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東方藍蓮花  作者: 空椿
67/114

藍色と休息 難問は敵だ

 蓮華畑に、普段とは違う花が咲いている。まあ花というより傘なのだが……が、夜の為に日傘の意味を成さず、おそらく単に差しているだけなのだろう。

 そんな蓮華畑の空には満月が光っており、この場にいる妖怪達に力を与えているし、藍色の目もやっぱり輝いている。


「……やっぱり異常よね」


「うん……」


 ちなみに、昨日も一昨日も満月である。


「空間に異常がある……?」


「休息中に考え事するのは止めたいと思ったんだけどなぁ……」


 更に言えば、日が遅く登って早く沈んでいる。まとめると、毎日満月の夜が長いのだ。

 このような現象は他の場所では見られないが、ここだけで見られる理由は他と何かが違うからだろう。

 他の場所と違う物と言えば……


「ってなわけで幽香、何か分からないかな」


「遊びに来てみたらこれだもの。嫌になっちゃうわ」


「皆気になってるから」


「はいはい、ちょっと待ちなさいな」


 蓮華だな、うん。たまたま遊びに来ていた幽香に頼み、詳しく調べてもらう。そんな幽香の様子を、藍色一行は各々自由な体勢で見つめる。小町だけは人里に出かけており、レティは特に興味が無いのか涼しい夜を満喫していた。

 そんな風に待っていると、何か分かったのか幽香が口を開いた。


「……これ、魔法植物の類よ」


「え、お化けキノコみたいな?」


「小傘、キノコは菌類だよ」


 そんな話は別にいいだろう。


「ほんの少しだけ夜を引き留める力があるみたいね。魔法的な何かだから、私にはちょっと理解は出来ないわ」


 幸い幻想郷には魔法使いが意外と居るので、魔法的な部分は言わなくても解明してくれるだろう。


「一本だと大した力じゃないけど、群生してるから随分と大きな力になったのね。この蓮華畑くらいの範囲しかないけど」


「ん〜、つまり?」


「ここだけ昼が短くて夜が長いって考えて。多分蓮華が増えたらもっと夜が長くなるわよ」


「……あの満月は?」


 まだあれだけ解明されていない。気になった藍色が問う。


「あなた、確か能力使ったでしょ? 蓮華に」


「うん」


 ……具体的に何をしたのやら? まだ教えてくれない。


「その時にあなたの妖力に触れて、非常に低確率な突然変異が引き起こされたの」


「藍色が確率に通じてるから現実味があるわね」


「「だね〜」」


 といっても、本当に偶然…………いや、藍色の妖力だから確率が変化したってあり得なくは……


「それで、妖力に触れて魔法植物……妖怪植物とも言えるけどね? それは更に藍色から漏れる妖力を吸収して更なる変異を起こした」


「……私の妖力って……」


「そうね、かなり不思議ね」


 ルーミアの分析によると、藍色の妖力は本人の能力の一部が含まれているのでは? との事だ。実際はどうなのか分からない


「その変異で、触れた人の妖力が影響しやすくなったの。あの満月はルーミアの妖力による物になるわね」


「影響しやすくねぇ。なら近い内に小傘とフランの影響も出るのかしら?」


「そうなるかもしれないわね。ちなみに、あなた達が居ない間に私が花の世話をしてたから、私の影響も出てるわよ。具体的には繁殖力に」


 う〜む……


「……まだ蓮華畑は太陽の畑よりも結構狭いくらいの面積だから、地形に関しては今の所大した影響は無いと思うけど、昼が来なくなる位に広くなったら能力か何かで止めなさいよ」


「そうするわよ。悪かったわね」


「満月は私も好きだからストレスにはならなかったわよ」


 太陽の方が好きだけど、と言い去っていく幽香を見送り、皆またのんびりとする。


「結構考えさせられる問題だね」


「うん」


 凄く身近な事だから、少しくらい知っておこうと考えた結果があれだ。


「一応レティに言ってくるね」


 フランが立ち上がり、レティの居る方向に進む。蓮華を踏んづけてしまっているが、踏まれた側からまた夜空に向けて立ち上がるという強靱さだ。

 強靱すぎて紛い物と疑いたくなるが……


「……多分藍色ね」


 藍色はこの花を結構気に入っているし、何かしてるかもしれない……いや、してたか。


「む?」


「……もう」


 いつか吐かせると考え、ルーミアはその場に寝転んだ。







「へ〜、妖力をね」


「うん、幽香が言ってたから間違い無いよ」


「私はどうなるのかしらね? 気候が冬になる、とかなら大歓迎だけど」


「それは分からないよ」


 一応この辺に住み着いているレティも知る必要があるとので、伝えてみた反応は上記の通り。


「私、花にはあまり興味が無かったから……接する良い機会かもしれないわ」


「冬に咲く花って意外と見かけないよね」


「水仙と菊とかかしら」


 咲く時期に差はあるが、合っている。


「ま、冬の花も探せば沢山あるでしょ」


「そうだね。お姉様も庭に沢山花を咲かせてるしね」


「ああ、レミリア・スカーレットだったっけ。随分なお嬢様なのに、何で旅をしてるの?」


「え? ん〜……」


 フランは、少し前を思い出す。


「……恩人で、憧れて、共感した。かな?」


「……うん?」


 自分を悩ませていた狂気との付き合い方を教わり、自身を超える強さに憧れ、自由に飛び回りたがる思想に、自分と同じ何かを感じた。といった所か。


「私もよく分からない……かな」


「そう、ちゃんとした理由が見付かれば良いけど」


「そうだね〜」


 あとは藍色の旅路を話し合った。レティが意外にもお気に召したようで、二人の話はなかなか弾んだようだった。







「暇ね〜……」


 寝返り。


「凄く暇だわ〜……」


 更に寝返り。


「ここまでやる事が無い日は初めてだわ〜……」


 ルーミア。本当に何もしない日は封印時を含めて初めてらしく、無駄にゴロゴロしていた。

 封印前は強者を探してユラユラしていたし、封印時は基本的に食物を探して徘徊していたか、霧の湖で親友とつるんでいたかのどちらかしか無かったので、ここまで何もしていない日は未経験だ。

 こんな退屈な時間は頭を回転させて暇を潰すのだが、そこを小町に釘を刺されてしまっている。


「毎日毎日考え過ぎだよ。せめて一週間は何も考えずにいるんだ。あたいとの約束だよ?」


「アンタ何様よ……」


 しかし、何度も何度も念を入れて言われてしまったので受け入れてやる事にした。


「……歯痒いわ」


 それがこの有り様である。思考が渦巻いているのが普通なルーミアにとって、それを完全に停止させるのは逆に違和感がありまくるようだ。

 むしろ何かの拍子に考え初めてしまうので、考えない方が難しい。むしろこちらの方がイライラするんじゃないだろうか?


「…………う〜む」


 ルーミアがこんな状態なので、小傘も話しかける事が出来ない。そんな小傘も、今の状態は初体験だ。

 ルーミアと違うのが、小傘は何もしていない状態はあったが、常に空腹状態だった事だ。それに比べて、今は腹は満たされている。


「む」


 そして藍色だが……こちらは逆に考える事に集中している。これからの旅の予定について、少々考えるべき事があるからだ。行き先の予定は無いけど。

 皆にペースを合わせた事など無かったので、どの程度移動する速度を緩めれば良いのか藍色には分からない。そもそも、皆のペースを知らないのだから。

 それに、自分自身のペースを緩める事が出来るとはどうしても思えなかった。自分の気持ちに正直に生きてきた藍色は、我慢すらろくにした事が無いからだ。

 そんな状態だからか、藍色は自分で解決する方法を一つしか思いつかなかった。


「……能力」


 ご存じ『確率を操る程度の能力』である。藍色はこれで自分自身の心に干渉してしまうという無理矢理な方法だ。

 ルーミアに聞けたらどんなに楽なのやら……と思ったが、今現在のルーミアに話しかけるのは流石の藍色も気が引けるようだ。

 結局能力頼りとなった。しかし、こういう物をやろうとすると藍色は決まって……


「…………ふぇぇ……」


 ことごとく失敗してしまうのは既にお約束だろうか。ご愁傷様である。

 結局進展無し、藍色は考えるのを諦めた。


「随分悩んでるけど、そんなに難しい事なのか?」


「う?」


 急に現れた影を見上げると、見慣れた魔法使いが目に映った。隣には巫女もいる。


「こんにち……いや、もう夜よね?」


「私の体内時計ならまだ夕方だぜ」


「この場所では夜になる」


「……詳しく聞かせて」


 異変解決組の二人が立ち寄った。







「私には分からないな」


「アンタ魔法使いでしょ?」


「確かに魔法使いだが、これは専門外だぜ」


「役立たずねぇ」


「なにおう!?」


「やるの?」


 早速衝突した。しかし……


「ただやると負けるのは決定だ。殺るぜ」


「……良いじゃない。最近は退屈してた所よ」


 ただ暴れるだけじゃなかった。一応藍色が警告した。


「今は暴れない方が……」


「勝負だ! 今回勝ちは頂くぜ!?」


「アンタが私に勝つなんて千年速いのよ!」


 残念ながら無駄に終わり、二人が空に向かった瞬間……


「うるさい!」


 光線に仲良く叩き落とされた。


「考えないのは疲れるんだから喋らないで」


「考え事じゃないの?」


「小町に言われたじゃない。たまには考えずにいろって」


 残念ながら、余計にイライラするようだがな。結局考え事を始め、小町には抗議する事にした。

 解放されたいくつもの思考は、いつもより回ったそうな。







 二人は小傘に世話をされ、元気を取り戻した。魔理沙は受け身をしっかりとれたのか、落下時のダメージは無かった様子。霊夢はちょっとミスしたけどね 


「考え事してないルーミアさんは刺激しちゃ駄目だよ」


「色々おかしいぜ」


 してたら問題無いのかよ。と呟きつつも小傘に大人しく手当てしてもらっている。霊夢は既に手当ては終了しており、藍色の相談に乗ってやっている。


「我慢した事があまり無いから我慢出来るか分からないと」


「うん」


「考えにくいわね。私は我慢ばかりだったのに」


「またの名を貧ぼ」


「うるさい!」


 藍色は意外と容赦ない。


「もう人並みの生活してるじゃないか」


「そうそう。最近のブームは味噌汁ご飯ね」


「……霊夢、強く生きろ」


「何よその含みのある言い方は!」


 さあね……


「で、なんの話だっけ?」


「……忘れないで」


 この二人って……







 突然だが、ここでちょっとこちらをご覧頂きたい。


 八雲藍の式神、ただ呼び出すだけじゃないわね。何かあるけど情報不足により限定不可能。

 寅丸星の武器、手持ちの矛があるのに武器を出す理由はおそらく先頭パターンの変化。詳しくは次回の戦闘ではっきりさせる。

 八雲紫、現在の所ハッキリさた成長は見られない。が、策の質の向上がやや見られるので今後注意が必要。

 夢子、スペルカード無しで戦闘力の向上が見られる。今後それらを持たれると厄介と推測する。注意すべき。

 蓮華畑、妖力の吸収により花自体が特殊な能力をもつ。下手に私達が集まってしまうと誰も立ち寄れない魔境になりかねない。基本的な活動場所は個人で一定の範囲を分ける必要あり。レティにも一部を提供するべき。

 未探索地、仙界の情報を八雲藍から抜き取った。旅の再開の時に藍色に提案する。おそらく戦闘は無いが、厄介な事になるのは容易に想像出来る。注意が必要。

 今後の八雲の対処、旅の再開後に旅がローペースになる可能性大。八雲にも感づかれ易くなるので、以前より衝突が増える。対処法を検討する必要あり。


 以上、ルーミアの頭の中の様子である。字だらけで分からないが、沢山ある話題の結論を全て同時に叩き出したルーミアは一体何なのか。

 いつもより調子づいてるのは分かるが、その思考は一つ一つバラバラにしてみないと一切分からない。


「よし、当面の問題は大体片付いたわ。まだとはいえ、まだまだ考えるべき事はあるけど……」


 扱いの難しいフランや、状況によって行動の結果が変わりやすい小傘。皆の手を一気に引っ張ってしまう藍色などの身内を、私が引っ張らなければならない。

 考えるのが苦手な皆に代わり、人数分の事を考えるルーミアだが、自分一人では限界があった。

 考えないのは苦痛だが、考えすぎると身が滅ぶ。その調整が、ルーミアは苦手だった。


「戻ったよ。リラックスは出来たかい?」


 しかし、そんなルーミアを支えるであろう人物が、今の所は存在していた。小町だ。


「……なぁにがリラックスよ。余計にイライラしたわよこのサボり魔。アンタの頭とは勝手が違うのよ?」


「いやいや、もうサボり魔じゃ」


「何か?」


「わわわ悪かった! 謝るから殺気なんて出さないでおくれよ!」


 どうやら、考えるのを止めさせて休憩がてらリラックスさせようとしたらしい。完全に逆効果だが。


「……私は考えていた方が落ち着くの。覚えておきなさい」


「分かったよ、次から気を付ける」


 溜め息。


「で、今は何を考えてるんだい?」


「身内達の世話はどうしよう、って事よ」


「あ〜、あのじゃじゃ馬達か。何か成果はあったかい?」


「ちょっとだけよ」


 ルーミアの言うとおり、ちょっとだけだ。三人を個人で抑える事はまぁ可能だが、全員となると成果は全く上がらなかった。藍色に至っては個人でも抑えられる自信がない。


「……そうかい」


 小町がよっこいしょとルーミアの隣に座る。


「一緒に考えてやるから、一人だけで考え込むなって」


 少しの驚きと、少しの拒絶と、少しの感謝。身内の問題は出来れば他者には頼りたくないのだが……


「……考えるからには、必ず結果を出すわよ」


「へいへい」


 小町なら大丈夫そうだ。そうルーミアは考え、一緒に考えてもらう事にした。

 いつもよりは良い結果が出た気がする。







 そんな事になっている頃、こちらは大惨事になっていた。

 魔理沙と霊夢が腕試しに二対一の勝負を小傘に挑み、小傘は練習なども考え承諾。藍色が審判を任され、乱戦が始まった所にフランとレティが登場。フランは目の前の乱戦に目を輝かせながら参戦、一対二対五となった為藍色が面倒がりながら小傘に、霊夢と魔理沙にレティが参戦。という滅茶苦茶な状態に……

 まあ、それが決まった時点でルーミアが来てくれたので、一旦は休憩出来たのだが。

 ともかく、力量も経験も一切無いレティにいきなりの実戦は不可能と判断したルーミアが……


「レティは私が指示を大まかに出すから、上手く反応してね」


「……問題無いの?」


「ルーミアなら安心できる」


 ルーミアの指示はほぼ的確だろうし、問題は無い。藍色の参加が決定しているので小町が代理を行い……


「開始だ! 怪我はするなよ!」


「下」


 早速ルーミアの指示が飛んだ。それに慌てながらもレティは反応してくれ、フランの大暴走と魔理沙のマスパ改が馬鹿みたいな被害を出してくれたが、どうにか皆無事で終了した。

 結局、誰もルーミアの策を破れなかったので、レティだけが生き残ったのだが。


「……で、何で人が集まってるのかしら?」


 ルーミアが見る先には、何故かお弁当などを持参している紅魔館の皆さんが居た。パチュリーは居ない。


「別に良いでしょう? 気分転換くらい」


「気分転換は良いんだけど、門番まで居るから気になるんだよ。紅魔館の守りは大丈夫なの?」


「私のコウモリが巡回してるから問題は無いわ。そのおかげで背が縮んでるのだけど」


 よく見れば、一寸程縮んでる事にフランは気付いた。どうやら体の一部をコウモリに変えているらしい。


「お姉様小さい」


「認めるけど、何だか悔しいわ……」


 小傘がピンと来た。


「そんなお困りのレミリアさんにはこちら!」


「味の無い薬」


 出た!


「……妹様、一体これは……」


 かくかくしかじかである。


「……そうね、飲んでみようかしら?」


「飲むんだ」


 藍色が意外そうな顔をし、鞄を開いてレミリアに薬を渡す。


「むせないように。あと何かに混ぜるのは御法度」


「気を付けるわ……って、混ぜちゃ駄目なの?」


「どうしても飲みにくいなら紅茶に入れようとか考えましたよね」


 美鈴の図星。咲夜が苦笑いをしたのを霊夢は見逃さなかった。


「……私も興味あるな、飲んでいいか?」


 魔理沙も興味が出たのか、薬を要求してきた。断る理由も無いので渡し、薬の残りの数は十四となった。

 レティや霊夢も興味はあるようだが、手出しはしたくないようだ。好奇心旺盛のレミリアと魔理沙だからこういう結果になったのだろう。


「咲夜さんは?」


「私が飲んで何になるのよ。更に仕事がはかどるなら常備薬にでもしたいのだけど」


「はかどると思う……」


「少し迷いの竹林に急用が」


「ストップストップ」


 咲夜さん……


「じゃ、飲むわよ?」


「ああ、美味しくないから気を付けてねお姉様」


「苦い物以外なら大体食べれるわよ」


 ピーマンが食べられないと咲夜が後に零した。フランはちゃんとピーマン食べれますよ?


「いや、苦いも渋いも不味いも何もないの。美味しくないの」


「…………? まあ忠告ありがと」


 あ、駄目だ理解してない。魔理沙は理解したようだが、好奇心に負けていた。


「うぐっ……味がねぇ」


「……!?……!…………んぐっ」


 レミリアが初体験の代物に悪戦苦闘していたが、魔理沙は味に文句を言っただけで特に何も無し。


「御嬢様!?」


「……これ、不味いじゃなくて美味しくないよ……」


「だから言ったのに」


「忠告を聞かねばこうなる、と」


 霊夢が呟いた瞬間、ポンと可愛らしい音が響いた。しかし……


「……何よ、何で皆して構えているの?」


 次に放たれたのは、紛れもない威圧感。弱者ならその場で死してしまいそうな感覚だ。


「成る程、つぎはぎのカリスマは成長と共に進化するのね」


 藍色すら身構えているのに、ただ一人ケロリとしているルーミアが冷静に分析した。確かに目の前のレミリアは魔性と言える美しさであり、そのプレッシャーも空気を揺らすように感じれる。


「無自覚の脅威だ、レミリア。良いから肩の力を抜け」


 バシッと箒で叩かれるレミリア。


「あいたっ」


「咲夜が無意識に跪いてるじゃねえか」


 見事に身長で霊夢を大きく引き離した魔理沙がいた。しかし、箒を肩に当てていたり、スカートがやや短くなって動きやすそうだったりと、活動的に見える。


「……っ!? 一体何が……」


「危うくレミリア相手に攻撃しかけたわよ」


「ああ、死んでしまうかと思った……」


 霊夢は巫女としての本能でレミリアを退治しかけ、特別強いわけではないレティは三途の川が見えたそうだ。

 ちなみに、三途の川には当然小町は居ないが、知らない死神が居たそうだ。ちなみに男。


「で、調子は?」


「おう、色々と霊夢に勝った気がするがな、服が変わるとは思わなかったな」


 魔女帽子は相変わらず愛用しているご様子だが、指を出している皮の手袋で手を保護していたりスカートを従来より短くしたりと大分変化が出ている。冬でも無いのに長いマフラーを巻いているのが非常に気になる。

 レミリアは逆に変化がほぼ無い。強いて言うなら、身の丈に合わせて服が大きくなった事か。


「これは凄いな。今なら何でも出来そうだ」


「同感よ。今なら異変を起こしても霊夢に負ける気がしないわ」


「勝てる気がしないわ……」


「そうね、従者として誇らしく思えるわ」


「もう門番いらないんじゃないでしょうか」


「気を落とすなよ……」


 そんな時、藍色がレミリアに聞いた。


「異変?」


「紅霧異変。そうか、藍色は知らないのね」


 藍色の好奇心を刺激したらしい。


「聞かせて」


「……座りましょう。長くなるわ」


 その後、延々と紅霧異変の事を聞いた。節々に親友や従者への労いや、妹への愛が出ていた。


「でね? 私はこの霧でフランが外に出られるように……何よ、皆してニヤニヤと」


「優しいんだね」


「…………で、上手く行くと思えば巫女と魔法使いに止められたのよね」


「あはは。まあその後にフランと遊んでやったりしたから結果的に良い方向には傾いたんだよな」


 しかし、残念ながらそれまで。藍色が現れるまでフランの対処には皆困っていたそうな。


「これが紅霧異変の全貌。理解出来たかしら」


「……他に異変は?」


「春雪異変とかかしらね。あなたの知り合いに元凶は沢山いるし、呼んで聞けば良いんじゃないかしら」


 藍色の旅の計画が早くもまとまった気がする。

 何はともあれ、紅魔館メンバーは蓮華畑で一夜を過ごしてしまい、魔理沙と霊夢は好きに暴れた後に去ってしまった。

 また退屈になってしまったが、特に気にした様子のない藍色は、次の来客をのんびり待つ事にした。







 八雲紫奮闘日記、地霊殿編その一!


 今日もさとりに言われペットの餌やりだが、最近大体の子を把握してきてしまった。慣れてしまえば皆可愛いが、私の目的はあくまで藍色だ。こんな所で足止めは遠慮したいのだが、私は地霊殿を動けないままだ。

 だから藍達全員は先に地上に戻し、私だけが残る事にした。今後もこんな事があるだろうし、一応頭には入れておこうと思う。

 しかし、さとりはいつになったら解放してくれるのだろうか。とっくに解放されていい頃だと思うのだが……

 …………忘れているのか、分かっているのか。後者なら質が悪いのだが……サディストだろうか?


 天色の空椿です。最近更新速度が落ちてきましたが、未だに熱は冷めてないのでご安心下さい。

 更新速度は落ちましたが、その文字が多くなって来ましたね。良い傾向なのかどうかは判断の難しい所です。


 人数が増えると喋れないキャラが居ますね。一応気を付けてますが、空気なキャラが時々出てしまいます。なんとか対策を考えましょう。


 そういえば、藍色の一行は皆誰かに対しての恋愛感情は無いんですよね。結構今更ですが。

 一行が誰かに対して恋愛感情を持った方が面白いかな? とか考えますが……どうでしょう? 番外編として出してみましょうかね。感想か何かで意見が頂けたら手っ取り早いかな……


 というか正直、藍蓮花でカップリングを色々考えたら異色のペアが沢山出来ますよ。妖夢とこいしとか、紫と星とか。たまには考えてみようかな……?



 さて、藍色は異変に興味を持ち始めました。ある意味紫の最初の目的に段々近付いて行ってますが、はたして……?


 ではこの辺りで。またお会いしましょうノシ

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