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東方藍蓮花  作者: 空椿
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藍色と地底 無意識は敵だ

 ふらりと旅して地底行き。地底に行ける確率を上げれば行けない事はたまにしか無い。 そんな地底に入った藍色の最初の感想は、


「痛い」


 だった。地底に入ってすぐ釣瓶落としの洗礼を受け、土蜘蛛の糸に絡め取られ、不自由になった所でしつこく妬みの声をかけられている。


「う〜ん、意外と弱かったね」


「妖力だけは多い」


「宝の持ち腐れなのね、妬ましい」


「……あう〜」


 一体どうすればいいのやら。流石に藍色も対応に困っていた。抜け出すだけなら簡単だが、この状況をどうにかしておかないとややこしくなりかねない。


「あなた達誰?」


「キスメ」


「私は黒谷ヤマメだよ」


「水橋パルスィ。ああ、妬ましい……」


 上からヘルメット必須の釣瓶落とし、マスク必要の土蜘蛛、耳栓必須の橋姫である。マスクについてはいらない場合も多いが。


「なんで襲ってきたの?」


 流石にずっと縛られておくのは嫌なので縄抜け……というか糸抜けを始める藍色。キスメが気にした様子は無く、質問にも答えてくれた。


「どこからか地上の妖怪が地底の妖怪を殲滅するって噂が流れてさ。多分デマだけど、もし本当だったら嫌だから私達三人だけで見張ってるの」


「そこにあなたが来たのよ。妬ましい」


「そう」


 藍色は糸から抜け出し、頭をさすっている。


「私が見た限りはそんな事は無い」


「そっか。情報ありがと」


 キスメは糸を回収し、頭を下げた。


「通っていいわよ、良い奴そうだし。妬ましい」


「ありがと」


 キスメは黙って頭を下げていた。ごめんなさいの意が含まれるらしい。藍色はそれを一目見て地底の奥に進んだ。彼女達にはまた出会いそうだ……





 そんな出会いがあったものの、無事に旧都に到着した。意外に明るくてちょっとびっくりしたのは内緒である。

 藍色は旧都を歩きながら周りを見たりしている。鬼が酒場のような場所で酒を浴びるように飲んでいたのには少々引いた。アルコールの香りがこんな所にまで漂っているので、既に相当な量が消費されたに違いない。


「くさい……」


 藍色はアルコールが苦手である。弱いとかそんな物ではなく、単純にアルコールの臭いや感覚が慣れないとの事。何らかの確率を上げてまで飲もうとは思わない。

 以前会った萃香は非常に珍しい事に酒をほとんど飲んでいなかった為気にならなかった。

 そんなわけでこの辺りには居たくない藍色は、手で口を塞ぎながら進もうとするが、臭いが一層きつくなって思わず立ち止まる。


「アンタ、見ない顔だね」


 声をかけられ、音源の方に目を向けると、大きな鬼の服が視界を覆った。正確には鬼の腰辺りである。

 藍色が鬼と判断したのは見上げてからである。星のついた赤い角には少しだけ目を引いたが、既に萃香を見ているので驚くには至らなかった。

 角を見る前に目の前にあった大江山に視界を遮られたのは仕方無いと思って頂きたい。山が何だったのかはあえて言うまい……


「どこの妖怪だい?」


 質問には答えねばならない。酒の臭いに耐えながら藍色は声を出した。


「地上から」


「ほ〜……」


 興味を引いてしまったらしい。足先から頭の天辺までくまなく見てくる鬼。藍色は視線より酒の臭いに参っている。

 鬼も顔の青い藍色に気付いたか、問いを投げかけてきた。


「どうかしたのかい?」


 藍色は酒が苦手で臭いに参っている事を伝えた。鬼は考え、最善の策だぞと言わんばかりに言い、藍色の手を掴んだ。


「酒に弱いなら酒に慣れろだ! 行くよ〜」

「ぴゃぁあ〜……」


 藍色にとっては最も言ってほしくなかった事だが……





 星熊勇儀と名乗った鬼は藍色を掴んで酒場から出してくれず、藍色がグロッキーになるまで酒を控えようとしてくれなかった。

 別の鬼がうちわを扇いでくれていたが、鬼の口からアルコール臭がしているのであまり効果がない。

 その後どうにか復活した藍色は、勇儀に会いたくないが為にその場を足早に去


「おお、大丈夫だったかい?」


 …………去らせてよ。藍色は明らかに距離をとっている。


「そんなに怖がらなくていいって」


「怖くない」


 酒の臭いが抜けてないのが嫌なだけ、と説明したら納得してくれた。


「そんなに駄目だったか……すまないね」


「別に良い」


「そうかそうか」


 暗くなったと思えばからからと笑う。表情の変化が早い鬼だ。


「まあ、それなら素面になってから出直すかね。また会おうよ」


 酔っているとは思えない軽い足取りで去っていく勇儀を見送り、藍色は鞄を持って目的地を探した。





 地霊殿は意外と早く見つかった。遠くから見ても大きいから目立ったのだ。

 そして相変わらず堂々と証明から侵入した。


「ばあっ!」


「……わあ〜」


 突然現れて驚かせてきた少女を相手に、物凄くわざとらしく驚いてあげる藍色。優しいとは思えない。


「何その反応……もうちょっとどうにか出来ないの?」


 可愛らしく頬を膨らませている少女。よく観察すれば、体から青い管が出ており、胸元の青い目に繋がっている。その目は閉じているが……


「驚くのは苦手。驚かせるのは得意」


「へぇ? じゃあ私を驚かせて?」


「うん」


 驚く確率急上昇中の少女。あとは簡単だった。


「ばあっ」


「ひゃあぁっ!?」


 ちょろい物だった。





「私は古明地こいしだよ〜」


「藍色」


「藍色って名前なの?」


「うん」


 名前とはあまり思えない名前な為、時々言われる。


「変な名前ね」


「うん」


 よく言われる。


「なんで地霊殿に来たの?」


 こいしは藍色の前に立ち、お化けの真似をする。


「ここには怖ぁ〜い妖怪が居るんだよ〜?」

「観光に来た」


 まさかの答えだったらしい。こいしは停止してしまった。


「……観光の為にこんな所に来たの?」


「うん」


「ここには覚って言う妖怪が住んでるのに?」


「うん」


 覚は人の心を読む妖怪。考えが全て筒抜けになってしまうので、大抵嫌われてしまう妖怪だ。

 元々嘘のつかない鬼や、全く何も考えない者。心が閉ざされた者のような一部例外しか付き合えないとか。


「変わってるね〜」


 と、言いながら藍色の鞄を開けている。


「……いつ取ったの?」


 気づいた藍色がさっさと奪い返しながら問う。


「分かんない。無意識にでも取ったのかな」

「無意識?」


 相手に気付かれずに取るなんて無理に近いのだが。


「無意識を操る程度の能力を持った私なら可能ではあるんだよ。それの影響かはしらないけど、自分の行動も時々無意識なんだけどね」


「ふぅん」


 興味が無さそうに見えなくもないが、藍色はちゃんと聞いている。


「あなたの能力はなんなの?」


「確率を操る程度の能力」


「へ〜、面白そう」


「あなたの能力も興味はあるけど」


 相手の能力に興味を持つのはよくある事だ。別に全く興味がわかなくても構わないが。


「まあいいや。私はもう行こうかな……」


「そう」


 手を振り、屋敷の奥に消えていくこいし。それを面倒そうに見送り、鞄を持ち直して歩き出す。


「……う」


 が、鞄の異変に気付いた藍色は急いで中身を確認する。


「無い」


 そう、無い。中身が文字通り無い。空っぽなのである。この状況で鞄の中身を取る事が出来るのは……


「盗られた……」


 ちょっとがっくり。大事に至るような代物ではないが、せっかくのお土産を盗られて悲しい。

 どうにか返してもらうしか無いので、見つけた部屋を手当たり次第に開けてみる藍色。


「えい」


 一部屋目、客室。誰も居ないし、何もない。素通り。

 二部屋目、またも客室。


「うにゅ?」


 何も居なかった。何も居なかった。大事な事なので二回言いました。

 五部屋目、扉にはお燐と書いてある。


「ニャーン」


 猫一匹しか居ない。素通り。

 十三部屋目、扉にはさとりと書いてある。


「……あら、藍色じゃない」


 何故か紫。隣にはこいしに似た少女も。


「そちらが藍色さんですか。成る程、確かにあなたの言うとおりですね」


 紫との話題に藍色が出ていたらしい。少女は藍色を見つめ、驚く。


「……不思議、何も考えていないのね」


 どうやら、この少女は覚らしい。


「何も考えないようにしただけ」


「そうみたいね。今見えたもの」


 少女は胸元の赤い瞳を撫でる。


「誰だって心は読まれたくないから、ですか。そうですよね」


 藍色の言葉を遮るように少女が言う。一瞬現れた思考を口に出されてしまった。


「気味が悪いですよね。そんな妖怪は」


 そして、少し自虐的な笑みを浮かべた。藍色は困ったように少女を見、能力を使った。

 瞬間、少女は物凄く驚いた顔をした。


「……え? あなたの心が見えない……」


「もう私は怖くない」


 ずっと黙り込んでいた紫が困ったように微笑んだ。


「相変わらず不思議ね……」


「私は幻想郷の住人のほうが不思議に感じる」


「そ、そうですか……」


 ここで一度話が途切れ、藍色が話し出した。


「ちょっと相談があるの」







「これ美味しくない……」



 遅くなりました。でも時間をかけた割には内容はグダグダ、泣きそうだ。


 まあ、どうにか書いていきます……

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