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東方藍蓮花  作者: 空椿
32/114

藍色と入院 脅迫は敵だ

「む」


「動かないの。絶対安静でしょうが」


 ルーミアが藍色を制す。藍色は不機嫌な顔をするが……


「早く治してね」


 小傘にこう言われ、どうにも動けない。更に……


「えへへ、藍色の隣〜」


 藍色の隣の布団にフランが居る。こんなに幸せそうな顔をされたらちょっと……


「……むう」


 昨日、永遠亭に駆け込んだ藍色一行と紅魔組。永琳は物凄く不機嫌な顔で藍色を見たが、その怪我を見たら対応が変わり、急いで手当てをしてくれた。

 フランも少なからず怪我をしていたのでついでに診察。あまり問題無いレベルだったが、フラン本人の強い要望で藍色と仲良く入院した。

 その後、藍色達に任せておけば問題無いと言い、レミリア達は永遠亭から立ち去った。日傘を忘れず持ってきていた咲夜は流石と言うべきか?

 その後のフランのベッタリ具合を見るに、あの夜以来藍色の好感度はやたらと高くなったらしい。まるで第二の姉のような接し方だ。


「で、狂気はどうなったの?」


 小傘が質問をした。フランは少し考え、自分が納得の行く答えを出した。


「えっと、狂気を意図的に出したり引っ込めたり出来るようになったよ」


「お〜、凄いじゃん!」


「……褒められた〜」


「良かったわね」


 悪魔が天使のような笑みを浮かべるなんて、不思議だ。


「狂気がどうにかなったなら、次の問題は常識かしら?」


「かも」


 藍色がゆっくり寝返りをうち、フランの方を見る。


「でも、能力が先」


「能力?」


 ありとあらゆる物を破壊する程度の能力は、文字通り鉱物だろうが境界だろうが破壊出来てしまうのだ。この能力に破壊できない物は無い。


「でも、逆に考えると」


 藍色が人差し指を立てた。


「破壊されたと言う事実を破壊すれば、元通りになる」


「……す、凄い考え方だ」


 独創的だな。

 だが不可能だ。


「破壊の力を破壊以外に向けるのは不可能よ」


「そうだよ。それこそ、人を殺す力で人を生き返らせるみたいな物じゃん」


「出来る」


「強情ね、その根拠は?」


 藍色が自信たっぷりに言い放つ。


「毒も使いようによって薬を作れる。それと同じ」


「ちょっと違うような……」


 フランからの声にも答える。


「栄養剤を沢山飲めば体のどこかに問題が出るし、毒薬も極微量なら薬にもなる。物は全て使いよう」


「成る程〜」


 感心するような声を受け、藍色は更に話す。


「闇だって」


「ん、私?」


 うん。


「闇の量を調節すれば光を強くする事も出来る」


 つまり、考え方を変えてみれば全く逆の事すら出来る場合がある、という事か。


「皆、能力の名称だけに捕らわれ過ぎなの。程度で終わらせる前にもっと掘り下げて考えればいいのに」


 成る程、藍色の思想は間違っていない。


「藍色凄い!」


 フランから混じりっけ無しの賞賛を頂いた藍色。ちょっと恥ずかしそうだ。


「……ちょっと考えてみようかしら」


「私も〜」


 ルーミアと小傘も、少し考えを改める事になった。


「成る程ね。かなり興味深い話を聞かせて貰ったわよ」


 突如として部屋の中に姫君が登場。全員ギョッとする。


「……輝夜?」


「覚えててくれたのね、ありがとう」


 そう、蓬莱山輝夜である。


「それでさっきの話なんだけど、それは私の能力にも言えるのかしら?」


「……えっと」


「永遠と須臾を操る程度の能力。永遠は変化の否定、須臾は認識不能の一瞬よ」


「ふぅん」


 ちょっと難しいのではないか?


「例えば、傷を永遠に癒やさないとか一瞬で治すとか」


 前者は言わずもがな、後者は他者の介入を許さない速度で自然治癒させる、という感じ。


「あ〜、成る程ね。他は?」


「自分で考えて」


 藍色だって、仲間内だけでいっぱいいっぱいだ。


「じゃ、永琳達にも言ってみるわ」


「そう」


 そう呟くと輝夜は居なくなり、再び四人になった。


「ああ、その永琳から伝言よ」


 またいきなり出て来た輝夜。勘弁してよ。


「『自主退院なんかしたら、今度こそ薬物実験に使ってあげるから』だそうよ」


 ……了解しました。

 輝夜が今度こそ居なくなり、ホッとする皆だった。ここで小傘が質問。


「……ご主人様、私の能力って何に使えるかな?


 人間を驚かす程度の能力。藍色のおかげで現在は相手を驚かす程度の能力と言えるようになり、効果も強化されている。が……


「ごめん」


 ちょっと能力が限定的過ぎた。


「う〜ん……」


 結局、小傘はまた悩むのだった。







 さて、時を飛ばして昼頃。この頃になると人や妖怪が永遠亭を訪ねてくるようになる。

 いつもなら薬を貰いにくる人里の人間の方が多いのだが、今日は藍色を目当てに来る人物の方が沢山だ。ただ、大方ちょっかいを出してすぐ帰る。今回はそれしか話題が無いので、誰が来たかを挙げてみる。


「また大怪我して、大丈夫なの?」


 博麗霊夢。恐らく藍色を一番気にかけている人物である。

 最近はお茶漬けを食べ始めたらしい。以前の貧乏生活からは考えられない変化だ。

 煎餅をお土産として持ってきて、すぐに帰った。またね。


「よ、邪魔するぞ」


 霧雨魔理沙。藍色の話を聞きつけて飛んできたとか。

 最近はアリスの所の上海と蓬莱に本の読み聞かせをしているらしい。意外と仲良くなってるな。

 手ぶらで来て、すぐに帰った。アリスとも仲良くね。


「失礼しますわ」


 十六夜咲夜。藍色の事を気にかけるレミリアに使いを出されたそうな。

 最近は紅魔館の修理の半分を一人でやってる。常人には不可能です。

 洋菓子を持ってきて、永琳と話してから帰った。頑張ってね。


「こんにちは、藍色さん」


 魂魄妖夢。主人に休みを貰ってまで見舞いに来たらしい。

 最近は幽々子と一緒に仲良く素振りしているらしい。伸び悩んではいないようだ。

 手ぶらで来て、少し話をしてから帰った。せっかくの休みを使わせてごめんね。


「やあ、久しぶりだね」


 森近霖之助。あまりにも暇だったから来てみたとか。

 最近売れ行きが良くなったらしく、生活がちょっと楽になったという。良かったね。

 小さめの鞄を持ってきて、すぐに帰った。これって……


「」


「取材拒否」


 射命丸文。無論藍色に突撃インタビューしに来た。

 藍色の話題になると途端に新聞の購読者が倍増するから、ネタを取りに来たらしい。しかし撃沈。

 最近の新聞を持ってきて、帰らされた。帰れ帰れ。


「大丈夫?」


 風見幽香。曰わく、案外近い場所に太陽の畑があるので立ち寄ったと。

 最近の楽しみは藍色の話題を誰かに話す事だそうな。おかげで人里の住人とも若干関係が持てたとか。

 蜂蜜と手作りの服を持ってきて、談笑してから帰った。どうせ破いてると思ったらしい。間違ってない。


「あ、藍色だ」


 なんと、古明治こいし。フラフラしてたら来てしまったみたいだ。

 最近さとりが藍色が来るのを楽しみにしているとか。あと、珍しく星熊勇儀が素面で居続けてるらしい。今度寄ろう。

 手ぶらで来て、いつの間にか帰った。ゆっくりしてけばいいのに。


「よ、久し振り」


 白銀狼代。また抜け出してきたらしい。

 最近手違いで雪を降らせてしまったそうだ。能力か何かか?

 手ぶらで来て、椛に引っ張られて帰った。わんこ。







 もういいか。


「……う」


 藍色が鞄を手にとる。開けてみると、本数は多少減ったが例の妙薬が入っていた。あと三本。


「何それ?」


 フランが興味を示し、ルーミアもそれを見つめる。藍色はのんびりと説明をした。

 フランと、途中で耳を傾けてきた小傘が目を輝かせている。


「見たいの?」


 うん。


「でも、数が少ないから遠慮しときなさいな」


「でも、永琳の薬なんでしょ?」


「小傘、何が言いたいのよ」





 その後、永琳の所に押しかけたフランと小傘だった。

 結果的に薬の本数がプラス三十され、鞄も変えて貰ったが……


「じゃあ、完治するまで藍色を抑えててね。あの子、変な所で頭回るから難しいけど」


 永琳は一体どんな目で藍色を見ているのか……







「じゃ、いっきまーす!」


「私も行きまーす!」


 試験管の栓を取り、笑顔のフランと小傘が部屋の真ん中に立っている。こぼすなよ。


「ゆっくり飲みなさいよ」


「うん!」


 もう欠片も怪我人に見えないフランが答えた。そして二人とも、タイミングを合わせてそれを飲み干した。

 感想から言えば、無味。水の味とも言えない、紛れもない無味だった。


「「お、美味しくない……」」


 さいですか。まあともかく、可愛らしい音と共に二人は煙に包まれ……

 部屋に充満した。


「換気」


 藍色がルーミアに指示を出した。が、その前に……


「ドカーン」


 細かい破裂が響き、部屋の煙が消えていった。


「凄いね、頭がグルグル回るよ!」


 髪も背も大きく伸びたフランが右手を閉じていた。今、能力を使ったのか?


「って、小傘は?」


 居ない。


「ジャーン!」


「きゃあ!?」


 ルーミアの真上から急に登場。こちらもしっかり成長していた。


「へへ、大妖怪の驚き頂きました!」


「小傘凄い!」


 大人の女性の少女の素振り。思えばこいしもそんな感じだと藍色が思い出す。


「ご主人様! どうかなどうかな?」

「藍色藍色! どう?」


 二人が藍色の近くに座る。


「綺麗」


 この一言で二人ははしゃぎだし……


「病室で暴れないで下さい!」


 怒られた。





 せっかくなので、後は成長した頭をフル回転させて能力の使い方を考えていた。

 フランの成長が凄まじかったのだが、これいかに。







 ちなみに……


「済まない、大分前に来たっきりでな」


「そう……」


 藍色を探して幻想郷一周の旅。紫は人里に来ていた……

 永琳怖い永琳怖い。来客にちょっと悩み、数人省いてしまった空椿です。


 やっと手元に戻ってきた鞄。でもちょっと大きくなりました。以降は小傘に持ち歩いて貰います。



 フランと小傘も一時的ながら成長しました。差し詰め、EX小傘とOVフラン?(Overdrive)

 今回を期にフランがやたら強くなります。あの能力は考えようによっては最強なんじゃないかな。事実を破壊すれば無かった事に出来ますし。慧音ェ……



 藍色一行にフランが混ざっても面白いかな。とか考えてみました。小傘みたいに元気ですが、子供っぽく好奇心旺盛で、藍色並みに面倒事に首を突っ込みそうですね。

 実は一行入りは意外と迷います。ルーミアと小傘は楽に行きましたが、他の誰を入れようか迷います。

 現在候補にフラン、こいし、幽香、小町が居ますが、絶対にまだ増えます。


 賽銭箱に意見を貰うべきか……?


 待ってます!



 え、犬神が居た? そんな馬鹿な。わんこしか見当たらないぞ?

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