かわせるの!?」


「それを決めるのはあの子。それを実行するのは私達なだけよ! 私はあの子のそれに賭け、それを信じる! それが私の信頼よ!」


「その信頼の結果が、違うとしても信じるの!?」


 豊姫が、声を荒くする。らしくない、しかし心を込めて叫んだのだ。

 それに対して、ルーミアは大きく宣言した!


「私達が信じるあの子を信じる! それじゃあ駄目かしら!?」


 その言葉と共に、黒い鳥がルーミアの上空に停滞。その上から、幻想郷の皆が一斉に降り立った! ボロボロで、フラフラで、それでも二の足で立つ。幻想郷から来た『全ての人妖』が!


「役者は揃った」


 藍色一行が、前に出る。語り続けるルーミアが、豊姫に向けて叫ぶ!


「来なさいよ豊姫! アンタの鬱憤も、苛立ちも、妬み恨みも全てぶちこんで!」


 遠く遠くの、藍色にすら聞かせるつもりで!


「幻想郷は、アンタの歪んだ愛だって、受け入れてやるわよ!」


 その一言で。


「……は」


 第三次月面戦争は。


「ははは!」


 怪しくも、『弾幕ごっこ』と同じ。


「最高よ、宵闇。いえ、幻想郷!」


 『全力全開の遊戯』に名を変えた!


「これが貴女達の、打倒私の作戦!? 考えたのは誰かしら、閻魔? それともネズミさんかしら!?」


「貴女を出し抜く為に」


 傷だらけの者も、死を垣間見てた者も、役に立たぬと言われた者も。

 あらゆる者が、一丸となって、豊姫を指差す!


「「「「「全員で!」」」」」


 飛び散る血、引き摺る足、折れた翼。

 立ち上がる。構える。笑う。

 全てはこの為。全ては藍染の妖怪の為。全ては藍色の願いの為。


「みんな、助けたい」


 小さく呟いた、本音の為。







「藍色」


「何?」


「ハッピーエンドは、好きですか?」





「うん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ