プロットの作成
プロットを先に作るか、それとも世界観が先か、あるいは同時進行か……。おそらく同時に考える人がほとんどだと思います。
物語世界は作者の手のひらで転がされるものだと思って書いている作者は、明らかに誤解しています。
それでは必ずほころびが生まれ、世界観に致命的な矛盾を生み、読者に違和感を持たれるでしょう。
物語世界のリアリティは、それがファンタジーであるならなおのこと注意して形作らなければ、その魅力を失うでしょう。
❇ 最後に【追記】「プロットの必要性。差別化について」を追加しました。
プロットとは簡単に説明すれば「(物語の中で起こる)出来事」の羅列です。
わたしはプロットは大まかに2種類(もしくは3種)用意しています。
1つは物語のはじまりから終わりまでを書いたもの(梗概いったもの──あらすじ)。これはだいぶ大筋のプロットで、主人公を中心にした物語の流れを書き記したものです。──起承転結を大ざっぱに書き記したもの──
もう1つは、たとえば章ごとの展開を書いたもの。
これは先ほどのものよりも細かい部分の行動を書いたプロットで、主人公や仲間がどこに向かって何をするか、といったあるていど短い範囲で起きる事柄の順序を記したものになります。
このほかに、(いままでの)話の中で触れられた伏線や、設定についての文言を書き留めたものもあります。後に物語に矛盾を生まないために、いままで物語に登場した細かな話(設定・地図など)を記しておくのは大切です。
(場合によっては世界年表みたいなものを作る場合も)
ここで大事なことを1つ。
それは、たとえプロットを用意したとしても、主人公がそのプロットどおりに動いてくれるとは限らないということです!
こと細かに主人公の行動をプロットにしたためるわけではないわたしの場合、書いている途中で何か新しい展開に引っ張られてしまったり、想定と違った流れで話が進行することもあります。
あくまで本筋の軌道を脱しない範囲でのことだけれど、注意しないとどんどん横道にそれていって、収拾がつかなくなってしまう。なんてことのないように気をつけたいものですね。
ミステリー小説なら細かな行動の指標が求められるし、登場人物の行動や関係性の中で矛盾が生じないよう、細心の注意も必要でしょう。
そういう場合は主人公の行動も、がっちりと決定しなければいけません。
* * * * *
プロットが必要な理由は、物語が脱線したり、設定の矛盾をなくすためでもあります。
プロットがなくても物語は作れるが、それだといくつもの伏線を張った物語(世界観)は書けないのではないのではないでしょうか。
べつに伏線があればいいというものでもありませんが、こうした(伏線という)技術が昔からあるのは、読者を引きつける有効な手管なので、使わない理由はありません。
伝承や神話に登場する基本的なプロットにこんなものがあります。
① 秩序を乱す破壊者(権力者、魔王、ドラゴン)がいて、それを倒すために主人公が旅に出る。
② 主人公の仲間はおどけたお調子者。主人公を助け導く年老いた魔法使い。──など。
③ 妖精の力を借りる(特殊な力、武器の供与。食事や眠る場所を提供)。
④ 破壊者を倒し、国や世界に安定をもたらす(秩序を取り戻す)。
などなど……。これはブライアン・アトベリーの『ファンタジー文学入門』から一部を(適当に)書き出した内容です。
だいたいこのような予想できる展開がファンタジーにはある、ということに気づかれるでしょう(指輪物語やアーサー王伝説などを知っていれば、よりよく理解できるでしょう)。
各国にある神話にも、共通性のある話は複数あります。
ファンタジー小説は昔からある一定の道具立てを共有し、だれもが知っている、期待している展開が必ず起こるとも言えるでしょう。
なぜならあまりに突飛(複雑)な物語では、読み手は理解できないこともありえます。
読み手の想像力に訴えかける以上、読み手の知らない事柄などを書かれてもまったく理解できない。なんてことになりかねません。だからこそ共通するイメージを伝承や神話から拝借することで、読者の興味を引きやすいのです。
【追記】「プロットの必要性。差別化について」
プロットは必要じゃない、という意見もあるでしょう。場合によっては、作品によってはそれも「あり」だと思います。
それにプロットを決めていても、登場人物が勝手に動きだして、話の流れなどが変わっていくときもあります。
しかしプロットを必要とする意味の一つに「ほかの作品との差別化を計る」という理由があるのだと考えます。
プロットを決めずにノリや勢いだけで書いていくと、どこかで見たものや、自分が読んだり見たりしてきたものと同じ展開や、同じ内容になる可能性が強くなるからです。
ほかの作品との差別化をするため、展開や内容について大まかな部分だけでも決めておくべきでしょう。