藍色と魔法 会合は敵だ
先に話しておこう。小町は説教を食らった。以上。まあそんな事はいい。
何だかんだで満月になってしまい、妖怪だらけの一行はいつもと雰囲気が違う。
どこがどう違うかと言えば、フランと小傘はテンションが常に高く、藍色はいつもよりはよく喋る。逆にルーミアは静かになった。
満月は妖怪達に何らかの変化を見せる。科学的あるいは魔術的にも詳しく解明されたわけではないが、実際にそうなのだから仕方無いだろう。
「やっぱり綺麗だな〜。宝石みたい」
「ふぅん」
しかし、満月の時などに大きく変化する藍色の瞳は一体何なのだろうか? どこぞの教師と似たような感じなのだろうか?
確認する方法は無いが、気になる物だ。
「ルーミアさん、ご主人様の目はなんでああなるのかな?」
「……ちょっと分からないわ」
少々考えた素振りを見せたが、答えは既に出ていたようだ。
「私も知らない」
一番知ってそうな本人が知らないのだからどうしようも無い。残念だか今は諦めよう。
そういえば、満月の恩恵を受けているのは何も妖怪だけではない。
魔法使いと呼ばれる者達がそれだ。彼らは月の魔力を使い魔法の実験を行ったり、その日にしか出来ない事をしたりする。
幻想郷にも魔法使いは数人いる。この場合、彼女らと言った方が正しいと思う。
「……あ、パチュリーだ」
「魔理沙じゃない」
「アリス」
このような日、普段揃う事の無い彼女達は集まる時がある。
「おお? アリス、藍色が居るぞ?」
「そうね。パチュリーの後ろに」
「……私の?」
うん。
「こんばんは」
「こんばんは。何か用かしら」
「別に」
そうは言いつつも、三人に混ざり座る四人。というか、藍色が座ったから他の三人も座ったのだが。
「何してるの」
「ちょっとした情報交換と研究よ」
「じゃあ私も混ざる!」
魔法少女のフランが混ざります。どこからか歪んだ時計の針を出していたりして。前から思ってたが何それ? 魔法のステッキですか?
とまあそれは冗談として、魔法使い達は話を再開した。残念ながら、魔法と関連性の無い三人は蚊帳の外となった。
藍色は聞くだけ聞いているが、何のことやら分かってはいない。小傘もそうだ。
ルーミアは知識はあるし理解は出来るのだが、使えないせいか宝の持ち腐れになっている。
「ル、ルーミアさん。どういう事なの?」
「今日は噛み砕いて話す気にはなれないし、また今度ね」
落ち着かないのか思う所があるのか。会話に参加しようとせずに周りを見渡すルーミア。どうにも気になるので聞いてみた。
「……どうしたの?」
「見られてる気がするの」
そして会話を終了させた。続かない……
「ん〜、もしかしたら私なら見つけられるかな?」
「そう? ならやってみて」
「お願い」
何故か藍色からも頼まれた。
というわけで、能力を応用して……
「……そこだ!」
小傘が指差した場所に……
「十字架「与奪の十文字」!」
数え切れない十字の短剣が突撃した。
「んわぁ!?」
布を裂く音と叫び声が聞こえた。
「否定証明「絶対確率」」
すかさず藍色がひっつかまえる。ナイスプレー。
「あなた?」
「あ〜あ〜、バレたか……」
背の高い、緑の髪をした…………あ、足が無い……?
「あなたね、前から見てたの」
「前から?」
小傘が聞いた。
「そうだよ。そんなに頻繁にじゃないけど、度々」
「そう」
台詞中断。
「名前」
「私かい? 悪霊だよ。名前は伏せさせてね。どっかに漏れると厄介だから」
「名前」
「いやいや、教えられないってんだよ」
「な、ま、え」
しつこい藍色。知りたいらしい……
「諦めなよ。ご主人様の興味引いたのが運の尽きだから」
「そうみた」
「名前」
おおう……
「……博麗の巫女とか賢者とか。特に魔理沙には黙ってておくれよ?」
「うん」
頷いたのを確認し、悪霊は藍色に耳打ちした。
「……これでいいかい?」
「うん」
「済んだならいいけど、もう隠れて見るの止めてくれないかしら」
この言葉、ずっと言いたかったらしい。
「申し訳ないけどね、隠れてないと見つかった時が面倒なんだよ」
「ならいいわ」
素早く会話を済ませ、魔女達の所に帰る藍色とルーミア。小傘は……
「ねぇねぇ」
「何だい?」
「なんで魔理沙にも言っちゃダメなの?」
「それはね……」
小傘に向けて笑みを作りながら言う。
「私はあいつの師だからさ」
そうは言いつつも、その笑顔は母に似ていた。そのまま姿を消し、気配を消してしまった。
「……お、藍色。丁度良いな。こっちに来い」
魔理沙達が藍色を手招きした。フランは話すだけ話して気が済んだのか、輪から外れて本を呼んでいる。アリスから借りたらしいが、随分厚い。
「何?」
「お前の目だよ。今の状態を私とアリスは今まで見たこと無いし、丁度近くにいるからついでにな」
「ふぅん」
適当な場所に座り、見つめてくる好奇の目を逆に見つめ返してやる。ジト目だ。
「綺麗ね。宝石みたい」
「もし宝石なら是非貸してほしいもんだな」
「盗むのは大概にしなさいよ。ついでに本を返しなさい」
「失礼だな。借りてるだけだぜ?」
「世間一般では泥棒と言うわよ」
話が逸れているようにも聞こえるが、観察は続けている辺りを見ると、単なる世間話のような物らしい。
「……ああ成る程、これは妖力ね」
話しながらも淡々と観察を続けていたアリスが結論を出す。
「妖力」
「そう。多分、月から降りてくる魔力を吸収して妖力に変換してるみたい」
藍色の目からこぼれていく藍色の光はどうやら妖力らしい。
「で、あなたという器からこぼれた妖力が眼光となって排出されてるみたい。満月しか見れないのは、それ以外の月だと吸収出来る魔力が足りなくてこぼれるに至らないわけよ」
満月の時、月の力は大いに増すからこんな事も有り得なくはないそうな。
「満月以外出ないとか、誰から聞いたの?」
「フランだぜ。まるで自分を自慢するみたいに言ってたな」
……しかし、そのフランは満月以外のこの現象を目撃しているのだが。忘れてるのか言い逃したのか……?
「何にせよ、害は無いから構わないんじゃないか?」
「むしろ得。妖力は実質無限大だし、漏れた妖力は場を藍色にとって有利な方向に進めるから」
「……有利?」
「詳しくは戦闘時のデータを得るしかなさそうね。でも私は死合いなんて出来る体じゃないわよ」
「というか魔理沙だけよ」
「私か? まあちゃんと戦い方を覚えたらなんとか……」
……ほ〜う。
「じゃあフランとやってみれば。私達の中では新人だから」
「よ〜し、そうと決まれば行ってくるぜ! お〜い、フラン〜」
結果は分かり切ってるのでカットです。
「……それで、あなた達はさっき奥で何をしてたの?」
「その前に質問」
藍色が一度間をおいて聞いた。
「幻想郷に悪霊って居るの?」
その質問に、パチュリーは首を横に振るが、アリスは……
「……心当たりはあるけど、あれがこの辺りにまだ居るとは思えないわね……」
実は居たりして。
「居るとすれば、魔界」
「それどこ」
新地に目がない藍色。台詞中断しました。
「あ、ああ。明確な行き方は無いからどうしようも」
「そう」
藍色は急に立ち上がり、遠くにいた小傘とルーミアの所に。
「あ、行き先でも決まった?」
「……そう。何で分かったの?」
小傘が藍色を驚かすような発言をした。
「へへ、能力の応用」
「……ああ」
「じゃ、フランを呼んでくるわ」
フランを見ると、魔理沙とマスタースパークの撃ち合いをしてい……………………!?
「……えぇ〜?」
思わず間抜けな声を出すルーミア。まさかあの化け物光線を撃てる奴が増えたなんて……
「あ、私もあんまり変わらないわね」
それはさておき、フランと魔理沙を止めてさっさと移動。藍色に置いて行かれるのはまずいから。
既に藍色は移動を開始しており、小傘も二人を手招きしている。
「またね〜!」
アリスに本を返し、早足な藍色を追った。
「……竜巻みたいな子達ね」
「おかえり魔理沙。成果はどうだった?」
「レミリアと全力全開のパチュリーと自分自身を同時に相手している気分だったぜ」
マスタースパークで辛うじて押し勝ったが、負けた気がする魔理沙だった。
「……悪霊、ね」
先程の話題に、大昔の知り合いを想起する。
「魅魔、元気かしら」
一方のこちら。
「月見酒も良いねぇ」
「酒は程々に無さって下さい」
天子一行友達百人の旅。一行は森の開けた場所にて月見をしていた。
エイプリルフールは華麗にスルーです空椿です。最近色に決まりそうです。
さて魔界に行きますか。
微妙に更新が遅れてますが気にしません。
特に対したイベントは無いですが。
まあいいか。
何でも良いけどどうにか行く場所が決まりました。これで安心魔界神。
さてさて、風心剣さんから東雲久羅さんの使用許可頂きました。また今度クロスストーリーにて出させて頂きます。
時間軸はあれだけど……
ともかく。風心剣さん、毎度毎度ありがとう御座います~
では失礼します。またねノシ