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記号とイメージ(物語の道具立て)

読者にわかりやすい内容を、というのはわかります。

しかしあまりに簡単に提示したそのキーワードは、イメージの貧困(どこかで見た内容)や、キャラクター同士の機微のない(人間味のない)、違和感だらけの世界観や人間関係になりかねません。

 先の話でも言いましたが、中世西洋風の世界観をイメージさせるファンタジー世界を作るとして、それにはいくつか重要な(ファンタジー要素を持つ)イメージがあります。

 リアリティのある物語を書くのに必要なのは、そのイメージを壊さないこと。──それは「プロットの作成」でも示したとおり、いくつかの約束ごとがあります。



① 人間以外の種族。

 エルフやドワーフ(小人)。妖精など。


② 人間に敵対的な存在。

 悪鬼、魔物、魔王といった存在。


③ 人類の住む土地と、危険な存在の住む領域。


④ 国家(言語)や宗教や階級(身分)。社会制度などについて(ギルドなど)。


⑤ 魔法や武器や道具(聖剣とかアーティファクト)など。


⑥ 前述したものの基本となる時代設定。標準的な文明レベル(識字率や法律、文化など)の設定。(火薬があるか、ボウガンはあるかなど)。


(ここに書き出したもの以外にも、共通する世界観の設定はあるでしょう)



 しかしべつに人間だけの世界でも、魔法のない世界でもファンタジー作品になりえます。

 それこそがファンタジーの世界観をどのように見せるか、という部分が大事だという答えになるでしょう。


 * * * * *


 注意すべき点は魔法や、冒険者(戦士・勇者)などの概念でしょう。

 これの扱いいかんによって現実感が損なわれます。

(「勇者」というと某ド○クエを思い出すせいか、職業と考える人がいますが、本当にそんな「職業」があるか、疑ってみるべきでしょう)



「チート能力」がある世界観はNGです。それは現実感のない「ゲーム世界のお話」にしかなりません。

(「ユニークスキル」とか、そんなゲーム用語もいけません)

 魔法についても同様です。

 一人の人間がたいした苦労もせず(無限の魔力があるとかなんとか)、強力な魔法で大勢の敵を一撃で滅ぼせるなら、世界はその人物に支配されるでしょう。

 そうした()()()()()()()()()()()()()()()()()。リアリティはありません。


(仮にそうした特別な力を持っている主人公にする場合は、その力に見合った因縁いんねんや、代償(欠点)があるほうが説得力があるでしょう)


 率直に言います。そうした主人公の能力だけが肥大化した話は、下手をすると子供向けのものにしかなりません。

 派手であれば喜ぶのは子供の心でしょう。カラフルであれば同じ内容の商品でも、カラフルなほうを手にしようとする。それが子供です。


 王道ファンタジーとは、語弊ごへいがあるかもしれませんが、外面はいたって()()()()()なのです。

 むしろその内面に流れるリアリスティックな展開や表現を想像して楽しむ……。それが大人の楽しめるファンタジー作品と言えるでしょう。



 たった一人で百人を相手にする剣士──とか、一見するとかっこいいですが、戦争でそんな人物が登場すれば、敵にとってみれば危険な相手でしかありません。

 さぞ恐れられ、恨まれ、憎まれるでしょう。

 そんな強い戦士の話を書くのなら「強い戦士」という、ただの記号であってはいけません。

 きちんとその辺のことも書かなくてはいけない。


 強大な力を持つ戦士や魔法使いが物腰柔らかく、、聖人のように成長し「ほかの人々と同じように扱ってほしい」、などと言うでしょうか? そうした登場人物はともすれば嘘くさくなります。



 もう一度言います。



 誇張した人格、マンガに登場するような性格設定のなされた登場人物は、幻想的な異世界の雰囲気をぶち壊します。


 世界も登場人物も()()()()()()()()()

 物事の片側(主人公サイド)だけを見て話を構築しては、物語は薄っぺらいものになるでしょう(作者にとって都合のいい部分ばかりを集めて物語を作ってはいけない)。


 きちんとした世界と、そこに生きる人物のイメージを、読み手に感じてもらわなければなりません。

 そこには登場人物だけが住んでいる世界ではないはずです。

 まわりには主人公の仲間だけでなく、農民から市民や貴族。奴隷や異国の人間もいるはず。

 そうした世界をイメージだけでも感じさせてくれる物語。それがリアリティのあるハイファンタジーの醍醐味だいごみだと思います。


 * * * * *


 魔物や魔王がいる世界観も注意が必要です。

 魔王や悪魔などが支配する土地が、人間の住む土地と陸つづきであるお話もありますが、個人的にはあまりおすすめしません。

 悪魔などの存在が人間と同じ空間に城を構えていたりというのは、それではその魔王とか悪魔といったものは、まるで人間が支配し、よその国へ攻め込もうとする「帝国」と大差がないと感じないでしょうか。

(それはわたし個人のイメージによるものかもしれませんが)

 少なくとも危険な存在が支配する領域のすぐ近くに、人が警戒もせず平然と住むとは思えません。


 強大な力を持つ魔王などという存在が、人間と同じような欲求や考えで人の国を侵略するかどうか。──それについても疑問が残ります。

アーティファクトって「人工物(人工遺物)」という意味らしいですね。なんとなく語感的な響きがいいから使いたくなる気持ちもわかりますが、作者によってその意味するところは違いがあるでしょう。魔法の道具全般なのか、古代の遺物なのか……

(この言葉もゲームから拾ってきた感が否めないので、気軽に使いたくないなぁ……)


❇最後の魔王関係の話は特に個人的な内容ですね。けど魔王って、人間と対話するような存在なんでしょうか?

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