表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方藍蓮花  作者: 空椿
33/114

藍色と封獣 探し物は敵だ

 早速本題に入るけど、完治したので退院しました。一日しか経ってないけど、藍色が元気な所を見ると再生力はかなり高かったらしい。

 そういえば、服は藍色の能力で修復出来たのだが、せっかく幽香が持ってきてくれたのでそちらを着る事にした。天狗服みたいな服は見舞いの時にたまったお土産と一緒にルーミアが持っている。

 新調された服の色は無論藍色で、可愛いフリルのついたドレスのような感じだ。頭にちょこんと乗った小さな帽子も少しばかり自己主張している。


「幽香って器用なのね」


「みたい」


 フランは藍色の退院と同時に紅魔館に帰った。なんでも、外来人を集めたら予想外に数が集まり、更にそれに釣られて鬼まで集まったらしい。萃香の知り合いでもいたのか?

 まあ、その結果短期間で終了したから構わないが。


 まあ藍色にはあまり関係の無い話だ。ともかく、現在はまたも幻想郷をフラフラしている。

 藍色の移動する場所は法則性が無く、相手に嫌がられても無視して通る奴だ。だから……


「……ここぉ?」


 まだ謝った覚えの無い問題を抱えた命蓮寺に入っても、藍色は全く気にしないのである。


「こんにちは!」


「「「こんにちは」」」


 とりあえず、挨拶をしてから堂々と不法侵入した。







「今度は迷わないよね……」


 心配する小傘。道に迷うのも困るが、虎と出会うのもごめんである。例の僧侶も遠慮したい。


「多分」


 かなり心配だが、二人は藍色に反論もせずついていく。

 今更だが、こんな自由人の藍色に二人は何故ついていくのだろうか? 小傘は元は藍色が持ち主だと言えば納得出来ない事も無い。

 だが、ルーミアがここまで藍色を気にかける理由は一体何なんだろうか? 普通ルーミアが藍色を振り回すハズだろう。

 藍色もちょっとは気になってるらしいが、聞くタイミングがなかなか無いみたいだ。

 ……なら今じゃないか? 藍色が口を開いた。


「ね」


「む? 君達は誰だい?」


 失敗。藍色は口を閉じた。

 目の前には特徴的な棒を持った人物が居る。耳や尻尾を見るにネズミだろう。


「正面から堂々と入る不法侵入者、かしらね……」


「何だそれは」


 さぁ?


「まあいいか。私は今は忙しくてな、長く君達の相手をしてられないんだ。すまないね」


「探し物?」


「いや、探し人だよ。よく居なくなる奴だから」


「手伝う?」


 藍色が聞いてみると、ネズミは驚いた。


「構わないのかい? それならお願いしようかな」


 藍色が二人を見ると、異論は無いらしく笑顔だった。


「写真は……ああ、あったあった」


 服の中から出した写真。多分あのブン屋のだろう。


「……他のチョイスは無かったの?」


「つい先程天狗から奪ったその写真しか無いんだ」


 可哀想に、着替え中の隠し撮りの写真だった。村紗も写ってる。何だか不思議な羽が生えて……いや、羽じゃなくて触手か?

 男子禁制だよ!


「……まあ、見ず知らずの人に手伝わせるのは気になるが、頼んだよ」


 そう言い、三人の隣を通り過ぎていった。


「じゃ、とっとと見つけてあげましょうか」


「うん」


 写真の人物を見つける方法。一、能力を使います。


「十分で目的の人物に到着」


 二、面倒事の芽は先に摘みましょう。


「失敗」


 あ、はい。何事も無く済みますように。

 三、後は十分歩きましょう。と言うわけで……


「ルーミア」


「何?」


 本題に入りましょうか。


「何で私に付き合ってくれるの?」


 ルーミアはあまり間を空けずに答えた。


「それ、今言う?」


「なかなかタイミングが悪いから」


 仕方無いな、と言った感じでルーミアは歩きながら話す。本当は二人っきりが良かったのだが……


「最初は恩義を感じていたから。途中からは違うけど」


「違うの?」


 小傘が口を挟んだ。


「途中からは親愛みたいな感じよ。段々世話の焼ける妹に見えてきてね」


「ふぅん」


 つまり、見る目が変わったと言うべきか?


「紫の約束は?」


「どうでもいいわ、あんなの」


 紫が聞いてたら涙目になりそうだな……


「眼中にすら無いから」


 あ、これはなるな。


「無いんだ」

「無いんだね」


「無いのよこれが」


 ルーミアが前を歩いていた藍色を抱き上げた。荷物は腕にかけているので全く問題無し。


「わ」


「今は家族みたいな感じね。友人と言うよりは」


「じゃあ私は? 私が混ざった時は?」


 小傘が口を挟んできた。


「妹が増えた気分だわ」


「おぉう……」


 なんだか感動している。家族が居なかったからね……


「私は別にこんな話を長々と続ける気は無いからね、もういい?」


「うん」

 藍色はいつの間にかルーミアから降りており、今は三人並んで歩いている。


「ねぇねぇ、ご主人様は私の事をどう思ってるの?」


「わんこみたいな妹」


「え、なんか不思議な感覚」


 犬神さんチィーッス。じゃなくてだな……


「確かに、たまーに犬の耳と尻尾が見えるわ」


「本当に?」


「だって、あなた藍色に対してなら忠犬みたいよ?」


「……そうなんだ〜」


 否定はしないらしい。


「ま、別に構わないでしょ」


 それもそうだ。というわけで歩き出した。







「みっけ」


「え?」


 こんにちは、不思議な羽の少女。場所は大きな庭だ。


「あなた達誰?」


「正面玄関から不法侵入して人捜しを頼まれた三人組」


「分かるか!」


 突っ込まれた。


「で、私を探してた」


「そ〜よ」


「初対面なのによく分かったじゃん」


「写真があったからね〜」


 すると、急に写真を見せろと言ってきた。見せてみると……


「あのカラスだな!? 絶対あのカラスだよなぁ!?」


 写真を力一杯破き、怒りを露わにする少女。せっかくなので……


「来るよ」


「え?」


「あと三秒で来る」


「何そ」


 言い切る前に物凄い風が吹き荒れ、笑顔がウンザリする天狗が現れた。

 ぶっ倒れてるけど。


「あ、あやややや…………何事ですか?」


 どうやら、不思議な力に引っ張られてきたらしい。藍色が何度か経験したあれだろう。


「お、丁度いいじゃん?」


 一方、攻撃する対象が現れて嬉しいのかなんなのか、修羅も逃げる笑顔をしている少女。


「死にさらせェ!」


「あや〜っ!?」


 さよなら、文。日が二回ほど登るまでは多分忘れないから……







「封獣ぬえ?」


「そ。それが私の名前」


 ぬえと言えば……


「鵺?」


「そうそう。私も結構有名なのね」


 鵺と言えば、猿の顔、狸の胴体、虎の手足、尾は蛇だとか言われたり、胴体が虎だったりと姿形がはっきりしない事で有名だ。平家物語などで源頼政が退治したと言われるが、それもはっきりとはしていない。真の正体は頼政の母との噂も……


 しかし、鵺の真の姿が少女とはどうだろう。昔の人は一体どんな見間違いをしていたのだろうか。


「ほぼ人と変わらない姿をしてるのに、噂に尾鰭背鰭ついでに胸鰭がついて怪物になっちゃったんだね」


「エラと鱗もついて魚になったりして」


「……魚?」


 ぬえは魚が何なのか分からない様子。外来人の藍色、付喪神以前に藍色と一緒に居た小傘、記憶力の凄まじいルーミアは分かるみたい。


「でも、姿が怪物になったのにはちゃんと理由があるんだけど」


「あるんだ」


 決まった姿がなく、見た人の知識で認識できる物に見えるという正体不明の種なる物をつけ、それに対する認識をかく乱させる事が出来るらしい。

 これのおかげで現在の少女の姿を認識されずに済んだそうな。まあ、その結果虎だったり猿だったりする事になったのだとか。


「面倒臭いわね」


「愉快ではあるけど?」


 さいですか。


「さて、話は終了よ。あのネズミの所に連行するわ」


「大人しくついて行くから、連行とか言わないで」


「は〜い」







「悪いね、手伝わせてしまって」


「別に〜」


 少し歩けばすぐに遭遇したので、ぬえを引き渡す。


「で、何か用なの?」


「マミゾウがお前を探してたぞ」


「え? マミゾウさんが?」


 誰だろうか。問い詰めるつもりは無いが。


「早く行ってこい」


「はいはい、今行くよ。じゃあね〜」


 ぬえは手を振りながら寺の中に消えていった。何だろう、また会いそうだな。


「じゃあ、私も失礼するよ」


 またね、と言いネズミも消えた。名前を聞き忘れたなぁ……


「……さて、あの堅物虎に会う前に退散しますか」


「「賛成」」


 仲直りをするつもりは果たしてあるのかこの三人。多分無いな。

 誰かに出会う前に、三人はとっとと退散した。





 その堅物虎だが、実は現在地は人里で命蓮寺には居なかったそうな。逃げ損だな……







 ちなみに……


「そうですね、あの後来たことは一度も……」


「残念ね」


「私は会ったよ?」


「どこで!?」


「永遠亭」


「あ、ありがとう!」


 藍色を探して幻想郷一周の旅。紫は地霊殿に来ていた……

 この話はここで終わりだがな!


 正体不明「紫鏡」というスペルカードがぬえにはありますね。紫鏡とは、その単語を二十歳の時点で記憶していたら死ぬという都市伝説です。そんな未成年の空椿です。大人しく忘れましょうか。


 命蓮寺の皆さんの出番少ないなぁ。特に響子さん。ほぼ挨拶しかしてないし。今度皆さんと遊びましょう……


 まあまあ、それはまた今度にします。ハブってしまって済みません。


 さて次はいよいよルーミアが暴れます。スペルカード名頂きますね、風心剣さんありがとう。


 小傘強化はまだまだお預けです。もう既に少し強くなってますが……


 お賽銭箱はいつでもあいてます。よろしく~





 ではでは失礼しますノシ






  \オサイセン/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ