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東方藍蓮花  作者: 空椿
15/114

藍色と悪魔 狂気は敵だ

「あははははははっ!」


「洒落にならない……」


「ちょ、私関係ないハズよね?」


 湖に弾ける花火、その全てが当たれば危険な弾。常人なら三秒ももたないだろう。

 そんな命を賭けたスーパー鬼ごっこをするのは三人。鬼はフラン、逃げるのは藍色とルーミアだ。

 藍色は当たる確率を下げ、ルーミアは規格外の身体能力で避けている。


「早く終わらないかな……」


「いっそ強制終了させてやろうかしら?」


「それはダメ」


 曲がりなりにも少女との遊び、力でねじ伏せてしまうのは可哀想と藍色は思っている。

「可哀想とか思ってるなら止めなさい。下手したら死ぬから」


「む?」


 飛び交う弾幕を回避しながら、ルーミアがフランの事を説明。藍色の反応は……


「ふぅん」


 駄目だ……


「当たらないなぁ……」


 と、話してるうちに後ろのフランに変化が現れた。スペカを出したのだ。


「禁忌「カゴメカゴメ」!」


 宣言された瞬間、緑の弾幕が張り巡らされた。


「みゅっ」


「あら……」


「いっけぇ!」


 フランの声と共に、黄色く大きな玉が飛んできた。緑の弾幕がそれに引っ張られるように動き出す。


「ねえちょっと、まだこれを『可愛らしい少女との遊び』で済ませるの?」


「ちょっと考える」


 流石に危機感を覚えた藍色。弾幕が明らかにこちらを壊すつもりで放ってきているのに気付いたらしい。


「早く結論を出し」


「じゃあ終わらせる」


 結論を出すのが物凄く早い藍色だった。


「はいはい!」


 ルーミアがスピードを落とさずにフランの方に向き、宣言した。


「月符「ムーンライトレイ」」


 本来はレーザーを挟むようにする物だが……

 今のルーミアは、レーザーを逆に正面から広げるように薙いだ。弾幕の量も凄まじい。


「きゃあ!?」


 当然、初見で避けれるわけもなく、フランは被弾して墜落してしまった。


「はい、私の勝ち」


 髪を手で整え、ただただ何となく両手を十字に広げる。


「何? そのポーズ……」


「聖者は十字架に磔られました、なんてね……」


「確かに」


 さて、そんな茶番は置いておくとして……問題はフランである。霧の湖からは大分離れてしまったらしく、現在地はよく分からない。ただ平野が広がるばかりである。

 フランはルーミアの攻撃により撃墜され、地面に横たわっている。大した外傷は見えない。


「大丈夫?」


「吸血鬼はそんなに柔じゃないわよ。ほら起きた」


 ルーミアの言う通り、フランがゆらりと起き上がる。


「……ふふふ……」


 ぐいん、と首を持ち上げ、裂けた口を大きく開き、並ぶ歯を剥き出しにする。


「アハハハハハハハ!」


「あ、地雷踏んだ……」


 ルーミア、一生の不覚。


「面白い! もっと遊ぼうよ!」


「断固断」


「分かった」


「ちょっと!?」


「アナタの遊びに付き合う」


 藍色がルーミアを押しのけて前に出る。


「……何か考えがあっての事よね?」


「無い」


 ルーミアは呆気にとられた。


「正気の沙汰じゃないわ……」


「禁忌「クランベリートラップ」!」


 スペカを宣言し、更に突撃してきたフラン。手にはあの時計の針が。


「む」


 藍色も能力を使い、いつか霖之助からパクった刀を出す。

 甲高い音が響いた。


「アハハハハハハハ!」


「危ない……」


 時計の針による直接攻撃を受け、更にスペカの弾幕を隙間の少ない至近距離の攻撃に、流石に四苦八苦する藍色。

 時には弾き、時には斬り、時には大きく距離を取る。が、フランの手が止まる事は無い。


「まだマだ行くよ! 禁忌「レーヴァテイン」!」


 宣言の瞬間に燃え盛るフランの手。時計の針とは違う何かを握っている。


「冗談じゃない……」


 まだクランベリートラップが終わってない。連続でスペカなんて聞いてない……


「あうっ」


 強烈な力で振り下ろされた燃え盛るそれは、軽い藍色を容易に弾き飛ばした。

 はるか遠くの地面に見事着地し、様子のおかしいフランを見つめる。右手に持っているのは剣か?


「楽しい? 私ハ楽しイよ……?」


「私は楽しくない」


 命がかかってるからね。


「アハハハ! まダ壊れなイデね!」


 会話が成り立たない事に藍色は困った。

 遠くはなれた距離は瞬時に0になり、勢いの乗った剣と長い刀が衝突する。藍色の足が地面をえぐった。


「何だか、あなたが壊れてるように見える……」


 ピクリ。


「私が壊れる前に、あなたが壊れきってるみた」


「アナタに私の何が分かるの……」


「う?」

 フランが藍色の言葉に反応し、小さな声を漏らした。

 そして、次に起きた出来事は過去最悪のスペルだった。


「禁忌「フォーオブアカインド」」


 流石に傍観を決め込んでいたルーミアが止めに入るが、既に二枚目の宣言が終わっていた。


「「「秘弾「そして誰もいなくなるか?」」」」


 想像出来るだろうか。四つの塊が青い弾幕を撒き散らしながら、四方から迫ってくるのを。


「ふぇ……」


 逃げ道は一ドット以下。回避は無理か?


「いや、出来る」


 藍色が弾壁に突進し、その中に消えた。聞こえたのは被弾する音ではなく、弾幕の衝突する音だった。


「出来た」

 挑発とも取れる発言。四人のフランは気にした様子も無く、再び藍色に突進する。


「あなたの中に何があったか知らないけど……」


 藍色はスペカを抜き放つ。


「話は、後で聞いてあげるから」


 宣言は小さな声だった。


「変符「命中率と回避率」」







「うわぁ~……」


 ルーミアがついついそんな声を漏らした。


 あれだけ派手に暴れていたフランをまたも撃墜したから、フランの安否をちょっと気にしているらしい。

 息はしているようで、子供特有の小さな胸が上下している。


「終わった?」


 藍色の問いに答えたルーミアは、


「知らないわよ」

 アバウトだった。

 さて、フランが気になるので藍色が確認に向かう。目を閉じている姿は本来にただの少女のようだが……


「フランドール……」


 ポツリと少女の名を呟き、腰を下ろして観察をする。

 目は閉じられ、小さな宝石のついた羽は軽く揺らいでいる。風で金の髪はそよぎ、細い腕は微動だにしない……が、その右手の形は不自然だ。まるで……


「何か、握ってるみたい……」


 紅い瞳が見開かれ、右手に力が加えられた。


「きゅっとして」


「藍色!」


「んえ?」










 爆発音と共に小さな体は吹き飛ばされ、藍が紅に染まる。

 ついていたハズの右の細腕は肩から消え、かわりに真っ赤な液が地面に伸びる。

 無表情だった顔は歪み、苦痛によって声にならない何かが喉から漏れる


「アハ……ハハハ……」


 壊れてはいけない理性が壊れた少女は、また右手を握る。同時に、藍色の右の足にひび割のような傷が現れる。


「コワレチャエ」


 またそれを握りしめ……


「遊びは終いよ、吸血鬼。ちょっと痛いわよ?」


 世界から色が消え、黒に包まれる。


「グッ!?」


「闇符「ダークサイドオブザムーン」」


 フランの背に手のひらが当てられ、服と手の間に閃光が発生する。





「うぁ……?」


 真っ黒の球体から聞こえる連続した轟音を、虚ろな目で見つめる藍色。頭は突然の出来事に混乱している。右腕の感覚は、無い。

 闇が夜に還り、吸血鬼を背負ったルーミアが走ってきた。


「大丈夫!? 生きてる!?」


 本気で心配してるようで、顔に余裕が無い。藍色は……


「死んじゃいそう」


 表情は違うが、マイペースは変わってなかった。ルーミアが藍色を片手で抱える。


「馬鹿言ってる場合じゃないわよ!」


「馬鹿じゃない」


「うっさい! 気絶でも何でもしなさいよ!」


 こんな大怪我なのに、意識を落とす事の無い藍色。既に藍の割合より血色の割合のほうが多く見える。


「どこ行くの?」


「いいから寝なさい」


 もう怒鳴るのも疲れたルーミアは、喋るのを止めた。そして、天狗が膝をつくような速度で竹林の上空を突っ切っていった。





 いやあ困った。フランの狂気をどうすればいいか困った。他の作者さんのように上手く崩せない……


 まあ私の苦労話はいいでしょう。

 そんな事よりも、風心剣さん。意見場所への早速のコメントありがとう御座います! 感想も何度もつけて頂いて、小説執筆の励みになってます。

 意見はいずれどこかで使いますので、楽しみにしていて下さい!


 まだまだ意見と感想は待ってますので、お気軽にどうぞ~



 それでは、失礼します。



追記:この話の一部にややグロい表現がある為、一応残酷な描写ありにします

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