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東方藍蓮花  作者: 空椿
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藍色と茶会 物騒は敵だ

 蓮華畑には現在、藍色とルーミアしか居ない。小町は相変わらず仕事探しなのだろうが、残りの皆はどうした? と考えている人が居るだろうし、説明しよう。

 小傘とフランは幽香の所に行ったのだ。主にひまわりの世話のお手伝いや、能力の応用の話をしている。ただし拳を交えるような事はしない。

 フランとの話で色々興味を持ったのか、レティも二人について行った。どうなって帰ってくるのか少し不安だが、どうなるのやら。


 というわけで、藍色一行は今の所別れて生活している。多分向こうで夕方位になったら帰ってくるだろう。フランと小傘が一緒なら、余程の事が無い限りフランが暴走する事は無いだろうし、心配する理由は無い。

 あえて問題を上げれば、レティか……


「やっぱり私もついて行った方が良かったかしら」


「……いや」


 分からないと続けようとしたらしいが、それを言う前に来客が来た。


「……砕覇「サムタイムチェイシング」」

「十字架「磔の十文字」」


「えい!」

「はあぁ!」


 三回ほど金属音が響き、衝撃に押され四人は距離をとる。


「……また面白い挨拶じゃないの」


「ごめんなさいね、私達の上達の具合を見せたかったのよ」


 白玉楼の二人も元気そうでなによりだが、この登場は予想外だった。

 最近服を新たに仕立てたらしく、今は随分動きやすそうな服になっている。以前の服の面影はちゃんと残っているが、肌の露出が増えてしまったのは大丈夫なのか分からない。

 ちなみに、以前の服は白玉楼でゆっくりしている時に着ているので安心してほしい。


「……まあ許すわよ」


「うん」


「かたじけない」


 さて、お茶会にしましょうか。と幽々子が言う…………のは良いが、お茶会に剣は必要無いと誰か言ってくれ!







 とまあ幻想郷ではありふれた所と違い、こちらは幾分和やかだ。幽香自慢のハーブティーと手作りのお菓子をテーブルに並べ、のんびりとした空気で声を交わす。バターと手作りパンまである。

 ただ残念ながら、レティのみ置いて行かれ気味だ。一人だけ状況が違うので仕方がない。何気に全員強者なのも会話に溝を作っている。


「……強くなろうかしら?」


「よく考えた方が良いよ。ルーミアさん曰わく、強者は面倒に巻き込まれやすいそうだから」


「強くなり過ぎたら面倒な事は向こうから離れていくけどね」


 幽香が良い例だ。彼女の場合相手から近付いてこないのだから。ルーミアは隣に厄介者が居るので、例からは外れる。


「この場に馴染めないからそう考えただけよ。本気で強くなろうとは思ってないわ」


「そっか〜」


「それで、どこまで話したっけ?」


「レティの能力がどうこうって話。ええと……」


 能力の応用の話……実は、意外と進んでいる部分がある。小傘でも幽香でもないのだが。


「冬って、生命に最も死を与えるよね。そうで無くても、冬という季節に活動を停止させる物はいくらでも居るよ。クマとかカエルとか」


「活動の停止って死じゃなかったら眠りよね。眠りにも色々あるけど」


「……というからには、何か考えつく物があるのかしら?」


「永眠」


 安定の幽香クオリティは置いとこう。要するに、レティの能力でここまで来たわけだ。順番はざっくりと並べると……

 寒気、冬、四季、四季に合う物、冬は死、眠り。となる。連想ゲームみたいだが、藍色論なら連想ゲームに強い能力者が最も輝けるという事が証明されてしまっている。

 この中で一番そういった事に長けているのは……小傘、かな?


「まとめると、眠りに誘う能力って事で良いのかしら。永眠含め」


「むしろ活動を停止させる能力ね。眠りも死も大まかに言えばそうなるわ」


「やだ、怖い能力になっちゃったわね」


「ほんとだね〜」


 幽香がわざとらしく可愛げに言ったのは良しとするが……フラン、それはギャグのつもりかい?


「……連想ゲームは良いんだけど、本当に出来るかしら?」


「ちゃんと思いついた順番に、ゆっくりやれば出来るんだよ?」


「あ〜、小傘が良い例よ」


「……この子の初期の能力と今の能力を教えて」


「人を驚かせる程度の能力、相手を超える程度の能力、かしら」


 全然違う……


「……なら、信じてみましょうか」


「そうしてくれると助かるわね。ところで……」


 幽香が、何か疑問に思った事があるらしい。指を二つ伸ばしているのは何の意味か……


「一度考えを戻して冬から別の考えを巡らせた場合、最初に出した能力は使えるのかしら」


「……分からないな〜。試してみないと」


「そう。じゃあ保留にして……もう一つ」


 一本指を折った辺り、数の意味だったのか。


「私の植物を操る能力を、種を繁栄させる事。転じて生命を与える事に繋げられないかしら……?」


 やや不安げに聞いた幽香だが、この三人には嬉しい答えが出せそうに無い。


「……ちょっと過程が雑かな? 肉付けしていけば何とか……」


「ありがとう。一人ででも考えてみるわ」


「……上手く行ったら生命を与える能力、か。恐ろしい能力ね」


 それならリザレクション出来ますね。フェニッ○スの尾や○グドラシルの葉もいらないよ!


「万一誰かが死亡した時の保険に」


「小傘、私はほぼ一般の妖怪なんだけど。目の前で堂々と怖い事を言わないで」


「ありゃ? ごめんごめん。忘れてた」


 レティは死合いしないからな。


「……あ。小傘、レティ? もう夕方だよ」


 フランが外を見ながら言う。確かに空が真っ赤だ……が、蓮華畑ならもう月が出ているだろう。


「あちゃ、そろそろ帰るかな」


「お疲れ様。またね」


 良い時間なので、ここらで解散とすることにした。幽香にお土産のパンを頂き、仲良く日傘に入って帰った。

 ちなみに、手作りらしい。べーかりんだなぁ。


「また来なさいよ〜」


 嫌と言われてもまた来るつもりだ。







 さて、蓮華畑に戻ってきた三人だが……


「おかえり」


 何故か幽々子と鍔迫り合いをしている藍色に迎えられた。


「えっと……何事?」


「私の訓練に付き合ってもらってるのよ〜。心配かけたならごめんなさい」


 心配よりも困惑が先に来るよ!

 それと、ルーミアと妖夢は……?


「まだまだよ未熟者。せめて五秒生き残りなさい」


「あ、あれを無傷なんて……」


「しっかりなさい。まだ与奪の十文字しか使ってないのよ?」


 ……どうも、避けや受けの訓練中だったらしい。


「しっかりしなさいよ。あれくらい小傘なら十分は捌け」


「無理無理! ルーミアさん出鱈目言わないで!」


「まずただいまを言いなさいよ。あと、出鱈目を言った覚えは無いわ」


 ……そうなのか? 現状ではルーミアにしか分からないようだ。


「まあ別に良いわ、終わったらご飯にしましょうか。レティも一緒に食べましょうか」


「「は〜い」」

「お言葉に甘えて頂くわ」


「幽々子様、こちらもそろそろ……」


「はいはい。藍色、ありがと」


「七十点」


「……さっきのね。まだまだか」


 本当に唐突だねぇ……この辺りも治るのか?

 まあ、今は良いか。







 ルーミアとフランは種にあった物を、小傘と藍色は野菜を中心に。レティは要望が無かったのでバランス良く。

 妖夢と幽々子は持参した重箱を食べているのだが、いかんせん量がおかしい。


「案外優雅な食卓ね。椅子と机はどこから調達したのかしら」


「料理は小傘、椅子と机はフランに作らせたのよ。疲れたかもしれないけど、何度も使えば慣れるものよ」


「そういう確率は上げてある」


「あ、藍色様の御加護だ」


「私は神じゃない」


 全員から疑いの目を向けられ、藍色は黙った。


「能力使ってなんとかならない?」


「まだ何もしない」


 いつになったら……


「のんびりやれば良いじゃない。私と妖夢はそうしてるわ」


「幽々子と私は全然違うの」


「そうね、全然違うから逆に似てるのよ」


「むう?」


 分からない。と言おうとしたが、先に人が来てしまった。


「ただいま」


「おかえり、どうだった?」


「全然だよ。元死神なんて不吉で仕方ないってさ」


 小町もお腹が空いてるらしいので、食事に参加した。献立は主に肉類中心だ。


「旅はいつ再開するつもり?」


「特に日程を決めたわけじゃないそうだ。全ては藍色の判断に委ねられてるよ」


「……当分先になるかもね」


 藍色の気まぐれだからなぁ。


「……幽々子」


「なぁに?」


「異変起こした?」


「……ああ、あれね。それが何?」


「聞かせて」


 後は、レミリアと同じ。ただ、節々に現れているのは未熟な庭師に対する物が多い。それと……


「……異変が終わってしまった今でも、たまに気になるのよ」


 西行妖の下の物への好奇心。異変で霊夢に負けた今、自分から知ろうとはしないが……


「……………………藍色、あなたなら分からない?」


 目の前に頼れる方法があるなら、使わない理由は無い。


「分」


「あ〜! やっぱ牛は美味いねぇ!?」


「そそそそうだね! こっちのサラダも食べる!?」


「ゆっ幽々子様! 空になったなら仰って下さい! お取りします!」


「わー! わー! 月が綺麗だねぇ!?」


「……あんた達、かなりオーバーよ」


 しかし、全力で止めなければならない理由がちゃんとある。あれを幽々子に知らせるのは非常にマズいのだ。


「止めても良いけど、藍色はもう分かっちゃったみたいよ?」


 ルーミアが隣を見ると、眉をひそめる藍色が居た。


「……言ってくれるかしら?」


「藍色、言う必要は全く無いのよ」


 しかし、藍色は口を開いた。妖夢が刀を抜く。


「西行妖の下には――」

「止めろォ!」


 藍色は妖夢の突きを流し、背中を押して吹き飛ばした。小町も止めに入ろうとしたが、フランが何かに気付いて止めさせた。

 そうして、藍色は……


「歌聖、富士見の日記がある」


「……え?」


 堂々と嘘を吐いた。


「内容は至極単純で、それ故真っ直ぐな子への愛情。良かったね」


「……本当に?」


「富士見はそれの存在は誰にも見られぬように埋めた。それだけ」


「…………そう、ありがとう」


 とりあえず、全員が緊張を解いた。この場は何とかなったのだ。

 しかし、幽々子はそれを嘘だと見抜いていた。藍色も隠すつもりで言ったわけでは無かったし、幽々子の勘の鋭さを考えれば当然だ。

 だが幽々子は、藍色の嘘にあえて反論しなかった。先程の皆の慌てようや、わざわざ演技までする藍色を見て、直感的に導き出した答えに納得したのだ。


『西行妖には、私が見ると非常に危険な何かがあるのかもしれない』


 幽々子は、西行妖の下の何かを見るのを諦めた。こうまで皆が止めるのだ。心配してくれているのだから、私が心配させるのはいけないだろう、と。

 好奇心が消えたわけではないが、幽々子はもう自分から見ようとは思わなくなった。

 かくして幽々子は皆からの友情を再確認し、藍色の優しさに触れながら白玉楼に帰った。ただ、それだけの話。


「……ふう」


 幽々子達も帰ってしまい、またも退屈になってしまったが、特に気にした様子のない藍色は次の来客をのんびり待つ事にした。







 八雲紫奮闘日記、地霊殿編その二!


 古明地こいしが混ざってきたので、私の仕事は更に厳しくなったが、嬉しい事もあった。いつもの服では動きにくいだろうと、犬走椛が天狗の仕立て屋に軽めの服を仕立てて持ってきてくれたのだ。素直に感謝した。

 もうなかなかの時間が過ぎているが、相変わらずさとりは私を放さない。いい加減解放してほしいと考えるのも疲れてきたので、今は目の前の仕事を片付けようと思う。

 お燐は何かと私を気遣ってくれるので、最近は会話も増えた。私としても楽しいので、この地霊殿の生活は無駄な事にはならないと確信出来る。

 しかし、何故さとりは私を引き止めるのだろうか。藍色一行に何かあるのだろうか?


 最近東方二次創作キャラクターを出そうか迷い始めた空椿です。地底のあの子はキャラ的に美味しいんですよね……

 この辺りがハッキリしたらまた書きますね。意見があるなら遠慮はいらない、存分に言いなさい。


 レティについてですが、死合いするキャラにするか否かで現在揺れています。若干の『する』の方向に傾いてますが、無闇に魔改造するのもあれなので……時間をかけて考えたいと思います。


 どうにも考えるべき事が多いですね。しかし、大部分に読者さんの意見を貰っているので、諦めずに考えます。しかし蓮華畑の名前だけは何一つ思いつかない……


 では、失礼します。次回は残念ながら、永遠亭メンバーは出ません。なのであのお三方が来ます。お楽しみにノシ

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