藍色と宴会 泥酔は敵だ
「助かった〜……まさか映姫が居たなんてなぁ……」
「だれのせいかしら?」
「小町だな」
「小町じゃない?」
「小町かな〜」
満場一致で小町なのでこれにて閉幕です。
「なんであたい!?」
「だってあなたが来なかったら映姫も来なかったじゃないの」
「うん」
まあそれは別にどうでもいい。
現在のメンバーはお馴染みの一行に魔理沙、小町、ぬえを追加した状態だ。リリーと文? どっかに飛んでったけど。
「……なんだか納得行かないな〜」
「そう」
「で、あんた達は次はどこに行くの?」
「ぬえ? 質問は良いけどさ、結局あそこに何しに来たの?」
小傘に言われ、思い出すように話すぬえ。
「退屈だったから適当に飛び回ってたんだけど、藍色一行が厄神の所に居るって天狗が話してたからね。どうせだから来てみたんだ」
「ああ、それなら私もそんな感じだ。今日は霊夢もアリスも居なくてな」
魔理沙もか……
「小町はサボリだっけ?」
「そうそう。さっき言ったね? よいしょ」
小町が小傘を肩車し、小傘がフランを肩車し、フランが唐傘を持ってはしゃいでいるのを振り向いた藍色が確認した。高い高い……
「何やってるのよあんた達……」
「危ないぜ〜」
ルーミアと魔理沙が声を一応声をかけておく。
「気をつけるよ」
「いやいや、そういう問題じゃ無いよ?」
「大丈夫大丈夫!」
ぬえも注意に参加したが、あまり聞いてくれなかった。
さて……時間を少し飛ばそう。
メンバーはそのままに、人里である。
「……目立つ」
「いつもより人数多いからかな?」
「近年稀にみる塔があるからさ……」
あえて直接言わない魔理沙だった。
「……おや、面白い集団だな」
「あ、石頭」
「石頭じゃない! 慧音だ!」
頭突き先生でお馴染みの慧音だ。
「何してるの?」
「特にこれといった用事は無い。強いて言うなら見回りだな。あと肩車を止めてから話しなさい」
との言葉を受けたので、肩車は終了である。
「あ、藍色じゃないか」
「むぐ」
酒の香りと共に萃香が来た。藍色は近くにいた小町の後ろに隠れた。
「おや?」
「他の奴らも久し振りだねぇ。何してんの?」
萃香の質問に、皆は口を揃えて……
「「「「いや特に」」」」
「そうかそうか。それなら私から提案があるんだが……」
嫌な予感しかしないが。
「宴会で」
「帰る」
反応早すぎだ!
「まあまあ藍色。唐突とは私も思うが、せっかくの宴会だ。いいんじゃないか?」
「やだ」
「つれないねぇ。よし! 今此処で始めるぞ!」
何がよしだ! この鬼!
あ、鬼だった……
「びゃああ……」
その夜、人里の中心は大騒ぎになってしまった。萃香の能力の仕業らしい。
そうでなくても宴会大好きな幻想郷の住人。その騒ぎは藍色の運も弾き飛ばしてしまったらしい。
さて、この大騒ぎを完璧に文章に直すのは難しいだろう。騒がしいの一言で済ますしか無い。
というわけで、一部の音声だけで勘弁して頂きたい。ではどうぞ。
「よ〜しよしよし! お前も飲めよ!」
「魔理沙さん、少し飲み過ぎです」
「春ですよ〜」
「ちょっと衣玖! めでたい席で何を遠慮してるのよ!」
「何がめでたい物ですか」
「ルーミアさん! こっちにも入れて〜!」
「つまりですね、あなたは宴会の席であっても……」
「ねぇ咲夜、もう少し静かにならないかしら?」
「頭痛くなっても知らないわよ」
「わ〜? おね〜さまがたくさんいりゅ〜」
「よ〜む〜、あれとあれとあれとあれ取ってきて〜」
「フランにお酒飲ましたのは誰だあああ!?」
「映姫様! 説教は良いですけど周りに絡まな……うぶっ」
「あ、藍色。あんた大じょ」
「では始めます! 聞いて下さい! 曲名は『全人類ノ非想天則』です!」
「おう早苗! 歌ってこい!」
「合点承知之助ぇっ!」
「ちょっと魔理沙、私に絡んでこないでよ!」
「幽々子様! どこですか!? 幽々子様〜っ!?」
「ちょ、藍色!? 藍色が倒れたわよ!?」「ぴゃあああぁぁぁ……」
「よし今だ! 藍色を酔わせろ〜っ!」
「皆様! 藍色さんは」
「非想天則ぅぅぅ!」
「変符「命中率と回避率」……うぐっ」
壊滅した。
「二十二次会始めるぞ!」
「「「「「お〜っ!」」」」」
数字がおかしいと思う。あれから既にかなりの時間が計画しており、昼辺りだった時間は既に日も落ちている時間に。
「りゅ〜みあしゃん、わりゃしも〜むり〜」
「ふぇぁぁぁ……」
「はいはい、あなた達は雑魚寝でもしてなさいな」
ルーミアはただひたすらに藍色に風を送っている。
「みゃう……」
「災難ねぇ」
藍色は酒に弱い。宴会なんぞもってのほかなのだが……
「瓶何本飲まされた?」
手で五を示す藍色。
「五本?」
違う。
「まさか、五十?」
イエス。主に萃香の仕業だ。
「ちょっとあの鬼締めてくるわ」
「うん」
止めない所が藍色です。ルーミアが居なくなり、少し退屈になる藍色。
「……むぅ」
酔いつぶれて次々に眠っていく人々を見つめ、藍色はため息を吐いた。実は藍色は酔った事が無く、酔って人が変わる様を理解出来ないらしい。
「……気持ち悪い」
限界らしく、フラフラと風下に移動する。すると……
「う?」
遠くから来た風に乗り、気分を晴らしてくれる香りが流れて来た。
導かれるようにフラフラと移動し、やがて宴会から姿を消す。
「ぎ、ギブギブ……悪かったって……」
「次は折……ん?」
萃香の角をあらぬ方向に曲げようとしているルーミアが、藍色の背中を見つけた。
「藍色……?」
「ちょ、離して。本当に折れるから」
「フラン、小傘」
「んぁあ?」
「ふぇ?」
「ちょ〜っと来なさい」
意識の朦朧とする二人を引きずり、宴会から退出した。
「む……」
香りが濃くなるにつれ、意識がハッキリしてきた藍色。
発見したのは、閉じたひまわりだった。
「……太陽の、畑」
「あら、本当に来たわ」
やや遠い所から声が聞こえてきた。
「う?」
「ど〜も、毎度お馴染みの文と幽香よ」
「毎度お馴染みって……」
これは珍しいペアだ。一体何故一緒なのか? 教えてはくれない。
「藍色が宴会でグロッキーになってるって風の噂で聞いてね、どうにか抜けさせてあげられないかな〜と……」
「で、能力の応用を試験的に使ってみたの」
幽香の手には桃色の花が。感じ的には鈴蘭に近い。
「花を操る程度の能力」
「そうそう。花なら何でも操れるの。で、鈴蘭を急成長させて変異させて、藍色個人を誘う香りを出す花にしたのよ」
「で、風に乗せた」
「大正解」
「ありがとう」
あそこから藍色個人で抜け出すのはかなり労力が必要だっただろう。
「別に? 私はあなたに見せたい物があったから呼び出しただけよ?」
「そう」
「藍色〜」
背後から声が。振り返ると、ルーミア達三人が。
「その二人大丈夫?」
「全然」
「……ま、いいでしょ。こっちに来て」
「良いのね」
とりあえず、歩き出した幽香を追う皆。藍色が能力を使い、小傘とフランを正気に戻そうと試みる。
「……ふぇ? あれ?」
「えへへ〜……」
残念、唐傘は未だに泥酔状態だった。
「あ」
「どう? あなたの為の花畑よ」
一面に広がる藍の蓮華に、藍色が珍しく驚きという表情を出す。見渡す限りの蓮華は、地平線をも藍に染めてしまいそうだ。
「……嫌かしら?」
心配そうな表情の幽香を通り過ぎ、畑の中に飛び込んだ。
「あら、気に入ったみたいよ?」
蓮華の葉に埋もれ、動くのを止めた藍色。落ち着いたらしい。
「お〜、ごしゅじんしゃまがおっきい〜……」
意識の朦朧とした小傘にはそう見えたらしい。
「……ごめんなさい、幽香」
「何?」
「ちょっと数本潰れちゃうかも」
ルーミアがスタスタと藍色の所まで歩き、隣に寝転がる。背負われていた小傘は抵抗もせず、フランは喜んでついていった。
「あら、もしかしたら喜んでくれたのかしら」
「まだ意見は言ってないけど、あの様子だとそうみたいね」
端から見ている幽香も満足そうだ。
「…………あら、寝息?」
見ると、藍色を除いた三人が寝付いてしまっている。小傘の唐傘がフランの影をちゃんと作っているのがミソ。
「まあ良いじゃない。藍色も静かにしてるし、邪魔者は退散しない?」
「あ、その前に一枚」
フラッシュを焚かずに写真を撮り、満足した文は幽香を連れて去っていった。
「さ、さっきの話の続きを聞かせて」
「はいはい……」
どうやら、能力の応用の話をずっとしていたらしい。幽香の部屋に足を進める二人だった。
「ねぇ藍」
「はい?」
「私達だけじゃなくて、他の人にも手伝って貰いましょうか」
「……例えば」
「何故か藍色達を敵視してる寅丸とか、先入観も何もない藤原とか」
「そうですね。私達だけでは人手不足と言えますし」
「ま、その辺りは私がなんとかするわ。橙、後はよろしく」
「はい!」
その頃、八雲は新たな動きを見せていた。それを知るのはまだ数名……
幽香さん、幻想郷に新たな畑を作りましたの巻。どうも、空の部分が天か色か未だに不明な空椿です。
第三の畑は藍色達の本拠地にするつもりです。こればかりは最初から決めてました。これからここが年中月夜になったりここで戦闘したりします。
でも、自分でもびっくりな急展開。何故だ。
最近駄目だな~……ちょっと休憩しようかな?
まぁまぁ、無理はしない程度で更新は続けるつもりです。そのために一日二日は空く可能性がありますのでご了承下さい。
あ、畑の名前募集します。一応頭に入ってるのはあるんですが、何の捻りも無くてつまらないんです……
では、失礼します。感想とお賽銭お待ちしてますノシ