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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ。─  作者: n217 (嘯江 新«ウソブエ シン»)


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62/159

第62話「意思」

東京都・新都心


夕焼けに染まる東京。


しかし、その空気は重く淀んでいた。


マランがゆっくりと前へ歩き出す。


一歩。


また一歩。


それだけで周囲のアスファルトに亀裂が走る。


ゴゴゴゴゴ……


ソウヤは無意識に拳を握った。


(この威圧感……。)


(ラルゴやペインとは全然違う。)


イレイダも刀の柄を握る力が強くなる。


(第13階級……。)


(これが"壊滅"か。)


惣一は静かに前へ出る。


「これ以上の戦闘は東京を巻き込む。」


「目的はペインの回収か。」


マランは短く答える。


「ああ。」


「それだけだ。」




静かな殺気


ペインが笑う。


「マラン、少しくらい戦わせろよ。」


マランは振り返らない。


「今のお前じゃ勝てない。」


「……。」


ペインは珍しく反論しなかった。


自分でも理解している。


能力の反動で身体は限界だった。




ソウヤ


ソウヤは一歩前へ出る。


「待て。」


マランの足が止まる。


「お前、本当にそれでいいのか?」


マランは静かに振り返る。


「……何がだ。」


「お前は。」


「人を殺したいようには見えない。」


その言葉に、ペインが吹き出す。


「何言ってんだ、お前。」


しかし。


マランだけは笑わなかった。




壊滅


「帰る。」


そう言った瞬間だった。


後方のビルが崩れ始める。


ミシ……。


ミシミシミシッ!!


巨大なオフィスビルが能研側へ倒れ始めた。


「しまった!」


タジが叫ぶ。


避難しきれていない人々が取り残されている。


ソウヤは駆け出そうとする。


しかし。


マランは一度もビルを見ていない。


惣一が気付く。


「違う……。」


「能力じゃない。」


地震で損傷していたビルが、戦闘の余波で倒壊しただけだった。


マランは振り返り、小さく息を吐く。


「……。」


次の瞬間。


ドンッ!!


マランが地面を蹴る。


人間離れした速度でビルの前へ移動。


右手を倒れてくるビルへ添える。


ズゴォォォォン!!


数万トンはあるビルが、そこで止まった。


「なっ……!」


タジは目を見開く。


「素手で……。」


イレイダも驚きを隠せない。


「馬鹿げてる。」


マランは静かに力を込める。


ビルの向きを変える。


ゆっくりと人気のない空き地へ押し倒した。


ズドォォォォォン!!


轟音。


土煙。


しかし。


誰一人として巻き込まれなかった。




違和感


ソウヤはその姿を見つめていた。


(助けた……。)


(敵なのに。)


マランは静かにペインへ歩く。


「帰るぞ。」


ペインは頭を掻く。


「相変わらず甘ぇな。」


「黙れ。」


短く返す。




グラン


屋上。


グランはその光景を見ていた。


「……。」


何も言わない。


しかし、その目は細められていた。


(やはり、お前は変わり始めている。)




エピローグ


能研本部へ戻る途中。


誰も口を開かなかった。


やがてソウヤが呟く。


「マランは……。」


「本当に悪い奴なのかな。」


イレイダは答える。


「敵であることに変わりはない。」


「だが。」


「今日の行動だけは、本心だった。」


惣一も静かに頷く。


「私も同じ考えだ。」


「だからこそ危険なんだ。」


「迷いを持つ者ほど、大きな選択を迫られる。」




一方その頃。


マスタークラウン本部では、グランが新たな作戦を告げようとしていた。


そして、その影ではマランが一人、東京でソウヤに言われた言葉を思い返していた。




「お前、本当にそれでいいのか?」




その一言が、マランの心に小さな波紋を残していた。




第62話 完

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