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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ。─  作者: n217 (嘯江 新«ウソブエ シン»)


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第20話「名家の実力」

能研・応接室。



名取惣一、千藤院刹那、夜鳴鵺夢幻を迎え、能研の主要メンバーが集まっていた。



ソウヤ、結衣、タジ、柚季、そしてイレイダ。



重苦しい空気の中、最初に口を開いたのは惣一だった。


「まず訂正しておこう。」


「私は君たちを助けに来たわけではない。」


ソウヤたちは顔を見合わせる。


「では、どうして……?」


惣一は静かに答えた。


「確認するためだ。」


「君が、本当に"鍵"なのかを。」


タジが小声で呟く。


「最近『鍵』って言われすぎじゃない?」


柚季も苦笑する。


「確かにね。」


惣一はソウヤを見つめる。


「君の中には二つの人格だけではない。」


「もっと深い"何か"が眠っている。」


ソウヤは息を呑む。


(レイ以外にも……?)


イレイダが口を開く。


「そこまでだ。」


「今話すにはまだ早い。」


惣一は静かに頷いた。


「そうだな。」


「まだ時ではない。」




その頃――




能研の広い訓練場。




刹那が静かに木刀を構えていた。


「お姉様。」


「少し、お手合わせ願えますか。」


イレイダは帽子をかぶり直す。


「いい。」


「ただし本気は出すな。」


刹那は微笑む。


「もちろんです。」


その様子をソウヤたちは見学していた。


夢幻が説明する。


「刹那さんは全国剣道・柔道優勝。」


「能力がなくても日本屈指の実力者です。」


ソウヤは驚く。


「そんな人が……。」




開始の合図。




一瞬だった。


キィン!!


木刀同士がぶつかる。


火花が散る。


刹那の剣は鋭く、美しい。


無駄がない。


だが。


イレイダはさらにその上をいく。


最小限の動きで全てを受け流す。


「まだ甘い。」


一歩踏み込む。


刹那の木刀が弾き飛ばされた。


カラン…。


勝負あり。


わずか十数秒だった。


刹那は悔しそうに笑う。


「……まだ届きませんか。」


イレイダは木刀を返す。


「剣はいい。」


「だが、迷いがある。」


刹那は黙って頷いた。


ソウヤが夢幻に聞く。


「イレイダって、そんなに強いの?」


夢幻は真剣な表情になる。


「ええ。」


「名取家でも、イレイダさんと真正面から戦いたがる人はほとんどいません。」


その時だった。


惣一が静かに立ち上がる。


「なら。」


「私が相手をしよう。」


場の空気が変わる。


イレイダも初めて少しだけ表情を変えた。


「……本気か。」


「もちろん。」


惣一は一歩踏み出す。


その姿が、ふっと消えた。


「え?」


ソウヤたちが目を見開く。


次の瞬間。


惣一はイレイダの真後ろに立っていた。


「……速い。」


イレイダが振り返る。


しかし惣一はもうそこにはいない。


右。


左。


空中。


屋根の上。


まるで瞬間移動を繰り返しているようだった。


夢幻が説明する。


「神足通。」


「惣一さんの能力です。」


「距離という概念に縛られません。」


惣一は微笑む。


「イレイダ。」


「君なら、これをどう攻略する?」


イレイダは帽子のつばを押し上げる。


「簡単だ。」


「捕まえればいい。」


その瞬間、空間拘束が発動。


しかし惣一の姿は拘束範囲の外へ移動していた。


「……。」


イレイダは少しだけ笑う。


「面白ぇ。」


惣一も微笑む。


「君もね。」




二人が構えた、その時。


夢幻の携帯端末が鳴る。




表情が一変する。


「惣一さん!」


「マスタークラウンの動きです!」


惣一は端末を見る。


そこには一つの映像。


街中で能力を暴走させる能力者。


そして、その近くには――


ペインの姿が映っていた。


惣一は静かに振り返る。


「訓練は終わりだ。」


「実戦になる。」


ソウヤも立ち上がる。


「俺も行きます!」


イレイダはソウヤを見つめ、小さく頷いた。


「……行くぞ。」



能研の新たな任務が始まる。

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