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東方藍蓮花  作者: 空椿
63/114

藍色と模索 未知は敵だ

 相変わらず、見渡す限りの藍の蓮華。地名はおろか花の正式名称もまだ決まっていないが、急いで決める必要はまだ無い。


「でもここ良いよね!」


「うん」


 たまには相合い傘がしたくなるのか? 小傘と一緒に畑を進むフラン。小傘も嬉しそうだし別に構わない。

 そういえば、藍色が唐傘を差して歩くと蓮華と混ざって保護色になってよく見えない。藍色意外の色が逆に目立つのだがなぁ……


「座ろう」


 藍色が言うので、皆輪になって座る。こんなに広いと座る場所に困るよね。


「どうかしたの?」


「今日は話を中心にする」


 話し合いをして能力の利便性を上げようという考えだ。ここは広いので、多少試験的に使っても被害は無いだろう。


「試したい事がたまってたから良い機会」


「例えば?」


「ルーミアの闇を光に変換したり、フランの破壊の能力を創造に向けたり。難題だけど成功すれば非常に大きい」


「出来ても使わなさそうだね」


 疲れそうだ。


「正直、そこまで出来てしまうと私達で一つの世界が作れそうよ」


「ルーミア、世界は作れても生命は無理だよ? 出来ても疲れちゃうかも……」


「あら、少々飛んだ思考にすれば私が可能なのよ? 私も流石に考えすぎとは思うけど」


 三人の視線が集まる。


「闇は負の感情、光はその真逆でしょ? 負の感情で一番大きいのは死の恐怖、死に直結するのよ。ならその逆は……って事よ。まあ流石に飛躍しすぎね」


「そう考えるのか……」


「真逆の物事は接点が無いように見えて密接な関係にある」


「じゃあフランにも出来るかな」


「それを今からやる」


 藍色が張り切っている。断る理由も無いので……


「じゃあ、実験開始だね。考え付いたらすぐに実行って事で!」


 小傘が元気良く宣言したので、開始としよう。

 ここで藍色が密かに能力を使用、『最終的に何かしら収穫を得る確率』を上げる事に成功した。が、他は全て失敗というとんでもない結果に終わった。藍色に平均の文字は無い。

 まあ、黙ってやったのだから藍色は気にしない。もし本気だったならフランに結果を破壊してもらってる所だ。


「さて、効率を上げる為にこれ使いましょう」


 美味しくない薬出ました!


「「うっ」」

「む」


 藍色だけは断固拒否した。


「じゃあ、なにか混ぜて飲みなさい。ずるいわよ」


「やだ」


「何が良いかな?」


「ここの蓮華の蜜とか」


「やだよ」


「小傘、集めなさ」


「絶対にやだ」


 残念だが、全員飲むのは決定だ!


「覚悟しなさいよ〜」


「みゃ〜……」


 藍色を能力で取り押さえ、蓮華の蜜をたっぷり混ぜて飲ませてみた。やはり無味だった。







 面白い展開になりそうだが、残念ながらここで切らせてもらいましょうか。視点を紅魔館に移します。


「……妹が妹なら、姉も姉ね」


 図書館のパチュリーが呆れた様子で向こうを見る。その先には、物凄い速度で本を読み漁るレミリアと、忙しなく本を運ぶ小悪魔。行きも帰りも本の山を持っている。


「私はゆっくり読みたいわ……」


 フランに負けぬよう図書館の本を読み、記憶するつもりらしい。既に四割を丸暗記している辺り、姉も同じ才能が眠っていたのだろうか。読むの速すぎだよ。


「お嬢様、一時間経ちました」


「……あら、もう? じゃあ次よ。門番を呼んで」


「読書の次は運動? 忙しないわね」


「フランには負けてられないから」


 負けず嫌いだな。本の片付けを小悪魔に丸投げし、勢い良く行ってしまった。


「……私も、何か考えるべきね」


 念の為、パチュリーも少し考えを改める事にした……と、思考を開始する前に部下は労っておこうか。


「小悪魔、いつでも休憩を挟んで構わないわ」


「は、はいぃ……」


 流石に鬼と言われたくはないパチュリー。

 数分後、館の壁を貫通してきたグングニルの余波で小悪魔が吹き飛ばされたのだが。パチュリーは鬼ではなかったが、本物の鬼がとんでもない物を……







 紅魔館はもう良いか。


「じゃあ、無いものの破壊にはまず破壊の目を作る必要性が出てくるわけね」


「私の能力発動の起点だから、これは外せないよ?」


「問題無い。破壊の目の構造を理解してしまえば一から作るのも難しくはない。可視化するから出して」


「……う〜ん」


「何? 小傘」


「やっぱご主人様に違和感がある」


「うるさい」


「ついに精神年齢も変化したわね〜……」


 え? 何それ気になる。







 だが残念。更に視点を移してしまおう。


「あれ、どこかで爆発音が聞こえたような……」


「気のせいだと良いわね。爆発はしないにこした事はないわよ」


「ですね」


 平和にお茶を飲むのは白玉楼の住人である。すぐ側に一振りの剣と二振りの刀が置いてあるのを見るに、先程まで剣を振るっていたようだ。幽々子の服装も、ゆったりした和服ではなく動きやすそうな服だ。


「妖夢、続きにしましょうか」


「はい」


 空になった湯飲みを並べて置き、自身の得物を持って広い場所に歩く。並んで歩く様は仲良しという事を証明しているようだ。


「次は何をしましょうか」


「そうですね……」


 素振りも剣舞もあらかたやったからなぁ……と考える妖夢と、案を出そうとしきりに考える幽々子。


「……そうね、真似事をしてみましょうか」


「真似事ですか?」


「ええ、藍色達の死合いの真似事」


 死合いと言っても相手を死なせないのがミソ。


「分かりました。今からですか?」


「ええ、お願いね〜」


 剣を抜き、やや高めに構える幽々子。それを確認した妖夢も独特な構えをする。


「合図は?」


「無しにしましょう。どちらかが動けばそれが合図になるわ」


 こう言うからには妖夢に先手を譲るつもりだな。どうも幽々子は自分から動く事はしないようだ。

 妖夢はその言葉を受け取ると目を閉じ、精神統一をする。深呼吸をし、刀の感触を確かめる。


「――――行きます!」


 ズンと足に力を加え、前に。

 次に交わされた言葉は、刃と刃のぶつかり合いだけで伝わった。







「概念的な物を一から理解とか……よくやるわ……」


「ご、ご主人様が壊れた〜!」


「嫌なら薬の効果を破壊すればいい。自分にとって違和感が無いから私はやらないから」


「……どうする?」


 あ、本気で考えてる。


「我慢しなさい」


「は〜い……」


「片付いたし次のステップに移るよ。一から理解したからそれを……」


「……やっぱりなんか嫌だなぁ」


 小傘、大丈夫。違和感を感じてるのは皆だ。







「…………やっぱり、この手が最良だったのか」


 犬走椛が大将棋の盤を見ている。といっても相手側には誰も座っておらず、椛が一人で駒を動かしている。

 以前にとりに負けた手順で、それが悔しくて一人復習を続けているのだ。

 周りにだれもいないからか、崩れた口調を漏らしている。


「いや、この歩を動かしてしまうと……だがなぁ……」


 うぐぐと唸るが、ついに良い案は出なかったらしく、うなだれた。


「はぁ……途中から既に負けだったか?」


 その場に仰向けに転がり、天井の木のシミを数える。考えに詰まってしまうといつもやる事だ。

 一、二、三……と数えている内に、妙な違和感を感じた。


「……あれ?」


 目の前の視界が曖昧になっている。何も無いはずなのに、その先が見えないようなそうでもないような、不思議な感覚。


「何だ?」


 気になったので手を伸ばす。手は虚空を掴んだわけでは無く、何かにぶつかり止まった。


「え?」

「あ」


 第三者の声が聞こえた。


「おかしいなぁ、見つかっちゃった」


 そんな呟きが聞こえ、気がつけば目の前には少女が居た。自分の手は彼女の胸元に当てられている。


「…………わ」


「わ?」


「わああぁぁっ!?」


 あまりに突然な出来事だった為か、冷静さは失われてしまった。少女を押しのけて部屋の壁に張り付く。冷たくて気持ちいい。


「な、な、な……」


「どうどう」


 少女に宥められたのもあり、比較的早く気持ちを落ち着かせる事が出来た。でも、今の叫び声で多分騒ぎになってるよなぁ……


「えっと……あなたは誰ですか?」


 砕けた口調では失礼だろうから、修正した。


「古明地こいし、覚妖怪だよ」


 心を読む妖怪の事は椛も知っている。確か地底に追いやられたと聞くが……?


「あのね、藍色に紹介されたの」


「……紹介? 藍色さんが?」


 こいしと名乗る少女は紙を渡してきた。それを受け取ると、恐らく藍色の物であろう、意外にも丁寧な字が書かれていた。


『突然で大変申し訳無い。貴女には目の前に居る古明地こいしの訓練に付き合ってほしい。基本的な力量は類い希なる才能を持つこいしの方が高いと思われるので、貴女には彼女の目そのものの能力を高めてほしい。文か代に私の名を出せば天魔に許可を貰って長期の休暇をくれるから、そうしてほしい。無理を聞いてくれたなら多少の無理を聞かせて礼をする。長くなったけど、よろしく』


「…………なんと横暴な事か」


 しかも滅茶苦茶だ。通るとは思えない。聞いた話によれば、天魔と藍色に面識は無いはずだが……


「やってみれば?」


「まあダメ元で……」





「はぁ、天魔様に? まあ一応言ってみましょうか」


「無理だとは思うが、言っ」


 はいカット。





「今は忙しくないので良しとの事です」


「何するかは分から」


 わんこはカット。





「と、通っちゃったんだ」


「はい、通っちゃいました」


 藍色の奴、能力使ったな?


「まあ、せっかくの休暇ですから存分に使わせて貰いましょうか」


「うんうん」


 せっかくの休暇だ、存分に使わせてもらおう。椛は少し肩の力を抜く事にした。







「……っ! はぁっ……!」


「お、出来た!?」


「疲労困憊もいいとこだろうけど、とっとと握り潰して頂戴な。維持にも疲れるでしょ」


 額に汗を浮かばせながらも、開いた右手を閉じるフラン。ガラスの割れるような音がその場に響く。


「……おぉ」


 花畑にドサリと落ちてきたのは、大剣とも言えそうな刃の大きい片刃の剣。バスタードソードと呼ばれるような豪快な物だ。


「オーケー。苦労した甲斐があった」


「つ、疲れるぅ……」


「肉体的な疲労より精神的な疲労の方が響くのね。ならこれ以上の能力使用は止めるべきかしらね」


「精神的疲労を蓄積させてまで能力を使って精神的疲労破壊するのは本末転倒」


「むむむ、やっぱりご主人様が……」


「もう少しで元に戻るから我慢なさい」


 成長してる藍色は随分長く喋るようになったな。問題なのは内容が濃い事か。漢字だらけだよ。

 それはともかく、フラフラになっちゃったフランは沢山ある傘で影を作ってルーミアが膝枕だ。


「でもさ、なんでわざわざこの剣? 他にも色々あるんじゃないかな……」


「個人的な椛への礼よ。受け取る受け取らないは本人に任せるし、彼女の要求とは別物よ。他に作る物が無いから丁度良いと思ってねぇ」


 ちゃっかりしてるなぁ……

 ちなみに、ルーミアは意外と椛とはよく会っている為、彼女の事は細かい所まで見ている。何かの才能も見出しているんじゃなかろうか……

 え? あんまり接点が無い? 封印前のルーミアは風来坊だったから椛とはよく会ってるのさ。


「ま、私から言うことなんて無いけどさぁ……」


「よろしい……っと、そろそろ時間ね」


「え? あ、もうそんな時間だっけ?」


 その答えは四つの可愛らしい音が答えた。皆の姿は幼さを取り戻し……あれ?


「…………うぁ」


 藍色が花畑にうつ伏せに転がっている。


「ちょっと、どうしたの?」


「動けない」


 藍色の言葉だけでは情報が少ないので、小傘に能力を使って理解してもらった。つくづく便利だな。


「えっとね、身体的成長に加えて成長に見合った全体の能力が向上するんだってさ。その代償に強制的に行動不能になるっぽい」


「一種のオーバーヒートね」


「良いから助けて」


 小傘の膝枕で我慢してね。


「……ま、いくつか収穫が出たから良しとしましょう。小傘、後で空いた試験管にこの辺りの蜜を集めておいてね。一本あれば充分よ」


「あいあいさ〜」


「……フランの物については上手く考えないと」


「そうね。私のも……」


「う?」


 ルーミアがポツリと呟いたが、意味は誰も察せなかった。


「藍色、後で能力の多用は覚悟してもらうわね」


「……う」


 藍色はまだまだ休めない。







 ところで、博麗神社だが……


「……誰?」


「それは私も聞きたいです」


 博麗神社にメイドが現れた。


「私は夢幻館に居候をしていた夢月と申します」


「……博麗霊夢よ」


「妙にただならぬ気配を出すと思えばあなたが今の巫女でしたか」


「もっと落ち着いて話しなさいよ……で、何の用?」


 句読点が無いからな。


「こちらに姉の幻月が居ると聞いているのですが」


「確かに居るけど、イメージを崩したくないなら今の内に帰るべきよ」


「姉のイメージなど先代巫女との戦いから既に壊れましたよ」


 以前は俺口調じゃなかったそうだ。


「それに伴って私の性格も変化したのですが今はどうでもいいですね」


「あなたはまず一息入れながら話す事を覚えなさいよ」


「支障はないので置いておきます」


 そんな話を続けていると、神社の奥から何かが割れる音が響いた。


「……幻月! また割ったでしょ!?」


「だあァ! うるせえ馬鹿巫女! 割れる食器が悪いんだよ!」


「この怒鳴り声を聞くにやはり居るのですねお姉様」


「あ、ちょ……」


 夢月はズカズカと霊夢の横を通り過ぎ、障子をスパーンと開いた。


「何をしているかは知りませんが私を放って出か」


 停止。

 深刻なエラーが発生しました、なんて出そうな程綺麗にフリーズした夢月。パソコンかお前は……

 まあ、視界に映る幻月に問題があるんだが。


「お……よ、よォ」


 幻月さん、霊夢ファッション似合ってますね。


「お姉様」


「あ?」





 夢月は黙って親指を立てた。


「うォい!? いっそ黙って帰れよ!?」


 むしろこっちの方が恥ずかしいです!


「お姉様、次は私の服とか」


「夢月! 一生のお願いだから目を覚ませェ!」


「むしろ目覚めた場合はいかが致しましょうか」


「寝ろ!」


 姉妹漫才を遠目に見つめる霊夢は頭を抱えた。


「幻月だけなら可愛いもんだけど、あっちはイケナイナニカに目覚めちゃったみたいね……」


 しかもたった今な!

 どうにか再教育出来れば幻月が危ない……かな?







 ちなみに……


「……最近来てないわよ。喜ばしいのか寂しいのか……」


「残念ね」


 藍色を探して幻想郷一周の旅。紫達は永遠亭に、


「霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイド。君達は何をしているんだ」


「死合いの練習だ」


「不本意だけどね」


「……見学したいのですが、よろしいですか?」


「良いぜ! さあ、再開だ! 弾幕も死合いもパワーだぜ!」


「馬鹿ね、弾幕も死合いもブレインよ」


 藍達は魔法の森に来ていた……


 藍蓮花の魔理沙はあまりだぜだぜ言わないですね。天色の空椿です。


 まず最初に、お賽銭を頂きました。諸事情により神社の賽銭箱には入ってませんがしっかり受け取りました。NSEUさんありがとう御座います。


 あのバスタードソードは椛に渡しますが、多分渡す頃には神器レベルになってますね。そうなると椛の切り札になりますかね……ま、普段の哨戒には使わないな。ええ絶対。

 藍色に自重させたら藍色じゃないの精神で突き進んでますが、そろそろ怒られそうだな……

 バスタードソードで分からない人は多分居ないでしょうが、要するにデカい剣と考えれば良いです。デカい故に盾にもなりますね。椛の剣と盾を合体させたらこれになりました。盾の紅葉マークも後々書きますね。


 ま、椛の武器はこれで良いでしょう。次の話題は薬の使い方です。

 蜂蜜も花の蜜ではありますが、あの蓮華の蜜はちょっと特別扱いしてます。故に効果も変化させました。

 はい、ドーピングです。簡単に言えば上位互換です。ルーミアに飲ませると……



 さて、レティ・ホワイトロックについて決まった事がありますのでここで触れますね。

 詳しく調べてみた結果、レティは冬以外の季節は日の当たらない所に隠れているそうです。特定の場所などは無いようです。

 あれ、なんで以前は見つからなかったんだ? という位にあっさり見つかりましたが、まあそこは気にしないという事で、次回レティが出ます。しかしレティよりインパクトの強いイベントが重なります。

 あと、レティをふとましくするつもりはありませんからね。



 そういえば、東方キャラソートを初めてやってみました。旧作は抜きにしてやってみた結果、一位はナズーリンでした。びっくりした……

 スタメンのルーミアは二位、小傘は七位、フランは十六位でした。フラン低いなぁ……


 ま、言いたい事は言い切りましたね、長くなったけど。では失礼しますノシ

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