第七話 作戦失敗!?
「どうしたの? そんなに急がなくてもご飯は逃げていかないわよ」
慌ててリビングに駆け込む俺に気づいた母が言った。
俺が訳を説明しようと口を開いた時、彼女が入ってきた。
「へへ。やっと追い詰めたよっ」
なんでこのタイミングで入って来るんだよ!
そう怒鳴りつける前に、母の視線が突き刺さった。
「ねえ。この子誰なの」
とても冷たい声。
お、俺は何もやましい事はしてないぞ!
妹に口付けしようと思ったなんて、そ、そんな事無いんだからなっ!
「さっき説明したんだけど、やっぱり母さん聞いてなかったんだね」
平静を装うが、背中には冷や汗が伝っていた。
「さっきって? ああ、夕飯の支度してた時ね。全然聞いてなかった。もう一回説明してくれるかしら」
母さん、目が笑ってないよ。
もう泣きたくなって来た。なんで俺ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないんだよ。元はと言えば、彼女が家に来た事が原因なのに。
彼女、ちゃっかり逃げちゃってるし。
頑張ってね、なんてウインクしちゃってるし。
もう、やけくそだ。ホントの事言っちゃえ!
「あの子はね、未来から来た、俺の妹なんだ」
「嘘で誤魔化そうったって無駄よ。そんな嘘、小学生でもつけるわ!」
あ、やっぱり無理でしたね。頭のオカタイお母様には通用しませんでした。
「本当なんだってば。信じてよ」
「黙らっしゃい!」
こうなってしまった母はもう誰にも止めることは出来ない。
「おなか減った」
ぼそっと呟いてみるが、
「ふん。そんな悪い子にご飯なんてあげません」
冷たく突き放されてしまった。
ううっ。彼女が悪いのに。悪いのは俺じゃなくて彼女なのに。
一瞬でも、彼女をかわいいなんて思ってしまった自分に腹が立つ。
『もう、どうにでもなれ!』
俺はわざと大きな音を立てて、自分の部屋へと続く階段を上っていった。
やっと調子を取り戻した感じです。
この調子でちょくちょく更新したいと思います。