表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TSFマジック-鬼龍娘の僕、きょうも街を守ります-  作者: 東山ルイ
第二章 悟るくらいなら死んじまえ
19/22

絶対零度の先

「えっ!? 神奈!?」


 あたりを見渡してみるが、やはり姿は見受けられない。この短期間で一体どこへ行った? 森音はスマホで神奈に電話してみるも、一向に出る気配がない。


「な、なにが……っ」

「落ち着いて、瑠流ちゃん。蒼月神奈には天使と契約してる以上、あのヘーラーって女から逃れることはできない。まずは着いてきてるはずのヘーラーに……」


 ナヘマーはそこまで言って、違和感に気がつく。そもそも蒼月神奈が現れたときからの違和感。それは、ヘーラーがいないことだ。本来天使は、契約した人間が力を悪用しないように、監視しなくてはならない。いくらヘーラーがポンコツであろうと、その理は絶対である。


 それなのに、ヘーラーはその役目を放棄したのか? 天使が人間の監視を怠るほどの出来事……、ナヘマーはハッと目を見開く。


「分かった……。あの天使〝狩られてる〟んだ」

「狩られてる?」


 森音瑠流はナヘマーの不穏な言葉に眉をひそめる。悪魔である彼女が、ここまで真剣な表情を見せるのは初めてだった。


「だ、誰に?」

「一番ありえるのは身内だね。それともなければ、他の悪魔契約者がヘーラーを殺そうとしてるか」軽薄な笑みとは裏腹に、目は笑っていなかった。「あたしは面白がってヘーラーや蒼月神奈を放置してたけど、本物の悪魔や天使だとそうはいかない。悪魔は天使を狩れば、階級が一気に上がるからね。天使だって、もしヘーラーみたいなイレギュラーを認めない堅物だったら……まぁ面倒臭い」

「……もしヘーラーが殺されたらどうなっちゃうの?」

「あれと魂をリンクさせた蒼月神奈も、死んじゃうだろうね」

「……っ!!」

「とりあえず、助けたいのなら探すべきだよ。あたし的には、あの天使と蒼月神奈が住んでる家が怪しいと踏んでるけどね」


 森音瑠流は上着を羽織ることもなく、神奈の家へ走り出した。


「まぁ……瑠流ちゃんがいたところで、結果変わんないと思うけど」


 森音瑠流は、悪魔の力を使いこなしきれていない。詳細な説明書をわざわざPDF化までしてスマホへ送ったが、結局実戦でないと掴めないものもたくさんある。


 しかし、いないよりはマシだ。ナヘマーは黒い翼をなびかせ、鳥のように空を飛んで、蒼月神奈の家へ向かっていくのだった。


 *


 そもそも、神奈はワープできる。なぜかは自分でも分からない。ただしその気になれば、家まで1秒もかからずに帰ることができてしまうわけだ。


 では、そんな神奈が空間移動した先とは?


「おっと」


 神奈は自室にテレポートし、先ほど脳内を駆け巡った〝危険信号〟の正体を知るためにヘーラーを詰めようとしたが、彼女はすでに家にはいなかった。

 しかし地面に痕跡は残っている。手紙が置いてあった。神奈はそれを読む。


『お付きの天使をさらった。返してほしければふ頭まで来い。オマエの父親が働いている場所だ。制限時間は16時まで。それまでに来なかったら、天使を殺す。天使が死ねばオマエも死ぬ。良いな?』


 あえて利き腕でない腕を使って書かれているように見えるので、おそらく筆記からの特定を避けるためだろう。

 神奈はグッシャっと手紙を丸め込み、目を瞑り、それなりに離れたふ頭を思い浮かべる。父親が働いているため、場所自体はなんとなく分かる。


「世話が焼ける、なんて次元じゃないよねぇ……!!」


 眉間にシワを寄せ、パッと神奈は姿を消す。その瞬間には、最近埋め立てられた港に少女は姿を現した。


「なんだ、これは」


 ふ頭内の人々は皆、意識を失っていた。ほぼ確実に、悪魔崇拝者が関わっているだろう。しかし暴走しているようにも思えない。ただ目的を果たすために、辺りにいた港湾関係のヒトたちが邪魔だから眠らせた、ように捉えられる。


「……?」


 ……いや、違う。辺り一面の時間を止めているのだ。冷凍保存するかのように。


タイトル考えるのにリアル3時間かかりました。作者は生粋の馬鹿だえ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ