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東方藍蓮花  作者: 空椿
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藍色と動物 大軍は敵だ

「つまり、あの地震はあなたと勇儀さんだったのですね」


「まぁね」


「あれは見る方もヒヤヒヤしたよ〜……」


 地霊殿の皆さんと会話。早速地震の事を聞かれたので、ピンからキリまで話しました。

 ついでに、以前やり残した自己紹介も済ませた。烏のお空は会った事を忘れていたが、成長していたこいしの出来事はインパクトが強かったらしく、朧気に覚えていた。


「ああ、旧都も壊滅しましたか。皆さんは迷惑してるでしょうね」


 地霊殿の主、さとりが一人で話を進める。


「喋ってないのに何故、ですか? 私は覚なので、相手の心が見えるんですよ」


 ルーミアと小傘が納得する。


「……気味、悪くないですか?」


「別に〜、私は長所って見るかな」


 小傘がすぐに答えた。


「私も読まれるのは大丈夫だけど、セリフを取られるのはちょっと気になるわ」


 ルーミアも平気そうだが、少しばかり微妙な顔だ。


「良かったら、喋り終えるまでは待ってくれないかしら」


「わかりました。次からはそうします」


 喧嘩にはならなそうで良かった。


「まあ、特に珍しい物がある建物ではないですが、良ければゆっくりしていって下さいね」


「うん」


 さとりは立ち上がり、落ち着いた感じで奥に行ってしまった。お燐とお空もついていった。

 大した会話もしてねぇな……って、話題が無いのか。


「行っちゃったねぇ」


「話すことなんて無いし、良いんじゃない?」


「うん」


 話題無しで話すとグダグダになるのは分かっているからな。


「じゃ、見学でもしよっか!」


「うん」


 藍色、さっきからうんしか言ってない……







「天井高いよね」


「理由なんて多分無いでしょうけど」


「というか無いよ絶対」


 建物を詳しく見る余裕がある今になって思うが、壁や床のセンスはかなり独特だ。赤と黒のタイルとか、ステンドグラスの天窓とか。

 綺麗、と言えるが、それを藍色が感じた時に思った一言で台無しになった。


「ここを走ったんだけどね」


「「え?」」


 そういえば無意識に常人離れした事やってましたね。重力完全無視だがな!


「この壁を走った? どう見ても垂直のこれを?」


「うん」


「走ってたみたいだよ?」


 あくまでも成長したこいしの能力だっただけで、通常のこいしはあそこまで出来るのかは分からない。

 成長してようが無かろうが、自覚するという事には弱いが。


「あんたは何をやってるのよ……」


「追いかけっこ」


 益々意味が分からないので追求は止めた。


「ご主人様って壁も走れるんだ」


「普通は無理」


「じゃあ特別なの?」


「違う」


 余計に分からなくされた。


「ああもう、掘り下げる必要は無いから」


「は〜い」


 とは言いつつも、しっかり考えているルーミア。気になる事は気になるらしい。


「……って、何ちゃっかり会話に混ざってるのよあなたは」


「え?」


 古明治こいし登場、全く気付いてなかった小傘は相当驚いていた。藍色は無反応。


「あれ? なんで分かったの? 無意識下なら気付けないはずだけど」


「無意識だろうと、違和感は出る物よ。声とか足音とか、色々。それを詳しく考えて辻褄が合うようにすればあなたが浮かび上がっただけよ」


「軽く言うけど凄い事だよねそれ」


 小傘が二度驚いている。


「驚かせる妖怪を驚かせるってどうなの!?」


「え? あなた驚かせるの得意なの?」


「まあ、能力は持ってるけど……」


 こいし、お前は何を考えている。


「じゃあ、私を驚かせて」

「フライング〜っ!」

「ひにゃん!?」


 大成功。


「し、舌かんりゃ……」


「あ、ごめん」


「……お〜」


 こいしの舌が回復するまで、ルーミアが小傘に話しかける。藍色はこいしについている。


「……やっぱり、藍色の能力は小傘の能力を昇華させたようね」


「昇華?」


「驚かせる事に特化した能力に、驚かせる事に関する事柄の強化。それはつまり能力その物を強くしたのと同義よ」


 人間を驚かせる程度の能力+相手を驚かせられる確率アップ=相手を驚かせる程度の能力。ほらこんなもん。


「難しくはないでしょ」


「確かに……」


 ルーミアは小傘の頭に手を起き、笑う。


「なら、自分の能力について真剣に考えてみれば? 前の藍色の話もあるからね」


「能力の応用?」


「そうそう」


「舌治ったよ〜」


 あ、はい。


「じゃあ話は終わりにしましょうか」


「うん」


 ともかくこいしを含めて四人で歩く。


「で、何で混ざってきたの?」


「分かんない。無意識だったから」


「あらそう」


「無意識が能力になってるから」


「そうそう」


 ガサガサとルーミアの手荷物を漁りながら言う。


「こら」


「あいたっ」


 手刀は忘れない。


「だっては聞かないからね」


「……でも〜」


「小傘、美味しくない水出して。お仕置きするから」


「やだ! あれはやだ!」


「あら、経験者だったのね」


 小傘は既に一つ出していた。用意周到だな……


「じゃあ小傘、自分で飲んでなさい」


「え〜…………え?」


 そりゃあもう嫌そうな顔だ。


「能力の応用の為に」


 藍色からの意見。確かに必要かもね。


「……分かりましたよ〜だ……」


 小傘は渋々栓をあける。


「ねぇ、能力の応用って何?」


「えっとね」


 藍色が説明を始め、小傘はなるべく味わわないように飲んでいた。


「ぅぇぁ〜」


 だが、やはりまずそうだ。完全に無味だから違和感たっぷりなのだろう。一応これでストックは丁度三十になった。


「蜂蜜混ぜたら美味しくなるかしら?」


「化学反応起こりそうだけど」


 ポンと音が鳴り、大人の小傘が現れる。


「おぉ、視界が変わった」


 パタパタと忙しなく動き、ルーミアの隣に立つ。


「へへ、ルーミアさんとおんなじ〜」


「はいはい、でもそのままだとただの背伸びした子供よ」


 あまり調子に乗るなって事を言いたいのだろうか。何となく感じ取った小傘はルーミアの隣から位置を変えずに考え込む。


「……蜂蜜混ぜたらどうなるかな」


 藍色、何を考えてる。


「…………何よ、やる気?」


「うん」


 ルーミアに蜂蜜の瓶を出してもらい、小傘から試験管を一本受け取る。


「どうなるのかな〜?」


「知らない」


 蜂蜜を適量、いや適当に入れ、軽く振って混ぜる。無色が黄金色になった。


「……少なくとも、蜂蜜の味にはなるんじゃない?」


「飲んでみて」


「わ、私?」


「わ、楽しみ〜」


 小傘の好奇心が後押しし、仕方がないので一気に飲み干したルーミア。


「ど、どう?」


 足元のこいしが質問。味が気になるのか……


「無味」


 !?


「蜂蜜が消えた!?」


「いやいや、蜂蜜自体は混ざってるは」


 言わせねぇよ! ルーミアからポンと音がし、煙が出る。


「さぁて、ど」

「闇夜「ダークネスレイヴン」」


 言わせねぇよ!

 鳥の羽ばたきが聞こえ、煙が全て吹き飛んだ。


「全くもう、これちゃんと戻れるわよね?」

 五匹の黒鳥の内一匹に、懐かしいルーミアが座っていた。ちっこい。


「蜂蜜で本当に化学反応起こした!?」


「原理は分からないけど多分そうよ」


「わ、これすっごーい!」


 こいしがいつの間にか乗っていた。


「ああもう、頭が回らなくて違和感ありまくりよ」


「……ごめん」


「別に? むしろその薬に興味が出たから」

 藍色がに返事を返し、小傘の持ってる薬を指差す。


「他に何か入れてみても楽しいかもね。例えば……えっと」


「水飴とか?」


 小傘が案を出す。ルーミアが少し悔しそうな顔をした。案が中々出なくて焦れったいらしい。


「……そうね、藍色。やっぱり戻して頂戴」


「うん」


 ……………………間。


「……あう〜」


 小傘に泣きついた。


「ああ、はいはい……」


 うなだれるルーミアと、苦笑いする小傘。こいしは全く聞いていなかった。







 小さいと移動が少々面倒らしいので、黒鳥に乗って楽な移動をしているルーミア。せっかくなので四人全員が別々に乗らせてもらっている。一匹余った。


「わ〜い!」


 こいしは楽しそうだ。


「私結構大きいのに、全然乗れるねぇ」


「うん」


 こちらの二人は平常運行。


「ん〜……」


 ルーミアは憂鬱そうだ。

 ちなみに、こいしの乗っている黒鳥はルーミアがわざと暴れさせており、簡易ジェットコースター状態だ。



「ねぇ藍色」


「何」


「あなた、体質的に何かに好かれるとか何か心当たり無い?」


「う?」


 ルーミアがこいしに注意を払いながら後ろを指差す。藍色が後方を確認すると……


「……うぁ」


 多種多様な動物達が藍色達を追ってきていた。視線は藍色だけのようだ。

 隕石の墜落か何かで森の動物達が揃って逃げていく様子と似ているが、逃げると追うでは勝手が違う。


「ルーミア、早く」


「ルーミアさん! 猫が! 猫が凄く近いよ!?」


 藍色の鳥の真後ろに数匹の猫が居り、たまに飛びかかっている。ハズレ。


「はいはい、聞こえてるわよ」


 鳥達に指示を出し、長い階段をショートカットして進む。動物達は階段を使うが、鳥類はそのまま追ってくる。


「わあ、大行進だね!」


「藍色、餌付けか何かした?」


「してない」


「白玉楼でも度々あったよね〜」


 あっちは死んでるがな。

 さて、この状態からどう振り切ろうか? ルーミアが悶々と対抗策を考えるが、出そうな案が中々出ない。


「小傘」


 藍色がいい事を思いついてくれたらしいので、ルーミアは黒鳥の操作に集中した。すると隣から……


「ヤッホー!」


「うぁっ」

「ひにゃん!?」

「くっ!」


 動物達が揃いも揃って硬直して大惨事に。


「見たか唐傘の底力!」


 小傘は格闘ゲームの勝利時セリフのような事を言い、周りを見渡す。


「あぁ、びっくりした……」

「ま、また舌かんりゃ〜……」

「……ふぅ」


「あ、あははは……」


 こっちも被害が出た。ともかく……


「沢山の驚き頂きました〜」


 数日は食べなくて良さそうだ。

 あと、どこからか小傘ではないヤッホーが聞こえてきた気がする。







「あ〜、焦った〜」


「ちょっと藍色、あなた本当に心当たり無いの?」


「無い」


 なんとか振り切り、適当な部屋に閉じこもった四人。

 これまで数々の相手と追いかけっこをしてきたが、まさかあんなのを相手にするとは。


「面白かったね?」


「どこがよ」


 こいし……


「それで、何かご用ですか?」


「んぇ?」


 不意に声がしたので見てみると、先程別れた筈のさとりが。


「……あ、理解しました。話さなくて結構です」


「助かるわ。あれを説明しろと言われるとかなり困るし」


「でしょうね。それ以前にも面倒があったみたいですが……」


 小傘とルーミアを見比べながら言うさとり。


「あ〜……時間が経てば戻るハズだから」


「そうですか」


 むしろ戻ってくれないと支障が出るのだが。


「……もう帰る」


 ちょっとこの建物の中ではゆっくり出来ない。


「分かりました。またいらして下さいね」


「うん」


 さとりに軽い挨拶を済ませ、扉を開け


「ニャーッ!」

「にゃぁぁぁ……」


 部屋に動物達が雪崩れ込んだ。


「ちょ、多過ぎ――」











 数時間後、元に戻ったルーミアの機転で地霊殿を脱出した。


「あぁ、驚いた」


「疲れたわ……」


「……帰ろう」


「そーね」





 最後にたんこぶをお土産に貰い、地底を去った三人だった。







 ちなみに……


「……藍、やっぱり手伝って」


「そんなに見つかりませんか?」


「そうよ。見つけても煙に巻かれるし……」


「……橙は手伝わせませんよ?」


「ありがとう! ありがとう藍!」


「泣くほどですか……?」


 藍色を探して幻想郷一周の旅。紫は八雲邸に来ていた……


 何かを混ぜたら効果は変わるのに味は無味のままの不思議な薬、それが妙薬。あまり飲みだい気のしない空椿です。



 スペルカード集作りました。もしクロスとかになったら使ってやって下さい。


 ま、藍色とクロスするのは難しいでしょうね。一応時間軸は神霊廟後になりますが、季節や建築物などはかなり曖昧になってます。

 これは作者の東方勉強不足が目立つ部分ですね、申し訳ない。一応急に冬とかにはしないけど……サザエさんみたいな感じですね、はい。


 天界に行った後は霧の湖に行きましょうか。ついにあの妖精が出ます。最強最強。

 チルノで思い出しましたが、レティはどうしましょう? 冬にしか出ない妖怪なので出せなさそう……


 いや、こんな時間軸の曖昧な状況じゃレティどころか季節関連の子皆出せないような……



 ちょ、本気で困ったのでリリーやレティ達、季節に密接に関係する人達の賽銭緊急募集します。助けて! 私もどうにか考えますが……





 では失礼します。



※四季のフラワーマスターは藍蓮花では常に太陽の畑に居ます。

 それと、藍色を探して幻想郷一周の旅。次回から藍も追加されます※

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