表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

第2話:最強ヒロイン、悪役令嬢に嫁入り準備を始める!?

「クラリーチェ様。今日のティーはお口に合いましたか?」


「ええ、たいへん結構です……って、あの、それ私の役目じゃない?」


 


乙女ゲーム世界に転生して早二週間──

私は「悪役令嬢クラリーチェ」として、破滅ルートを回避すべく地味に過ごしている……つもりだった。


だがしかし。


 


「次の舞踏会、ご一緒していただけますか?」


「おかしくない? 私、令嬢だけどメインヒロインじゃないんだけど!?」


 


──リリィ嬢が毎日私にアプローチしてくる。


そもそも原作では、王子や騎士団長、学者肌の美青年などがヒロインを取り合うはずの構図。

それが今では──


ヒロインが、悪役令嬢にガチ恋してる構図に変わっていた。


 


(ゲーム内の“恋愛対象”たちもみんな、明らかにリリィを避けてるのよね……)


魔力が規格外すぎて、近寄ると吹き飛ばされる王子。

意見が違っただけで、論破され泣いた学者くん。

そして何より──


「クラリーチェ様以外に興味ないです」

という、リリィの宣言。


 


「ねえリリィ、そろそろ“恋愛イベント”始まる時期だけど、王子と会話してる?」


「必要ありますか?」


「ゲーム的にはあるよ!? むしろそれが本道だよ!?」


「クラリーチェ様がいるから、王子なんてどうでもいいです」


「プレイヤー涙目だよそのルート変更!!」


 


──そう、彼女は全属性最強のくせに、選ぶのは私だけという完全一途スタイル。


しかも最近、周囲がざわつき始めていた。


 


◆貴族のうわさその①

「ホワイトフィールド嬢がアーデルハイト嬢に結納品を贈ったらしいわよ」


◆その②

「次期当主の座を辞退して、クラリーチェ様の家に婿入りする気らしいですわ」


◆その③

「えっ、逆プロポーズしたって本当!?」


 


「してないよね!? してないよねリリィ!?」


「……してないですよ?(まだ)」


「小声が怖い!!」


 


そんな中、今日の放課後。


私はついに、リリィに呼び出されてしまった。


場所は温室の薔薇園。

ゲームでは王子がヒロインに口づけをする重要イベントの場所──なのだが。


 


「クラリーチェ様、少し……お話があります」


「(えっ、まさか……告白!? いや、違う。たぶん誤解。うん)」


 


リリィはまっすぐ私を見つめて、口を開いた。


 


「……クラリーチェ様は、私のことをどう思っていますか?」


 


うわ、来たこれ。王道のやつ。

でも私、今更“推し”とか言い訳して逃げられない。


だって──


 


「……好きよ。とても、好き。

でもそれは“攻略対象”じゃない、もっとこう、“尊い”っていうか……」


「……ふふ、私もです」


「えっ」


「私は、クラリーチェ様の“すべて”が愛おしいです」


 


気づいたら、肩を抱かれていた。

目の前には、薔薇と微笑み。


 


(これ絶対イベントCG差し替わってる……!)


 


「クラリーチェ様、あなたにふさわしい者になるよう、私……努力しますね」


「いやもう十分強いし美しいし優しいし何目指してんの……!?」


「お嫁さん、です」


「さらっと爆弾発言やめて!? 鼻血出る!!」


 


──こうして私は、

“ヒロインとライバル関係”になるどころか、


全力で嫁入りされそうになっていた。


 


しかも、嬉しいことに──それが、まったく嫌じゃなかった。


むしろ、心がふわふわして仕方がない。


 


(私……もしかして、攻略されるの、悪くないかも)


 


そんな自覚が芽生え始めたある日のこと。

学院に、新たな転校生がやってきた──

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ