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東方藍蓮花  作者: 空椿
42/114

藍色と遭遇 参加は敵だ

「……見つかった」


「見りゃあ分かるわよ」


 視界の先で藍が何かをしている。こちらから目を離してはいないが、紫に連絡でもしてるのだろうか……?


「どうするの? 紫と連絡とってるよ?」


 どこで読唇術を心得たのか、藍の言葉を読み取ったフラン。この分だとまだ何か覚えてそうだ。


「いっそ迎え撃つ」


「ご主人様、逃げるんじゃないの?」


「うん」


 藍色が空を見上げる。太陽が元気に自己主張している。


「どうせかかってくるし、弾幕勝負をしないと理解してるでしょう? ならこっちの土俵よ」


 ルーミアが藍色とアイコンタクトをし、両腕を横に広げた。


「なら、この状況は使わせてもらいましょう。こちらのレベルアップの為にね」


「……もう好きにして頂戴な」


 見ていた永琳がその場を離れ、気絶しているてゐや非常に難解な表情をする輝夜の所に行ってしまった。鈴仙も材料の入った袋を持って行っちゃった。


「……藍色御一行。強制はしないが、いい加減にこちら……に?」


 ルーミアの両手から闇がこぼれだし、周りを染め上げる。


「お断り」


 藍色の声が切れると同時に、付近が真っ黒に染まる。というか染められる。しかしそれを嫌がる物は居らず、むしろ喜ぶのが妖怪だ。


「よ、夜だと!?」


 空には星が浮かび、太陽があった場所は代わりに満月が陣取っている。


「なんちゃって永夜異変、って前にルーミアさん言ってなかった?」


「確かね」


 小傘が傘を畳み、肩に乗せる。


「あれ? 藍色の目が綺麗」


 フランがパタパタと藍色のそばに。夜だから自由に行動出来る。


「そう」


 指摘された藍色はあまり反応無し。確かに、目が美しく輝いている。藍色が顔を動かすと、瞳が尾を引いた。


「それね、妖怪としての本質か何かじゃないかと私は思ってるの」


 ルーミアが皆に言った。そんなルーミアもいつもよりハイテンションだ。


「やっぱり妖怪って種族の本来の居場所は夜なんだね」


 小傘が遠くを見つめる。藍が非常に警戒しながらこちらを見ているのが分かる。

 そりゃそうだ、全員が一気に強くなったからな。


「じゃあ、誰が行く? 流石に多人数は可哀想よ」


 もしそうじゃなければ何のイジメだろうか。そこはルーミアの優しさである。


「私は今は満ち足りてるから三人で決め」


「私も」


「じゃあ二人ね」


 ルーミアと藍色が戦闘をパスした。というわけで、フランと小傘の相談である。


「あ、じゃあ私がやる!」


「はいどうぞ〜」


 しかしスピード決定。フランは前々から誰かとやりたかったようだ。


「それに、スペルカードも気になるし……」


 実は、藍色との戦いの後ただの一度もスペルカードを使ってないらしく、現状で使えるのか使えないのかが全くの不明らしい。


「実戦で使うの? チャレンジャーねぇ」


「ルーミアも使ってた」


 そうだね。使ってたね。


「じゃあ私でいい?」


 うん。


「よぉーっし!」


 ルーミアがさり気なく渡した白紙のカードを懐にしまい、藍に接近する。


「き、君が相手なのか?」


「うん!」


「…………紫様、遺言書は橙に聞いて下さい……」


 この人死ぬ気だあぁぁっ!?



「じゃあ行くよ!」


 いきなりスペルカードの宣言。ちょっと面食らった藍はさておき……


「禁忌「クランベリートラップ」!」


 宣言の瞬間にカードがバチバチという音を鳴らしたのを確認。ルーミアがあちゃあと呟いた。

 周囲に発生した魔法陣を確認すると、一、二、三……沢山。


「なっ!?」


 更に放たれた弾幕は規則性もあったものではなく、なんとフランにまで隙間無く飛んできた。


「駄目そうだね〜」


 藍色一行はルーミアが黒鳥を盾にしている。ちなみにだが、防御の手段が無い永遠亭の皆はさっさと退散した。


「フラン、解除」


 弾幕をひたすら破壊していたフランに指示を出し、禁忌「クランベリートラップ」を解除させた。


「む〜、いきなり駄目かぁ……」


 落胆するフランに、刃が迫る。


「わあ!?」


 地面を蹴って少し距離を取ると、藍の爪が地面を抉っていた。

 物凄く強烈な一撃だ。地面が豆腐のように……


「ハアッ!」


 大して距離が無いのに全速力で突進。フランの細い首に爪を繰り出した。


「っととと!」


 頭を落として回避。通り過ぎた腕を掴み、流れるように藍を遠くにブン投げた。


「ありゃ、なんか慣れてる?」


 小傘が藍に聞いてみる。


「紫様曰わく『藍色と一緒に旅をする奴は決まってスペルカードルールを無視するから、それに対する修行』とやらを日々続けさせられまして」


「……ご愁傷様」


 しかし、そうなるとちょっと厳しいかもしれない。相手が手慣れてるなら……

 ルーミアがフランに声をかけようとすると、フランはVサインを返してきた。問題無いらしい。


「禁忌「レーヴァテイン」!」


 こちらは問題なく発動。いつもより余計に燃えております。


「えい!」


「ッ!」


 フランの振り下ろした刃は藍にかすりもしなかったが、纏っていた炎が暴れ、藍を焼く事となった。


「凄い凄い! 避けちゃうんだ!」


 地面を焦がしながら、技術の足りない単調なラッシュをかけるフラン。技術が足りずとも、地力が滅茶苦茶な為か藍は下がり続けるしかない。


「チッ……以前と大分違うな。情報を一新するべ」


 喋っている暇があるものか。足元の地面が決壊し、バランスが崩れる。

 何事かとフランを見てみれば、レーヴァテインと反対の手が拳を作っている。


「でえぇい!」


 無防備な自分を狙って振り下ろされる凶器。このままでは真っ二つは免れないので、ちょっと危険だが……


 真剣白刃取りを繰り出した。


「ぐあっ!?」


 刃は目の前で止まり、藍の足が地についた。手を滑らせ射程外に逃げる。手は焼け爛れ、頬も焼けてしまったが、問題はなさげだ。


「じゃあ次! 行くよ!」


 何事も無かったように宣言するフラン。休みは無い。


「冗談じゃないっ!」


「禁忌「フォーオブアカインド」」


 正常に発動。どこからともなく別のフランが登場し、一斉に藍に襲いかかる。


「くそっ!」


 凶悪な拳を避けながら反撃を加える。周りを見渡す余裕は全く無い。

 代わりに、傍観を続ける三人はちゃんと気付いている。


「一人戦ってないね」


「うん」


「スペルカードの確認よ。あの間に次を決めてるの」


 ルーミアの分析。確かに、残りの一人はスペルカードをいくつも出して考えている。

 しかし、すぐに一枚を残して戻した。


「あ、宣言する気だね」


「そう……」


 ルーミアが急に背後を振り向く。藍色と小傘も釣られて振り向く。


「ねッ!」


 瞬間、ズンという音が響き、ルーミアの右手が何かを止めた。地面が耐えきれずに抉れた。


「わわわわわああぁぁっ!?」


「みぃ……」


 止めたのは、電車だ。この幻想郷に電車?


「……野次を飛ばすのは止めてくれないかしら」


「あら、飛ばしたのは野次ではなくてよ?」


 八雲紫。一枚のスペルカードをヒラヒラと見せびらかしながら登場した。


「何? それ」


「私のスペルカードよ。廃線「ぶらり廃駅下車の旅」って言うの」


「ふぅん」


 とりあえずいつもの返事。


「色々と気になる事があるのだけど、今は聞かないでおくわ」


 藍色の目、フラン、何故夜なのか。こんな所だろう。


「話を続けるのは面白くないものね」


 どこから出したか、扇を開き口元を隠す紫。


「特別にあなた達の土俵で戦ってあげるわ。来なさ」


「嫌」


「……い?」


 はい残念。


「私達はフランを見てるので十分よ」


「……そ〜ぉ…………」


 何か来る物があったのか、藍を見つめる紫。


「右!」


 藍が右から来た拳を回避した。


「ちょっ……」


「左、上、前から連撃、右上後ろ!」


 紫が指示を出し始めたせいで、藍の動きが一気に変化。気がついたら逆にフラン達を防戦一方に追い込んでしまった。


「右回し、左拳、右か」


「ちょてと、そこのさっきからうるさい老婆」


 老婆てお前……


「せっかくの勝負に何水を差してるわけ?」


「受けてくれないなら支援に回るだけ。あと老婆は余計よ」


「……一分以内に首を洗いなさい」


 ルーミアは紫に背を向けた。


「楽しみにして……」


 紫が藍色の輝く視線を感じる。


「な、何?」


 藍色はふいと背を向けた。





「勝負を邪魔する人は嫌い」


 紫、落胆。


「き、嫌われちゃったわね。絶対……」


 余計な事をしなければ良かったんだ。







「さて、老婆の相手はどうしましょうか……」


 フランを気にかけながら話すルーミア。老婆には誰も突っ込まない。


「……ん」


「え〜っと……」


 藍色は目以外はいつもと同じだが、小傘が何か言いたげだ。


「私が行くのが妥当っぽいけど……小傘、何か言いたい事があるの?」


「ちょっとだけ……」


 少し考えてから藍色に耳打ち。何を言っているのか?


「ん、分かった」


「いよっし!」


 ルーミアを見る。


「ルーミアさん?」


「なぁに?」


 小傘が大きく宣言した。


「私が八雲紫と戦う!」


 これにはルーミアもびっくり。


「大丈夫なの?」


「うん!」


 ルーミアが溜め息混じりに言う。


「仮にも幻想郷最強の妖怪に喧嘩を売るのよ?」


「分かってる」


 隣の藍色が能力を使った。ルーミアが成る程と思う。


「つまり、地力を上げてやろうってのね」


「そゆこと!」


 小傘から妖力が溢れ出す。ルーミアの時と同じ感じだろう。


「でも、ちょっと心配ね」


「何か一言」


 藍色がルーミアに言う。すると、ベストな言葉を思いついたらしい。


「もし駄目でも、足掻いてみなさい。もしかしたら、あの八雲をも驚かせる行動が出来るかもしれないからね」


「分かった! じゃあご主人様、見ててね!」


「うん」


 小傘がパタパタと駆け出し、紫に向かっていった。


「じゃあ、私はフランを見てるわね」


 ルーミアはフランに向き直り、行動の観察を始めた。藍色の瞳はずっと小傘を追う。





「ん? 驚かせる行動……?」


 何か、思い付いたのか?







「あら、どうしたの?」


 余裕綽々と言える紫が小傘を見る。


「八雲紫!」


 小傘が片目を閉じ、左足を上げて舌を出す。


「勝負。勿論受けるよね?」


「…………ふふふ」


 小傘を横目に睨んだ。小傘は怯まない。


「付喪神風情が」


 体の向きを小傘の正面に変え、


「幻想郷の頂点の」


 常に片手にあった傘を閉じ、


「妖怪の賢者に楯突くのね?」


「そうだよ? 文句ある?」


「無いわ。むしろ……」


 大きく、大きく扇を閉じ、笑みを浮かべる。


「良い度胸だと、関心したわよ?」


 満月は紫にも影響していたらしく、その瞳に映るのは冷静さではなく、好戦的な色だった。







 一方のこちら……


「てってててて天魔ァ!? アンタみたいな酔っ払いがぁ!?」


「こら天子、宴会の場では皆揃って酔っ払いだよ?」


「いやでも…………これはちょっと」


 天子一行友達百人の旅。一行は天狗達の宴会に参加中だった。

 下克上始まるか!? 追い詰められた鼠は虎をも咬むぞ! 頑張れ小傘! 負けるな小傘!

 その力は伊達じゃない! 九尾を相手にどこまで差を付けられるか!? 頑張れフラン! 油断するなフラン!


 あの人物の一行入りを確定させ始めた天か色か分からない空の空椿です。



 八雲二人が既にエンカウントしているので、代わりに天子一行の現在のご様子をば。気が向いたら藍色を探して幻想郷一周の旅同様、章の最後にてシリーズ化します。

 基本的には紫達が居る状態の代わりからは抜け出ませんが。




 さて、藍色にはあるフラグがありましてね…………分かります? もう立ってますよ。


 次回はフランVS藍、小傘VS紫です。ルーミアと藍色は今回傍観に回ります。


 え? 見所?

 紫と小傘の戦闘は凄い事になるでしょうねぇ。慌てる小傘と驚く紫は……ねぇ。





 さて、今回はここで失礼します。

 空椿でしたノシ







 次回、小傘が大活躍!

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