もしわたしに、白くて長い指があったなら。
わたしをかごに閉じ込めた、
あなたはひどい人。
あの日から、
わたしを見つけ出してくれた日から、
いったいどれだけ経ったの。
一緒にご飯を食べて、
一緒にお風呂に入って、
一緒にテレビを見て、
一緒の寝床で寝るの、午前0時。
わたしはあなたのことを、
一番よく知っているの。
小さいことにくよくよすること。
大きな蜘蛛に怯えるヘタレさんだってこと。
頑張ってないふりをして、頑張っていること。
あの人のために、悩んで、
夜眠れなくなること。
なんでも知ってるの。
わたしをかごに閉じ込めた、
あなたはひどい人。
あの日、
雨がひどかった日、
あなたはあの人を連れてきた。
一緒にご飯を食べて、
一緒にお風呂に入って、
一緒にテレビを見て、
一緒に寝床に入る、午前0時。
あなたとあの人は、
指を絡めて、
抱き合った。
どうして、
わたしは今日ベッドの上にいないの。
どうして、
わたしには細くて白い指がないの。
あなたの長い指と、
絡め合えるだけの指が。
どうして、
涙が溢れるの。
あなたはそんなこと、
知る由もない。
わたしは、
あなたのこと、
一番よく知っているの。
他人の悪口を言うばかりで、
自分は何も出来ない臆病者だということ。
グラビアの趣味が流行りに、
流されやすいということ。
ずぶ濡れのわたしを、
拾ってくれた優しさを。
あなたがあの人を一番、
愛しているということを。
わたしは、
あなたのこと、
なんでも知ってるのよ。
あなたにもわたしにも
呆れて、もぅ、
泣きたい気分よ、
にゃー…と。