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間章 「悪夢」
僕は磔にされていた。
周りには死体が転がり、まさに死屍累々と言った感じである。
僕の体もどうやら所々腐っているようで、どうにも動きようが無かった。
けれども痛みも苦しみも無く、意識だけがしっかりとしていた。
もやのような薄雲が天を覆い、日の光はぼんやりとしている。
僕は雨を待つでもなく、風を待つでもなく、ただ空を眺めていた。
すると、天から大きなカラスがやってきた。
その巨大なカラスは僕を張り付け台ごと鷲掴みにすると、空へと連れ去った。
その時、腐っていた右手足がもげる。
僕は空の風を感じながら思う。
何処へ連れていくのだろうと。
その答えはやがて耳に届く。
ピイピイと鳴き声が聞こえた。
そうか、僕はこの大ガラスのひな鳥のえさとなるのだ。
下界を見下ろすとそこには藁のようなもので編み込まれた大きな巣がある。
その中に見覚えのある人物がいた。
加藤である。
加藤はよだれかけをし、身の丈ほどのナイフとフォークをカチカチ鳴らしている。
ぴいぴいと鳴いているのも加藤であった。
まさか、そんな・・・
僕は身じろぎするが、どうにも体は思うように動いてくれない。
そして、僕は大ガラスの巣に放り込まれる。
嫌だー!加藤にだけは食べられたくない!




