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AとB 〜裏社会と始まり編〜  作者: 牡蠣原 蒼(かきはら あおい)
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第四章 原子番号10番

お待たせしました。仕事が遅いで有名の牡蠣原 蒼の代表作「AとB」の最新作です。最近結構多忙で書けてなかったのですが、頑張って仕事の合間を縫って書きました(本音はネタが思いつかない時が続いただけ)。首を長くして待ったみなさんをまた、ジガドタウンにお連れします。どうぞ。

その後、その店にお詫びとして、バードが20シル(日本円で約20万円)をカウンターに置いた時の店員の顔は、まるで豆鉄砲でも喰らったかのような顔だった。

「あ、ああ、あああああああ」と、もはや「あ」ということしかできなくなっている店員に、バードは

「迷惑をかけた。お詫びだ。店長には見せずにお前が持ってけ」と笑顔で渡した。

店を出た直後、ラガルトとはある程度店から離れたところで別れた。途中でバードが店から抜け出したので慌ててアシュリーも追いかけてやってきた。

「しっかし、この2日間はいろんなことが起こったな。俺なんかしたのか?」

「多分神社行ったからじゃない?ほらあそこの…」

と2人が会話しているところを2人がついていった。

「おい」とフリット。

「なんですか?」

「なんでバードさんの名前を出そうとした?」

「なんでそんなこと聞くんです?」

「いや他にもいるだろ。バードさんに限らず、有名なのはヴァーナント家とかオーバン家とかさ」

「あんまそういうのは考えてなかったんですがね、咄嗟(とっさ)に出たウェリンストン通りのトップはバードさんかなって。ほんで、うちにはすごいバックがいるんだぞーって言っときゃなんとかなると思って」

「…」

「でも結局その人の勢力に入る事になるとはね、思いもしませんでしたよ。」

「そうか。でもガーベラお前さ...」

「?」

「結構非力だったな。圧倒できたわ(笑)」

とフリットが揶揄(からか)う。

「あ?んだとコラ、調子乗ってんちゃうぞ?」

「あーあーやめとけ、また倒されるだけだから」

「は、はぁー!?べ、別に本気だったわけじゃねーし!此処でもう一回やるか!?」

「いいよ、来いよ!」

ともう一回戦始まりそうだったところにバードが止めに入った。

「おい、お前らすぐカッとなるのやめろ。余計俺が手ェ焼く事になるだろ」

そう言うとどちらも姿勢を改って

「「すいませんでした」」

と言った。そこにアシュリーが茶々を入れる。

「じゃーあ、勝った方が私と...する?♡」

ガーベラとフリットは純粋な童貞男子なのですぐに乗った。

「よっしゃその勝負乗った!」

「負ける訳にはいかんくなったなぁ!」

そうなり、バードは頭を抱えて「えへ♪」と言うアシュリーの頭を少し叩いた。


家に帰り、バードはガーベラを一旦書庫に住ますことにした。ガーベラは読書が好きらしく、ちょうど余っていたので、オフィスができるまでそこを仮住まいとさせた。そこから3日後、バード、フリット、ガーベラの3人でオフィスの下調べをする事になった。候補は何個かあったが、一番本命だったのはもちろん「ウェリンストン通り」のオフィスビルである。ここのビルはオーナーの買い手がつかなくて困っているとラガルトの知り合いの不動産屋に聞いていた場所だ。中に入ってみると、落書きやコンクリートの剥がれた壁や床がいくつもあって、予想通り荒れ果てていた。しかし、ビルの2階と3階が吹き抜けになっているので、見かけによらずとても広かった。この区画で購入価格60シル(日本円で60万円程度)と破格だった。破格の理由は長年売れていなかったのと場所が原因という。バードはお金には一切困っていなかったので即購入した。しかし、このテナントを購入するよりも、リフォーム費の方が100シル(日本円で100万円ぐらい)と、高くついた。リフォームにはアシュリーやラガルトが店を店員に任せて手伝いに来てくれた。

そうして2週間でオフィスが完成した。入り口を入ると、全面大理石の床に綺麗な黒の漆喰(しっくい)の壁、奥にはオフィスチェアと机が縦に3個並び、それと向かい合わせにもう3セット、掛け4列あった。奥に行くと、休暇室や喫煙室、それにもう一階上にはガーベラの部屋と社長室、つまりバードの部屋ができた。ガーベラの部屋は大体15平米ぐらいはある。

まあ、そんな話は置いといて、オフィスができた時、フリットがある質問をバードにした。

「バードさん、このオフィスすごく綺麗なんですが、使うの僕らだけですか?」

するとバードは

「今、はな?」と含みのある言い方をした。察しのいいガーベラは

「なるほど、これからもっと人を入れるんですね」

と返した。

「ああ、そうだ。今は俺らだけだけど、いずれ大きな会社になるだろうから、こんぐらいスペースをとっておいたんだよ」

「なるほど、でもどうやって人を入れるんですか?」

「そりゃ決まってるだろ、面接だよ」

「え?面接?」とフリットが馬鹿そうな返事をしたので

「当たり前だろ、面接して人を選んで入れるの。小ちゃい脳で考えな?」とガーベラ渾身の煽りが入った。フリットは適当に流して

「なるほど。面接を僕らですると」と返した。バードは

「そうだ。今からウェリンストン通りに面接の張り紙をしてくる。定員は15人。もし人が多く集まったらここで面接する、こういう感じだ。ここら辺の奴らは仕事を求めているからね」と言った。

「そうですか。それで面接っていつするんですか?」

「え?1週間後。それまでには多く集まってるだろー」と気軽に返したバード。

(嘘だろこの人、1週間でこんな得体の知れない会社に人が集まる訳...)とフリットが考えるが、その1週間後、なんと予定の3倍の45人が応募してきた。さすがに2人とも絶句した。バード本人もちょっと驚いていた。

「マジですか、こんなにいるんすね」とガーベラ。

「そうだ。これが今のジガドタウンの現状だ。ま、頑張ろうか」とバード。

「これ、骨折れますね...」とフリット。そして長い長い面接が始まった。


面接に来た人はもちろんまともな人などいない。来るのはガーベラみたいなチンピラやフリットみたいな放浪者、そして売春野郎だ。(ろく)でもなさすぎるやつは全部おとしていったが、、、

「つぎ!入ってこい!」とフリットが圧をかけながら言う。すると扉の外から綺麗な女性が入ってきた。しかし、バードはもちろん2人も警戒を解かない。

「名はなんと?」とガーベラが聞く。その女性は

「ネオン。ネオン・サイソンと言います」と真っ直ぐな目で言った。なぜかわからないが、フリットの目に止まった。

「今までの経歴は?」とバードが聞く。すると間髪なく、

「私はウェリンストン通りで生まれました。そして父親の腕一つで育てられました。成人してから、社会においてやれることはなんでもやり遂げました」と強い声で返す。これには2人も少し(ひる)んだ。

「ほう。面白い。この会社に入ってやりたいことは?」とバードが聞く。

「この会社では金融関係に携わっていきたいです。支出管理は得意なので」とネオンは返す。この娘は面白いと考えたフリットがある質問をする。

「ちなみに今までの経験ってありますか?」するとネオンはとんでもない答えをした。

「私、処女です。」

部屋の空気が凍りつく。ネオンは気づいていないが、あくまでもフリットは「これまでの社会経験」を聞いたつもりだった。しかし...

「私、処女ですし、そんな経験一切ありません。人生の中でそれだけ経験したことないですね。これからあるでしょうか」と笑顔で返す。

「い、いやいや…そうじゃなくて…あなた自身の社会経験をお聞きしたかったんですが」とフリットが訂正すると、ネオンは大きく顔を赤らめて

「…聞かなかった事にしてください」と小さな声で言った。両側2人が苦笑いしている中、バードは表情ひとつ変えずに一言「採用。」と呟いた。ガーベラが水を差す。

「バ、バードさん。いくらこの娘がそうだからって、そういう目で見ちゃあ…」

「いや、そういう事じゃなくて。今までの人、そしてこれからの人の履歴書を見た時に、支出経理をすると書いたのはネオン君しかいなくてね。面接が始まる前から目をつけていたけど、真面目でかなりいい人材だということがわかったよ」

「それってつまり…採用ですか⁉︎」とネオンが驚いて聞く。

「さっきも言っただろ。採用だ」とバードは静かに笑っていった。

「ありがとうございます!これから精進していきます!」

「どうも。よろしくね、ネオン君」とひとつ挨拶をしてネオンとの面接は終わった。

その面接が終わった後、フリットは何故かモヤモヤしていた。

(あの人綺麗だったなぁ。真面目そうだし...つうかラガルトさんの言ってた人と特徴当てはまりすぎだな。まさか...?)と思ったが無駄な詮索(せんさく)はやめて面接に向き直った。

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