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世界を創造する

世界観を考えるにあたって大切なことは、あまりに奇抜な世界観を作らないことだと思います。

たとえば竜が存在するにしても、そんな大きな生物がいるなら、それに捕食される大きな生き物も大量にいなければならないはずです。

 食料もろくにない場所に巨大な竜が生活しているなどありえません。そうした物語の中では語られない部分についても作者は考えておかなければ、小さな違和感からやがて、大きな矛盾を持った世界の設定を生んでしまうでしょう。

 物語にはテンプレートな展開と呼ばれるものがあります。

 テンプレを否定的な意味で語る人もいますが、まずは物語の誕生について考えてみましょう。

 そのためにまずは、物語の舞台となる世界を創造するところからはじめましょう。




 たとえば地球以外の惑星を、思考の中だけで造ってみてください。そこではあなたが神様になって、新たな惑星を創造します。


 ……さて、突拍子とっぴょうしもない世界が生まれたでしょうか? それとも地球によく似た、青い惑星になったでしょうか。

 それは新たな惑星を創ろうとする人の知識に大きく左右されます。当然ですね。


 たとえば宇宙にある別の恒星(太陽)の色がオレンジ色に限らない、という事実を知っていれば、その世界の空に浮かぶ太陽は、もしかすると青い色を放っているかもしれません。

 空の色も青ではない可能性も。

 海はしょっぱい?

 空気はどうでしょう?

 もしかすると極度に気温の低い、氷の惑星であるかもしれません。

  草木や昆虫に動物など、まったく違った生態系を考えつきましたか?


 おそらくそんなことはないはずです。

 それによしんば独創的な惑星を創造したとしても、それが読者に受け入れられるかは別の問題となるでしょう(また適当に構築された世界では、混沌こんとんとした矛盾だらけの世界になってしまいます)。

 それゆえに読者にもわかりやすく(想像しやすく)、受け入れられやすいテンプレートな(読者の知る「世界」と共通点をもった)世界観が、読者に受け入れられやすい。という結論になります。



 こうした世界の創造はファンタジーだけでなく、SF作品にも当てはまるでしょう。

 と言っても、わたしは「現実と違う」とか「物理法則が~」などと言って、作者になろうとする人を困らせるつもりはありません。

 ただ最低限の「現実感リアリティ」をもたせることには注意していただきたい、そう考えています。

 本格的なハイファンタジー作品とは大人が読んでも楽しめる、既知のものでありながら、その世界に(読むたびに)新たな発見があるような作品です。



 リアリティのある作風とは、結局は多くの部分で現実世界に即したものになります。それが「中世西洋的な」雰囲気をもった世界観である場合が多い、というだけのことです。

 もちろん人間が住まず、象の鼻を持ったような、奇妙な三足歩行する生き物が生息する惑星での話でもいいでしょう。──どれだけ読者が食いつくかはわかりませんが。

 あまりに突拍子のない世界観、あるいは登場人物や物語の展開は、読み手をあきれさせることもあるのではないでしょうか。

 テンプレをはずそうと、意外な要素をかき集めた世界観の物語を作ってもいい。

「これは斬新な物語だ!」

 そうよろこんでくれる人も地球上のどこかにはきっといるはず。──約束はできませんが。




 要するにあまりに鋭い変化球を投げると、それは読者がキャッチできない球。──暴投になってしまうということです。

 だからこそテンプレが必要になるわけです。

 オリジナリティはそうした読み手への配慮と、作者の個性のバランスの取り方が大事になるでしょう。


 そこでどういったテンプレートな世界がいいのか、次話では「記号とイメージ」というものを使って考えてみたいと思います。

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