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魅力ある仲間、敵役の存在

主人公の仲間と敵対する者の関係。

主人公に都合のよいキャラクターとか、一貫性のない主人公やまわりの人間の言動などがあると、それは物語としてうまくない。

 主人公以外の登場人物には、ずっと一緒に行動する仲間や、あるいは主人公をつけ狙うかたき役が存在します。


 主人公の仲間は『ファンタジー文学入門』によれば、「おどけたお調子者」や「主人公を助け導く年老いた魔法使い」、または「妖精」といった特徴をもつとされます。

 これはあくまで昔ながらのものに登場するようなキャラクターですが、現在でもたいして変わりはないでしょう。

 中には「トリックスター」と呼ばれるような、物語をかき乱したり、ときには主人公を導くような存在が登場することもあります。


 魔法少女物には決まりきったアイテムやマスコットキャラがいますが、それは()()()()()()()()()から──。おっと、この話はここまでにしましょうか。



 主人公の仲間には恋人がいる場合もあるし、あるいはこれからそうした関係になる登場人物がいるものです。

 ハイファンタジーに登場する仲間は、主人公と共に戦ったり、ときには主人公の考えに異を唱え、喧嘩をしたり、またあるときは間違いを犯してしまうこともあるでしょう。

 主人公も仲間も──そうしたリアルな、生きた人間としての登場人物であるべきで、リアリティをもった人物像であるべきです。

(暗に「主人公をヨイショするだけのキャラクターは止めようね」と言ってます)


 * * * * *


 物語を盛り上げる敵役は、主人公以上に魅力ある存在として書かれたりもします。それはただのライバルか、それとも恐るべき反逆者か。

(中には露骨に無能な敵がいたりもしますが)

 いずれにしても簡単に主人公の思いどおりにはならないタイプの、純然たる敵であることが多いです。


 たまに敵役が主人公の仲間になる物語もあります。

 これは難しい判断となります。はじめからその予定で敵役となっているのならまだしも、あとから「読者に人気が出たから」仲間にしました、みたいになったらきょうざめです。


 その場合、矛盾なく仲間に引き入れるプロセスがないと、ご都合だと思われかねません。──危険です。


 いままではっきりと主人公の敵として立ち向かってきた敵が、ころりと主役側の仲間になる。

「敵役が仲間になる」その展開が熱い。というのもわかります。

 しかし、そうしたことは客観的に見ても、違和感なく行われる必要があります。

「なんで主人公を助ける必要が?」そう読者に思われてはだめなのです。


 また、「どうせこのキャラはあとで仲間になるんでしょ?」みたいに、登場からその後の展開が簡単予想できるような陳腐さも、本格派ファンタジーの雰囲気を台なしにしかねません。


 * * * * *


 ぶっちゃけますが、敵に操られた仲間が主人公を裏切るみたいな展開は、作者に考える力がないからとしか思えません。

 キリストを裏切るユダが銀貨につられて~みたいな陳腐さでもあれですが(ユダは金銭に執着する人物だったらしい)。そこにユダの苦しい生活状況や、家族を救うためにしかたなく、とかがあったらリアルさは増すでしょう(これも手垢のついた話になりますが)。──キリスト教信者からブーイングが飛ぶかもしれませんが──


 安易な「洗脳」による展開の乱暴な変化は、もうおなかいっぱいだと感じるのは、わたしだけでしょうか?



 ですが、主人公の仲間が裏切るという、物語の急展開を書きたくなる、あらがいがたい作者の気持ちもわかります(読者もそうした展開を好むものです)。

 だからこそ、()()()()()()()()()()()()を書ききるべきでしょう。それができないのであれば、はじめから主人公を裏切る仲間と、その仲間の復帰──などという展開をするべきじゃありません。


 安易に洗脳を持ち出してくる敵も、洗脳される味方も、魅力は欠片かけらも感じられないものになるでしょう。

 それに洗脳という手法は、たいてい大きな矛盾を生みます(物語の中盤や後半に登場することが多いから)。

 それは、


「なんであのときに洗脳を使わなかったの?」


 という疑問です。

 簡単に操ることができるなら、もっと早く使っておけばよくね? みたいに思うことがままあります。


 なにより、あまりに多用される「洗脳」という展開に「あ──、また洗脳されて敵になるパターンね。はいはい」

 読者はそうは思わないのでしょうか?

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