最終話:悪役令嬢とヒロイン、その後の物語──そして、新たな“恋の始まり
リリィと結ばれてから、季節がふたつ巡った。
学園ではもう誰も、私を「悪役令嬢」と呼ばない。
むしろ今では──
「ねぇ、今日もクラリーチェ様とリリィ様がデートしてたわ!」
「“聖女カップル”って呼ばれてるらしいよ!」
「神殿に絵馬が飾られてるってホント!?」
──という感じで、ちょっとした信仰対象になっていた。
もはや物語の構造そのものが消えた世界。
この場所では、善も悪もなく、ただ**“選んだ道”が正解**だった。
そんな中、リリィは言った。
「クラリーチェ。あなたはもう“世界”に囚われなくていい。
だから──これからは、誰かのためじゃなく、自分のために生きて」
その日、私は決意した。
かつて誰かに決められた“悪役”という役割を越えて、
リリィと共に、新たな物語の扉を開くことを。
──そして現在。
私は王都郊外に小さな図書館を開いた。
リリィは日々、精霊たちと対話しながら“魔法記録”の管理官として働いている。
そして夜になると、ふたりで紅茶を飲みながらこう語り合うのだ。
「ねぇリリィ。もし私たちが、別のルートを選んでたら、どうなってたと思う?」
「きっと、私が処刑されて、あなたが悲しむ世界ですね」
「……うん、それは絶対にイヤだった」
「私もです。だから、この未来を選んでくれて、ありがとう」
──世界がリセットされても、またバグっても、
私たちは、何度でも出会って恋をする。
なぜならそれが、**“この物語の正解”**だから。
終わりのない恋物語が、静かに、けれど確かに──続いていく。
──Fin.──
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
本作『悪役令嬢に転生したけど、ヒロインが全属性持ちの最強系だった件』は、
「百合×転生×ゲーム破壊」というテーマを軸に、
“王道の構造をひっくり返す”ことを意識して書きました。
特にリリィは、ヒロインでありながら世界のメタ存在という、
まさに“全属性持ちの最強系”キャラ。
クラリーチェがその愛を受け入れることで、
彼女自身も悪役の枠を越えて「物語の創造者」へと成長しました。
この作品を通じて伝えたかったのは、
「誰かに用意された幸せより、自分で選んだ未来こそが真実である」ということ。
それが、恋でも友情でも、あるいはどんな関係でも。
それでは、また別の物語でお会いしましょう。
クラリーチェとリリィに、たくさんの愛をこめて──
ありがとうございました!






